4 紫音
親父の寝室から二人の声が聞こえてくる。
………うそだろ?………桜………。
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「………じ!………んじ!………源二!」
…………紫音…………。
…………なんで…………親父と…………桜が…………?
「ここにいちゃダメだ!アタシと来い!」
…………紫音………?
紫音に腕をひかれて家を出る。
「バイクのキーをよこせ!アタシが運転する!後ろに乗れ!」
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「アタシンち行くからな!もっとしっかり掴まってろ!」
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気が付くと紫音の家に着いていた。
「今日は親いねぇから、遠慮すんな。…………最初からアタシの家に来とけば良かった…………。」
…………。
「ほら、上がれよ。源二も怪我してんだから手当てするぞ。」
…………。
「さすがだな。かすり傷だけかよ。これぐらいなら風呂は問題ないな。ほら、風呂沸かしたから入って来いよ!」
…………。
…………何で俺は紫音の家で風呂入ってんだっけ?
…………あぁ、アレを聞いたからか…………。
…………。
「おい!源二!いつまで入ってんだ?!寝てんのか?入るぞ?!」
…………。
「きゃっ!お、起きてんじゃねぇか!のぼせちまうだろ!ほら、上がれよ!」
…………。
「ほら、これでも飲んどけ。スポドリしかねぇけど。じゃ、アタシも風呂入ってくるから。」
…………。
…………。
「上がったぞーって、スポドリ飲んでねぇじゃん!好きだっただろ?ほら、飲めって。」
…………ゴクッ。
「アタシも飲もうかな!スポドリうまいよな!」
…………。
「アタシの部屋行こう!な?今日は疲れただろ?」
…………。
「昔とはずいぶん変わっただろ?そんなに可愛くは無いかもしれないけどさ!ちょっとオシャレだろ?」
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
「……………………げんじぃ………アタシのことも………みてよ…………。」
…………。
「………小さい頃から桜の事好きだったのは知ってたよ。」
…………桜!!
「………小学校高学年になったくらいにさ、源二にケンカで勝てなくなってきてさ。」
…………。
「アタシも女なんだって思い始めた頃には、いつも源二は桜をみてた。」
桜…………。
「アタシじゃ桜には女としては絶対に勝てない。…だからさぁ、アタシの事見て欲しくて源二に突っ掛かって行った。」
…紫音?
「源二に負けないくらい強くなれれば、アタシの事見てくれるって思ってた。」
…………紫音。
「………ずっと源二の事好きだった。でもアタシ不器用だから!」
…………。
「………源二、辛かったな、信じられないよな?」
…………ぐっ…………。
「不器用なアタシだけど、源二の事放っておけない…………今夜だけでもいい。アタシを抱いてよ…。」
…………そ。んな、こと…………。
「源二!元気出せなんて言えない!だから、今だけでも!何もかも忘れちゃえよ!」
…………けど、紫音、お前は…………。
「アタシと付き合えなんて言わないから!今の源二見てられないんだよ!お願いだから抱けよ!」
…………紫音、何でお前が泣いてんだよ…………。
「ほら!源二!」
紫音に押し倒される。
ぐっ…………。紫音…………。紫音!!
俺は紫音を抱いた。