表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新プロレタリア文学短編集  作者: 城戸幽奇
3/6

恒良の恋2

世間様を騒がせるようなご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳ありませんでしたと伝えておきます。

様々説明責任を果たさねばならないと考えてはいるのですが、おそらく僕の心を理解できる人はほぼ居ないでしょうし、おそらく僕のことは"狂人"と判断される方がほとんどでしょう。

また、わかったようなフリして何もわかってないような事を吹聴されることや、さもさも人を悪魔の様に罵るようなマスコミ、それを見るのも、考えるのも耐え難い、

ですから僕はこちらの手紙を遺すことで説明責任を果たしたこととし、一足先に失礼させていただくことにいたしました。

きっと自業自得なんて簡単な言葉で僕を言い表す人もいるでしょうが、そんな人は必ず正しいことがあると盲信した幸せな人生を送れているのでしょう、いつまでもそんな状態で生きていけると思っているのでしょう。

今の僕にとってはみなどうでも良いことですが。


僕の心に一番強く影響を与えたのはやはり、母の死でした。

母は僕を女手で一人育ててくれました。

いつも厳しいことばかり言われていた記憶しか無いですが、本当に優しさのある厳しさでした。

あまりお金の無い家庭でしたが賢くやりくりし、僕を大学まで出し、僕はずっと夢だった出版社に勤めることができた、全て母のおかげでした。

僕にとって母程偉大な存在はありませんでした。

それが運転手が心筋梗塞を起こして暴走するトラックが歩道に乗り上げ、歩く母に後ろから衝突、即死でした、運転手もそのまま死にました、

二度と見れぬような姿の母と対面しました。

一体何を恨めばよいのか、何故あの人があんな凄惨な目に合わなければならなかったのか、あの人はあんな死に方して良い人じゃないのに、

僕が独り立ちしこれから楽をさせようと思った矢先のことで、あれほど理不尽なことなどないでしょう。

またあんなになかったお金も本人の死後多額の慰謝料が支払われましたが、一番使って欲しい人はいません。

心に理解の無い人は母の死に意味があるなんて言ってきました。

こんな紙くずになるだけが母の生きた意味とでも言いたかったのでしょうか、怒りを通り越して呆れすら覚えました。

母が死んでから一年半ほど、僕はただ生きてました、そんなおり出会ったのが陽子でした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ