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誕生日プレゼント



友達が来たのはちょうどお昼だったけど、窓の外からは17時を知らせるチャイムが鳴った。

日没に合わせてチャイムが鳴るのは海の近くだから。


すると、みんなはゲーム類の後片付けをして、リビングに居る母に「お邪魔しました」と一声かけて玄関に向かう。

私は一緒に家の門まで行き、手を振りながら背中を見送った。



楽しい時間はあっと言う間。

谷崎くんは相変わらず口数が少なかったけど、料理やケーキを美味しそうに食べてくれた。


ところが……。



ピンポーン



母親がインターフォンに出ると、モニターには先程帰宅したばかりの翔くんの姿が。

再び彼の姿が目に映った途端、玄関へ走り向かった。

忘れ物でもしたのかなと思いながら扉を開ける。



ガチャ……




「谷崎くん、どうしたの? 何か忘れ物?」


「いや……えっと…………」




翔はモジモジと照れ臭そうにカバンを開き、ガサゴソと何かを手に取った。




「これ、やる! 誕生日プレゼント」




その何かを愛里紗の手に押し付けるように渡すと、顔を真っ赤にしながら逃げるように背中を向けて去って行った。




「えっ?! あっ……あっ……」




それがあまりにも急だったから、一瞬何が起こったかわからなかった。

上手く言葉にならないまま走り去っていう背中を目で追うだけ。


すると、彼は7、8メートル先で突然クルッと振り向いてニカッと笑顔でひと言。




「バイバイ、また明日!」




そう言って、手を振りながら来た道を再び走って帰った。

玄関に取り残されてキョトンとしながらも、彼の照れた表情を思い返したら可笑しくなった。



部屋に戻ると、受け取ったばかりのプレゼントの袋を学習机の上で開けた。

袋の中に入っていたのは、かわいいキャラクターものの鉛筆五本と消しゴム。

片方ずつ手に取って眺めていると、思わず彼の顔が思い浮かんだ。




谷崎くん、一体どんな気持ちでプレゼントを選んでくれたんだろう。

さっきは顔を真っ赤にしながら渡してくれたけど、渡す時はどんな気持ちだったのかな。


想像するだけでも照れ臭いけど、プレゼントが本当に嬉しかった。

でも、それ以上に嬉しかったのはお祝いの気持ち。


彼からの初めての贈り物は、受け取ったその日に宝物に……。



今日は12年間の中で、一番になるくらい最高な誕生日になった。


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