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イハ

目を開けると、真っ白な雪景色が一面に広がっていた。


白い雪がシン、シンと。「ここはどこだろう……?」


ザク、ザクと。雪で積った道を進む。


なぜか心が苦しくて。

何かを失ったような悲しみなのか。

何かが終わってしまったような切なさなのか…

あらゆる感情が波のように押し寄せた。


ひゅーと、冷たい風が頬を撫でる。「冷たい…」

何もない真っ白な景色は、まるでこの世界に一人取り残されたように感じた。


「1074番!いい加減起きて!もう食堂しまるよ!」

私の布団をはいで強制的に起こしにきた彼女は、ルームメイトの1068番。

ショートが似合う、イケメン女子。私の貴重な友人の一人だ。


「寒い、無理……」布団を奪い返し、イモムシのように丸まって二度寝をする。


「ちょっと、起きなさい!朝ごはん食べにいくよ!」無理やりベッドから引きずり降ろされた。


「ほら、顔洗って!」タオルに歯磨きに…面倒を見てくれる1068番。


「また1068番がオカンしてる。」呆れた目で見ているのは、隣の部屋の友人1070番。


「好きでオカンしてないわ!」文句をいいつつ、いつも朝が弱い1074番を助けてくれる。


「ほら、食堂にいこう!」1070番の掛け声とともに、私たちは女子寮の隣にある食堂へと向かった。


1068番は1個上。年は違うけれど、仲が良くいつも一緒に行動している。


“私たちには名前はなく、番号で呼び合っているのだ”


―食堂―


「おはよー!」「今日の宿題やった?」「今日の朝飯はこれが美味い!」

食堂には、すでに他の生徒も集っており賑やかだ。


私たちがいるこの寮には初等部~高等部まであり、

大人の助けが必要な幼稚園と高度な勉強をする大学はまた別の校舎にある。


「1074番。寝ぐせすごいぞ。」私に話かけてきた男子生徒は1073番。


「は、知らないの?最新トレンドよ。」寝ぐせがついた長い髪を手でなびかせた。


「ダサ。どこで流行っているんだよ。」


「まぁ!この良さが分からないなんて可哀想!」

2人は顔を見合わせる度に、口喧嘩が起きる。


「くだらな。」友人2人は朝食をとりに先に向かった。


「まって!このアホと一緒にしないで!」2人の背中を追う。


「アホはお前だ!」後ろから聞こえるが完全に無視をする。


こんなくだらない朝からはじまる。


朝食を終えると、聖堂で校長による挨拶から授業が始まる。

「イハの諸君、おはよう。今日も全員そろっておるね。」


「イハの君たちがいるからこそ、この世界は平和を保っている。

外の人間は欲にまみれておる。決して関わってはいけない存在じゃ。

今日も己の力を向上させ、いつか5大都市に遣う守護神になれるように精進するのじゃ」


奇跡の力を持つ私たちはイハと呼ばれている。

体のどこかに百合の痣があるのがイハの証だ。


限られた人間のみがイハの力を授かり、現在初等部~高等部の校舎には25名の生徒が生活をしている。


イハが持つ奇跡の力で、国の防衛や災害を未然に防いでいるのだ。


「今日も一日どのような成長を遂げるか楽しみにしているぞ。」

校長の話が終わると、各学年部屋に分かれた。


「今日は基礎学習からか~」中等部の1074番たちは学習室へ向かった。


そんな彼らをみて、高等部の先輩たちが自慢げに言ってきた。

「ふふ~高等部はスキル訓練よ~じゃあね!」


「いいな~早く高等部に行きたい!」1068番がいう。


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