3話(前)? 〜知らぬうちにグルメ〜
また思ったより長くなったので分けます。
喫茶店【H.ture】の店長に妹と自分の「比べ方を間違えている。」と言われた姉の、白月 雪乃は、仕事が休みの日に妹の、白月 黒乃を食べ歩き市場へと誘った。
「お昼ご飯、ちょっと食べに行かない?」
店長に言われた言葉がどういう事かを理解する為に・・・。
混雑を避ける為にお昼ご飯時を避け、昼過ぎに宿を出る。
2人共田舎出身ということもあり、人混みが得意ではないうえ、やはり黒乃の腰から生える黒い翼が目立ち過ぎる。小さく折り畳めるとはいえ、流石に服の中に収納は出来ない。トラブルを避ける為に何事も、最も混雑している時間は避けることを習慣付ている。
まだまだ【ハルク】に宿を取ってからひと月も経っていない。2人にとって宿屋の周りですら何があるかいまいち分かっていない。
普段喫茶店へ向かう方と逆へ歩いて数分、大通りをひとつ曲がろうとする、と、角の先から既に美味しそうな匂いが流れてくる、肉、タレ、スパイス、油、果物、小麦の焼き上がる匂いなど、強い匂いが流れ込んでくる、2人の顔は思わず鼻の下を伸ばし顔を見合わせる。そして角を恐る恐る曲がる。
路地なのかと思ったが、真ん中に噴水の代わりに物見櫓の様な物が配置してある大きな広場だった。酷く賑わっていると思ったが、やはり混雑を避けたのが効いているのだろう、各屋台客に自慢の商品を売りながら、夜に向けての仕込みに移ろうとしている。
「・・・・・・ぉ姉ちゃん、お腹空いた。」
「好きなだけ食べよ?」
「じぁまずは、サラダから〜っ」
「私の分も。」
厚紙で出来た皿にレタスやトマト、コーン等が乗っている普遍的なサラダ。雪乃から頂く。
「うん!美味しい。」
「うん!普通に美味しいねぇ。」
ピクッ!
次にトウモロコシをシンプルにタレで焼き上げた串もの。
「タレが効いてて美味しいね!」
「美味しいけど飽きちゃった。」
ピクッ!ピクッ!
次に魚を焼き上げ塩で味付けし、米の上にまぶした丼もの。
「お米に魚の塩焼きって新鮮で美味しいかも。」
「ほだね、だへど、おほめがおいひくない。」
ビキッ!!
次に角を曲がる前から多くの匂いが感じられた、肉の串焼き。
「お肉美味しいねー。」
「なにほれ!?はひひへはい!(ゴクン)お姉ちゃん残りあげる。」
ビキビキッ!!
最後にミルク味のアイスクリームを食べる。
「冷たくて美味しいね!」
「だねぇ〜。この優しいシンプルな味が良い・・・いくらでも食べられそ。」
プッチーーーン。
「ふー。満腹満腹、味はぼちぼちだったねー。」
「まあ、【ガーランド】のご飯は凄い美味しいからねー。」
「自分達の生まれ育った国から出て驚くことは多いね。」
などと、地元のご飯を美味しいと思いながら食べていたが、それがかなり美味しい部類だった事に気付く姉妹。
少し座ろうかと雪乃が切り出し、座れる場所を探す。
と。
「おい!そこの嬢ちゃん達!!こっちに来な、特に翼の嬢ちゃん!」
「黒乃!!?」
強面でドスの効いた声でついて来いと言う、色黒で大柄な男。
思わず妹を庇おうと前へ出る姉の雪乃。
「なあに、怪しいもんじゃねえ、ここらの屋台のオーナーみたいなもんさ。」
「じゃあそのオーナーさんがなんの用ですか!?」
「いや、なにちょっと来て欲しいだけさ。」
「怪しいです!黒乃は渡せません!」
「チッ、話が通じねえ嬢ちゃんだな!埒が明かねえ!」
オーナーが黒乃へ手を伸ばす。
お疲れ様でした、週一以内更新頑張ります。