表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/225

仲良くなった二人



私達は必死にテスト勉強をしてるけど、理玖は帰ろうとしないし、学校は中間テストがないのかなぁ……なんて思いながら、ノートに英単語を繰り返しながら書き綴った。


一方の理玖は、ベッドに背中をもたれかからせてスマホゲームで遊び始めた。


すると、シンと静まり返っている室内に玄関扉が開く音が。



ガチャ……


物音とレジ袋がカサカサと擦れる音が一旦止むと、気配と共に足音が徐々に近づく。

部屋の扉が開くと帰宅したばかりの母は言った。




母親「ただいま、愛里紗。いらっしゃい、咲ちゃん。ごめんね、理玖くん」


愛里紗「ちょっとぉ、お母さん! 理玖に留守番頼まないでよ」


咲「おばさん、お邪魔してます!」


理玖「全然イイっすよ。めっちゃ楽しいから」




愛里紗「理玖ったら、全然帰ろうとしないんだもん。もういい加減帰りなって」




愛里紗は冷めた目つきのまま手でシッシッと追い払う。




理玖「追い出そうとするなって。友達だろ」


母親「愛里紗! 理玖くんにひどい事言わないの。愛里紗の為にお留守番していてくれたのよ」


愛里紗「だって、さっきから邪魔しかしないんだもん」




理玖「……っだから、反省して今は大人しくしてんじゃん」


愛里紗「じゃあさっきの寒いギャグをお母さんにも聞かせてあげれば? 笑ってくれるかもね。何だっけ? 今井くんいま……」

理玖「あぁ、もーいちいち蒸し返すなって。そんなちっぽけな事を根に持つなよ」



愛里紗「ちっぽけなのはどっちよ」




愛里紗達の小競り合いに困り顔の母と咲は、お互い顔を見合わせてクスッと笑う。




ーー勉強に戻ってから10分後。

一度リビングに戻った母は、ケーキと紅茶を三人分持って勉強道具を下げたテーブルに手際良く並べた。




母親「三人で仲良く食べてね。愛里紗、理玖くんと喧嘩はダメよ」


愛里紗「あんなの喧嘩じゃないけどね」


理玖「あざーっす。うわっ、旨そ……。俺、チョコのやつー」


咲「おばさん、ありがとうございます。いただきます!」




母親「じゃあ、ごゆっくり」




母はお盆を下げて部屋を後にする。


理玖はケーキを一口パクリと食べると、先程と同じく軽い口調で、紅茶をフーッと冷ましている咲に言った。




理玖「さっきの話に戻るけど、咲ちゃんの彼氏の名前は何って言うの〜?」


咲「えっ!(その話題は終わったと思ったのに……)」


愛里紗「まだその話? シツコイからもうやめなよ。いい加減嫌われるよ」




咲「……あはは」




理玖はいっぱい話しかけて咲と仲良くする作戦なのかな。

面白ネタを探そうとしているのか分からないけど、さっきとまた同じ話題を振っちゃって。

咲だって返事をするのに困ってるでしょ。




ケーキのお皿が空になってもマシンガントークは止まらない。

お陰でこっちまですっかり寛ぎモード。

咲も楽しそうに喋るから、なかなか勉強に戻れないし。




理玖「咲ちゃんはどこに住んでるの?」


咲「三鷹大平町だよ。知ってる?」




理玖「あー、知ってる知ってる! 魚の街だろ? すげぇ田舎だけど駅前は結構拓けてるよね」


咲「魚の街? 何それーっ!」


愛里紗「漁港があるからって魚の街はないでしょ。それに、案外都会だよ」




最初は口達者な理玖のトークに咲は押され気味だったけど、時間と共に慣れて来た様子。

表情を七変化させながら賑やかに会話を進める二人は、まるで古い友人のように打ち解けている。




学校や地元の話。

それに、髪型一つだって褒め上げる。

惹きつけられるトークに咲の関心が寄せられていき、二人ともすっかり仲良くなった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ