この問題はいったい・・
…………えっとここどこ?
目を覚ました鈴華が見たのは貴族の令嬢が使っていそうな寝室に寝ていた
「レイカ様お目覚めでしょうか?」
「はっはい」
声をかけてきたメイド服姿の女性に返事を返すと複数の足音と共にあの時聞いた美男の声が聞こえた
「陛下。お目覚めになられたした」
「そうか、お前達は下がっていろ」
「いけません。未婚の女性と男性を二人きりにすることはマナー違反です」
彼はうんざりしたようにため息をはくと
「エリザ、お前だけが残り残りは各自の持ち場に戻れ」
物音をたてずに出て行くメイド服の女性達と反対にソファに座っている鈴華に近づいてくる陛下と呼ばれた男性と咎めたメイド長?
陛下と呼ばれた男性は鈴華の迎え側のソファに座りメイド長が淹れてくれた紅茶を一口飲み心を落ち着かせていると
「鈴華と言ったか?」
「はい」
彼は面倒くさそうに
「この国はディティシア皇国で、俺はこの国の皇帝 ゼルダシス・オノル・カイザー・デイティシアだ。」
「………はぁ」
鈴華はまさかのテンプレに最早驚く気もなければ騒ぐ気も起こらなかた
彼は反応の薄さに眉をピクッと動かしたがどこか面白そうに笑みを浮かべ
「異界の姫ならばそれなりの学力があるはずだな」
そう言うなり彼は何処からか冊子を取り出し
「これの正解数が高ければ優遇してやる」
うち、文系やったから頭よくないんだけどなぁ
覚悟を決めて羽ペン?らしきもので解いていくと可笑しな文章に気がついた
『28 土地が干やがった場所で生活するに対し発展すると思われるものは』
『43 財政困難の時に行う政策は』
所々に計算や立場ある者の行動として正しいものや今まで気にしなかったが何故か文も言葉もわかる国語の問題が、主な問題だったのに対し後半からは明らかに可笑しくなってきた
『52 陛下に書類を捌いて貰うには』
『54 食堂の飯を美味しくさせるには』
『56 隊長の機嫌を取るには』
『68 陛下がまともに仕事をして貰うには』
『70 王宮が氷漬け(物理的に)ならないようにするには』 等々
後半になればなるほど愚痴が多くなっていた
……と言うよりもえっ?物理的に王宮が氷漬け???氷山の一角にでも王宮を建ててるの?本当になにこの問題!
最後の一問に目を向けると
『100 皇帝陛下に一言』
鈴華は一度皇帝を見てからもう一度問題に視線を戻しまた皇帝を見て決意するように目を閉じると内容を脳内で纏めてから
「あの、畏れながら申し上げますがこれは本当に問題なのでしょうか?」
鈴華は全ての問題を解答しその冊子を陛下へと戻すなり疑問を口にしたが、彼は更に笑みを深め最後の問題を読みきると
「お前、中々率直に申すな」
彼はその冊子をメイド長に渡し読むように促す
「この問いを全て読んだ結果でそう思ったので……」
「なあエリザ。こいつ俺が貰っても良いだろう?」
エリザと呼ばれた彼女は一切表情を変えることなく
「レイカ様のお気持ち次第ですが、私 一個人としては可愛い子羊を狼の前に放り出す様で賛成は致しません」
彼は鈴華の方をじっと見ながら真剣な表情で
「お前はもうもとの世界に帰れぬ。だからここでの生き方はソナタ自身が考えよ生活などは俺が養ってやる。町で生きるのかまたや別の国へ行くのか、俺の側で働くのか2・3日考える時間を与える。その間よく考えよ」
彼はそう言うなりさっさと部屋を出ていった。そのあとエリザが鈴華の世話やこの宮殿でのマナーを少しだけ教えると
「こちらにマナーやこの世界に関する教本を置いておきますので良ければお読みください」
「ありがとうございます」
「私達側使えに敬語は要りません」
「わかり……分かった」
彼女は「それでは失礼致します」と言って部屋を出ていった
あっ!忘れてました
『異界の姫』はそのまんまの意味で、異なる世界からやって来た女性を指す言葉で