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身から出た錆



咲は目の前でクッキーを次々と口にほおばってる愛里紗に、先程から気になってる事を聞いた。




「目が赤いように見えるんだけど……。もしかして何か嫌な事があったの?」


「ううん。昨日理玖と一緒に映画を観て泣いただけ」




咄嗟に首を振って嘘をついた。

勿論、涙の理由を詮索されない為。


ところが、一時しのぎの嘘は想定外の事態を引き起こしてしまう。




「へーっ、それって何ていう映画のタイトル? 俳優は誰が出てるの? 私も見たーい!」


「えっ!」



「泣ける映画が観たいな~って思ってたところだったの。ねぇねぇ、その映画ってどんな内容なの?」




残念ながら、向かい風で戻ってきた嘘の塊に脳内処理が追いつかず、クッキーへ伸ばしていた手が止まる。

これが、身から出た錆というもの。




「あっ、えーっと、えーっと……。えっエロいやつだから、さっ……咲には向かないよ」




冷や汗びっしょりのまま吃らせていること自体怪しいのに、思考を巡らせた行く末の最善策がコレだ。

そのせいもあって、咲との間に微妙な空気が流れた。




「えっ! エロい映画を観て目を腫らすくらい泣いたの?」


「あ……あっ、うん。あはは。だから、その映画は泣けるんだけど、咲にはお勧め出来ないかなぁ、なんて……。あはあは……」



「ふーん、そんな映画あるんだぁ。話題になってないけど、どんな内容か気になるかも……」




怪しい返答に首を傾げた咲。

果たして嘘を信じ込んだのだろうか。


読みが甘かった。

突っ込まれても答えられるように、いくつか返答を用意しておけば良かった。


もしこれがノグだったら、更に根掘り葉掘り聞かれて大変な目に遭ったかもしれないから、下ネタ話に一切ノらない咲でマシだったかもしれない。



しかも、更に最悪なのは何の罪もない理玖を巻き添えにしてしまった事。

ごめん、理玖……。

後でお手製のマフィンをあげるから、最低な嘘をついてしまった事を許してね。


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