流行病はお馴染みの食材でした
昨日は結局何も考えられずエリザさんが置いていった教本を全て読みきりなんと無くだがこの世界がどの様なところか把握ができた
① この世界は6つの大陸しか存在しない
② ラノベなどである魔法が存在してるためか水道など衛生はしっかりとしている
③中世ヨーロッパに似たような風景で、最近は戦争などは滅多に起こっていない
そして異世界に来てから2日の今日。護衛つきで町に出た鈴華だが極度の緊張に襲われていた。
そうなったのも今朝の事。エリザさんが朝の支度をしに来てくれたときには鈴華は身支度を終えていた。それを見たエリザさんは彼女をソファに誘導し淹れたての紅茶を出すと
「こちら、陛下からの手紙でございます」
鈴華はなんと無くだが嫌な予感を感じたが不敬になることを知ったので手紙を明け内容を確認するなり
あのやろう!
と思ったが表情にも声にも出さずいたが、彼女は気づき
「失礼ですが、お手紙には何と?」
「陛下が、町の視察に行くみたい。それに私も同行するようにと書かれていたの」
手紙の内容を言うなり隣から冷気を感じ身震いをした。彼女の方を向くととてもいい笑顔を浮かべていた
──と言うことがあり本来なら一人でゆっくりと見て回りたかったが皇帝が隣にいるため面接時よりも緊張していた
しかし鈴華は到着した町を見てその緊張すら消え失せた。何故なら彼が連れてきたところは貧困街で土はやせて農作物が全くと言っていいほど成長していなかった
鈴華は横に立っている皇帝に
「皇帝陛下──」
「俺の愛称であるゼルで構わぬ。その代わり猫かぶりは止めるんだな」
彼は不適に笑った
それにつられて鈴華は普段地球では使っていなかった言葉遣いで
「ゼル。貴方はなんの政策を行った?」
それは彼を咎める様な視線と呆れの二種類だ
「初回に行ったのは魔法師に雨を降らせた。その結果一時は作物ができたが魔法師ですら長時間同じことは出来ず元に戻った
次に行ったのは他国からやせた土地でも育つジャガイモと言う物を植えたが、妙な病が流行全て廃棄した」
確かにジャガイモはやせた土地でも栽培可能な食材だけど、妙な病ってなんの事?
鈴華は1つの可能性が浮上し
「その症状は、頭痛や吐き気、腹痛、虚脱感。そして亡くなったのって小児が多かったのでは?それも痙攣や昏睡で」
彼は怪訝そうに
「ああ。幼子が眠ったまま目を覚まさずそのまま死んだ。お前はその原因を知っているのか!?」
食いついてくる彼に頷き鈴華は下に落ちていたジャガイモを手に取ると
「ここに緑の芽があるでしょう?これがその病を引き起こした原因だよ」
「この芽がか?」
「ええ、ここにはソラニンと言う毒が含まれているんだよ。これをこうやって取り除けば」
地元の人からナイフを借りると芽を取り除き
「後は煮物にしたりスライスして揚げても美味しいよ」
信じられない表情をしている町人に王宮から持ってきた物資から護衛の方々に手伝って貰いながら大鍋を石で作った安易なコンロの上に置いてもらい炊き込みを始めた
「鈴華、本当に大丈夫なのか?」
「もちろんですよ」
といいながらたくさんあるスパイスを調合しながらカレーを作り上げ、それが焦げない様にかき混ぜてもらっている間彼女は強力粉らしきものと塩、砂糖を入れ今回は硬いがナンを作ることにした
鈴華は帰ったら酵母を探すか絶対に作ろうと決心した
釜がないので魔法師に一定の感覚で焼いてもらいそのパンと具を細かく刻んだカレーを全員に配り、警戒している人達の前で堂々と鈴華はなんちゃってナンカレーを食べ異変がないことを身をもって証明した
護衛兵が止めるにも関わらずゼルは彼女が作ったカレーを食べ
「……!これはうまいな。おかわりを──」
「これは町の人達のぶんです」
「仕方ない。帰ったらなにか作れ」
「嫌です」
「これは皇帝の命令だ!」
「職権濫用は禁止です!パワハラ反対!!」
ふと回りが静かなことに気がつき見渡すと皆の顔が真っ青になり、怯えていた
…………えっ?……………まさか不敬罪で処刑!?
「……も、もう──「パワナンとかってなんだ?」えっ?」
「うん?」
ゼルは先程の言葉が気になってるらしく不敬罪に問うつもりもないらしい
「えっと職場の上司がその権力をかさにきて業務に関係ないことをやらせたり、精神的肉体的に追い詰めること?」
「そうか、だか俺はお前の上司ではないが?」
「似たようなものです」
この出来事のあとは何事もなかったかのようにジャガイモに対して注意することを伝え皇帝と共に帰宅すると部屋で待っていたエリザさんが
「あなた様なら文官としてもやっていけると思います」
と昨日相談していた事を答えてくれた
あれ?ジャガイモって痩せた土地でも育った?