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レモン味の飴




ーー五時間目の授業が始まる直前。

隣のクラスの木村は、教室の扉越しにヌッと顔を覗かせて付近の席に座る咲に言った。




「駒井〜。数学のノート貸して!」


「えっ! ……木村くん、また?」




木村はこのように咲に何度もノートを借りに来る。

好意を寄せている事は一目瞭然。



木村は剣道部に所属。

背が高くてガタイが良いだけでなく、髪が短くて顔はちょっとごつめで太眉。

人柄は申し分ないけど、おっちょこちょいで不器用タイプ。




去年同じクラスだったからそこそこ仲が良い。

二年生に進級してからは、咲によく会いに来るように。


木村の気持ちはとうにお見通しだけど、最近咲に彼氏が出来たなんてとても言えない。





ーーそれから3日後。

木村は性懲りも無く再び私のクラスを覗きに来た。




「あれ……? 江東、今日駒井は学校来てる?」


「休みだけど。今日もノート借りに来たの?」



「あっ……、あぁ」


「代わりに私のノートを貸そうか?」




この日、咲は風邪で欠席だった。

だから、再びノートを借りに来た木村にニヤケ眼で意地悪を言ってみた。


だけど、木村は腕を組んでプイッと顔を背けて……。




「江東のノートは字が汚いから読めん」


「はあぁ?! 丁寧に書いてるんですけど〜」




木村は明らかに私に対する態度が違う。

しかし、引っ込みがつかないのか、私のノートを借りていった。




木村はノートの返却時にお礼としてイチゴ味の飴を添える。

どう言う意味があるのかわからないけど、毎回同じ飴を咲に渡している。




ーー同日の放課後。

木村は借りたノートの返却時に咲と同様飴は添えてくれたけど……。

味はイチゴ味じゃなくてレモン味。


咲には甘いイチゴ味で、私は酸っぱいレモン味ですかいっ。


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