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班が全て決定した後、クラスメイトは班ごとに集まって配布された資料を元に行き先や順番回りを話し合った。

愛里紗は名残惜しさのあまり二班の方を覗き込むように、背筋を伸ばして頭を一つ分飛び出しながら探してみると……。

翔もちょうど愛里紗の班を見ていて、お互いの目がバッチリ合った。




ドキーーン……


恋の衝撃が胸を突き、焦って目線を下げた。




まさか、まさか……。

谷崎くんもこっちを向いていたなんて。

偶然?

それとも私を見ていたとか……。




愛里紗は再び人の間から翔がまだ自分の方を見ているかどうか確認すると、翔は既に班の話し合いに参加していた。




ホッ……。

さっき目があったのはやっぱり偶然だよね。





ーー今日も帰宅後に、神社で谷崎くんと一緒に鯉の餌やりをしていた。


恋に気付いてから、普段何気ないごく当たり前の事が幸せに感じる。

彼の笑顔を一番近くで見つめる事が特別であり贅沢な時間に。


幸せ………。

このまま時間が止まってしまえばいいのに。




神社で特別に流れ行く時間が愛里紗の恋心を育んでいた。


ところが、二人が肩を並べながら池の前で赤ちゃん鯉の名前を一緒に考えていると……。




「あ! 谷崎と江東じゃん」




たまたま付近を通りがかった同じクラスの伊藤が二人に気付いて鳥居の向こうからやって来た。


近所とはいえ、神社に通い始めるようになってから同じクラスの人に遭遇する事は一度も無かったから少し油断していた。



神社で会っている事は二人だけの秘密と決めていただけに、二人は焦りの色を見せる。

すると、伊藤は舐め回すかのようにマジマジと見てニヤケた。




「お前ら付き合ってんの?」


「違う……。そんなんじゃないし」




翔は立ち上がってすかさず反論するが、伊藤は疑いの眼差しを止めない。




「ふぅーん。なるほどね〜」




伊藤はニヤニヤしながら嫌味ったらしくそう言うと、多くは語らぬまま来た道へと戻って行った。

後ろ姿を目で追う翔は、不安気な表情を覗かせている。




ーー翌日、私と谷崎くんの関係は誤解を招いた形でクラスメイトに知れ渡っていた。


何処を歩いても何をしていても噂話が耳に入る。

悪気があってもなくても当人の私達には関係ない。



私達の仲がこんな形でクラスメイトに知れ渡るなんて考えてもいなかった。

それよりも、谷崎くんに迷惑をかけてしまった事の方が気になる。




彼は特に反論しない。

だけど、周りの人達は冷やかし三昧で彼の心を刺激していく。

更に一学期の上履きの件も蒸し返されて話はエスカレートしていく一方。


犯人は判明してるけど根元だけ断っても仕方ない。

かと言って、一人一人に誤解を解きにいくのも面倒。





愛里紗はクラスメイトや翔の事で頭がいっぱいになってしまい、翔と話す勇気が失せてしまった。

次第に過剰に意識してしまい、愛里紗は約束していた神社から足が遠退いていた。


すれ違いの日々が続く中、最悪な状態で修学旅行の日を迎える事に。


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