幸せと不幸
あの日、私の全てが突如して変異した
3月12日。私はとあるホテルで開催される卒業式にピンクの袴姿で向かった。駅前で待ち合わせしていたがイツメンの一人が遅れてくると言う出来事もあったが、キリギリ会場の受け付けを通った
うちは、遅れてきた真っ白のドレスにカーディガンを羽織っている高校時代からの友達である 大柳 百合香に
「ったくも!どうしていつも肝心な日に限って遅れてくるの?」
「ごめんごめん!髪の毛が上手くいかなくって……」
百合香のその言い訳に大学で意気投合した森井 美憂 が
「それなら前もって早めに起きてたら?」
その言葉に百合香は怒ったようにほほを膨らませると
「うちは、ちゃんと5時から起きて準備してたもん!」
うちと美憂ともう一人のメンバーである辻本 陸 唯一の男子だ。の三人が顔を会わせ
「まさか、また彼氏が?」
と代表して陸が聞くと
「なんかなぁ~遅刻するからどんなに起こしても起きひんし、起きたと思ったら仕事行くのに資料がたりひんとか言い出すし!!」
百合香の彼氏は高校3年の時に私と同じクラスだったがあまり目立たない人だったと記憶している
三人はまた始まったとばかりに苦笑いを浮かべ、今回は美憂が百合香の相手をしその間に陸は彼女にL◯N◯を送り うちは、台湾からの留学生である友達のグループに入りお互いの服装を褒めあったり記念写真を撮ったりしていた
卒業式が終わるとパーティーが始まりお世話になった教授に花束を渡したり、教員からのサプライズビデオ等を食事の合間合間に見ながら最後になる親睦を深めた
「これからも時々で良いからカラオケとか行こう?」
美憂の提案にうち達3人は頷き再会を約束した
漸くお開きになる寸前ライトが消えるなり上段には2年間付き合っていた彼氏が
「今日、この場を借りて告白したいと思う。鈴華こっちに来てくれ」
うちは、口を押え驚きを隠せないでいると陸や美憂・百合香は笑顔で
「行ってこい」
「行ってら~!」
「行ってき」
3人に背を押され壇上から降りてきた敏樹と中央で顔を会わせるなり彼はひざまづくと
「卒業式に言おうと決めてたことがある。俺と結婚してくれ!」
指輪が入った箱を鈴華に差し出した
うちは、嬉しさのあまり口もとをハンカチで押さえながら
「わ、私で良ければ……」
と言うなり拍手喝采の中、彼は鈴華を抱きしめた
この一番の幸せが次の瞬間崩れ去るなんて思いもしなかった
友達が二人を囲むように「おめでとう!!」と言っているのを照れながら「ありがとう!!」と返していたときだった。いつもなら殺気や嫌な感情に鋭く気づけるはずだった。だが嬉しさのあまり回りに気を張っていなかったせいなのか、それともお酒を飲んでいたせいなのか鈴華は背後に近づく彼に気づけなかった。痛みを感じたときには倦怠感を感じ始め立ってられなくその場で倒れそうになった鈴華を敏樹が直ぐ様抱え異変に気づいた人々が悲鳴をあげている声が聞こえた
職員や従業員は直ぐ、様応急手当と救急車を呼び鈴華を刺した彼は取り押さえられたがうわ言のように
「俺をフッタのが悪い!お前が………お前が!」
と言う元カレの声と必死に鈴華を呼ぶ愛しい敏樹の声。そして泣き叫ぶ百合香と美憂の声……そして必死に応急措置を施す陸。
意識が遠ざかっていくなかでどうにか口を動かし『私のことを忘れて幸せになってね』と伝えきれたかは不明だが、最後に見たのは彼らの悲痛な表情と手元にあった指輪だった
いや~別れるのなら後腐れが無いようにしないと危ないですね