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ラブゲーム!  作者: 和藤 結希花
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莉音、学校で。

「でさー!その人がすんごくかっこよくて‼︎」

「……でも、おじさんでしょ」

「もー!そこがいいんだよ!大人の余裕!ダンディ感‼︎」


 学校へ行った途端、友達に引っ張っられ、昨日あったことを話された。

 彼女の名前は宮藤(くどう)伊織(いおり)

 はちゃめちゃという言葉がぴったりな女の子だ。

 昨日、道ですっ転んだところ、通りすがりのおじさんに助けてもらったようで、そのおじさんがとてもかっこよかったと。


「あー、また会いたいな……運命の王子さま……」

「おじさまでしょ」


「何の話してるのー?」


 フッと鼻で笑い、伊織に首に絞め技かけられていた時、のんびりとした声が割って入ってきてくれた。

 あー、助かった。


「のん!聞いてくれよ!昨日道端で王子さまに助けてもらっちゃったの私‼︎」

「……そっかー。それはよかったね。ねぇねぇ莉音、購買にイチゴクリームパンが増えたらしいよ。あとで買いに行こう」

「え、ほんと?行こう行こう」


 伊織の言葉を華麗にスルーした彼女、勝田(かつた)のんは笑顔で私にイチゴクリームパンのことを教えてくれた。

 対する伊織はというと。


「ほんとか、のん⁉︎それは行かなくては!」


 おじさまの件はすっかり吹っ飛んでった模様。頭の中はイチゴクリームパンでいっぱいのようだ。


「イオちゃんはほんといつも幸せそうだねぇ」

「……それな」


 のんのさらっとした嫌味に苦笑いで答える。


 私がいつもつるんでいるのはこの二人だ。

 おバカな伊織と、のんびり毒舌なのん。

 大抵、三人が揃うと甘いものか男の話をする、そんなごく普通の友達。


「はー、彼氏欲しいよ〜」


 伊織が机の上に突っ伏す。


「彼氏って……。イオちゃんこないだ付き合ったばっかじゃなかったっけ?すぐに別れたみたいだけど」

「だから欲しいんだよ!彼氏欲しいよ!」

「そうは言ってもここ、女子校だからねぇ」


 そう、私の通っている高校は女子校だ。

 公立だが割と制服は可愛いし、世間からはお嬢様学校と謳われている。

 そんなの外面だけだけどね。


「そんなの登下校中になんとかなるでしょ!なんとかならないの莉音⁉︎」

「え、私?」

「そうだよ!うちらの中で彼氏いるの莉音だけじゃん!」


 私に火の粉が来てしまった。

 確かに彼氏はいるけどさ。


「私の場合、従兄妹だし。登下校中とか関係ないし」

「……だよね」


 伊織はガクンと肩を落とした。

 そんなに彼氏欲しいのか。


「もー、どうすればいいのさーっ!」

「いっそのこと運命に身を委ねたら?ほら、とあるキャリアウーマンがテレビで言ってたじゃん。待つのって」

「そうそう。莉音の言う通りだよ〜」


 めんどくさそうに適当なことを言う私に、めんどくさそうに同意するのん。

 うー……と、伊織は納得しない。

 すると、チャイムが鳴り先生が入ってきた。

 私達は慌てて席に着く。

 ……今だけ先生に感謝した。





 お昼休み。

 のんの言った通り、購買に行くとイチゴクリームパンが増えていて、三人とも購入した。


「あ、結構美味しい」

「ほんと、イチゴだねぇ」

「さて、彼氏の話に戻るよ!」


 またかい。

 私とのんは互いに視線を交わした。

 どうしようねって。


「さて、のん!莉音の惚気(のろけ)話を一度は聞いてみたいと思わないかい⁉︎」

「思わないでしょ…」

「思う‼︎」


 おい、のん!裏切ったな!

 のんを見ると、『ごめんねぇでも聞きたいの』という顔をしていた。

 おいおい、なぜ私があいつとのことを惚気なきゃならないんだ。


「り、お、んさーん?観念して話してくださいよぉ〜。参考までに、ね!」


 悪どい顔をして伊織が詰め寄ってきた。

 うぅ……。

 これは話すまで解放してくれないパターンだな。


「……ゲーオタだよ。私にゲーム教えてくれたのも彼氏。この間の金曜日も夜中の12時くらいまで一緒にゲームした」


 そう言ってお茶をった。



「……そういえば、莉音ってめちゃくちゃゲーム強かったよね……」

「彼氏の影響だったのか……」


 二人は私とゲーセンに行った時のことを思い出しているのだろう。

 あの時、大人げなくはしゃいで高得点叩き出しちゃったからなぁ。


「…まぁね。付き合う前、私ガリ勉で超神経質だったんだ。それを見兼ねたあいつがゲームを教えてくれたの。まぁ、それだけじゃないんだけど、あいつがいなかったら、私ここにいなかったかもね」


 いつも何をするにも決められた道を歩んでいた私が、自分でこの学校に行きたいと思うことができたきっかけを作ってくれたのだ。


「……彼氏さんに感謝だね」

「ほんとだな。莉音に会えてウチら幸せだし!」


 のんと伊織が微笑を浮かべてそう言った。

 ……なんだか気恥ずかしいな。

 熱くなった顔を見られないように(ひじ)をついて頰に手を当て、隠した。


「でも、基本あいつバカだからね。私がしっかり尻に()いてるよ」

「あ、なんかわかる気がする」

「本当に彼氏さんの上に座ってそうだよね、莉音」


 二人は大真面目な顔をして言った。

 ……あれ、ここ笑うとこだよ?

 何マジレスしてんの。

 ま、いいか。私もあんた達に会えて幸せだよ。

 恥ずかしいから言わないけどね。


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