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ラブゲーム!  作者: 和藤 結希花
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身体測定。

 今日は身体測定の日。

 教室はいつも以上に賑わっていて、『今日のためにダイエットした』とか『今日はご飯抜いてきた』とか女の子らしい会話が聞こえてくる。しかしダイエットとか私は何もしていない。自信があるわけではないのだ。むしろお菓子ばっかり食べているのでかなりヤバイと思っている。

 ……面倒だったのだ。色々と。

 ダイエットしようとしたら華南ちゃんに全力で止められたのだ。『莉音がダイエットなんてしたらあなたより太ってる私はどうすればいいの』と満面の笑みで。目は笑ってなかったが。

 第一、華南ちゃんは太ってないじゃんと言えば、『嫌味かぁ〜〜‼︎』と叫んで走り去ってしまった。

 一部始終を見ていた直生からは『俺は太ったと思うけど』と、しれっとした顔で言われたのでとりあえず蹴っ飛ばしておいた。他の人ならいいけど、あいつに言われるのはなぜか相当ムカつく。


「まぁ、太ったのは事実だろうけどさ……」

「莉音が太ったとか嫌味にしか聞こえないからやめてね」


 ボソリと呟いたら隣にいたのんから即座に反応があった。みんな何なの?そんなに私スレンダーな体型してないけど?いや、少女漫画のヒロインにありがちな鈍い子設定とかじゃないから私。普通に本当のことだから。


「私はバッチリダイエットしたぞ。昨日の夜から絶食してるし」

「心配してないけど倒れないでよ?」

「そこは心配してくれよ⁉︎」


 だって絶食したって割にはいつも通り顔色いいし。

 フラついてもいないし。


「イオちゃん絶食したって言う割には絶対にお菓子とかちょいちょい食べてるよね?」

「うっ」


 のんの言葉にギクリと肩を強張らせる伊織。図星なのか。絶食の意味調べて来い。


 そんな会話をしていたら、羽沢先生が教室に入って来た。高1、高2の記録が既に記入されている健康カードを配り、身体測定の注意事項をくどくどと説明する。


「いいか。女なら正々堂々と勝負しろ。絶対にズルとかするなよ!」


 最後にビシッと言われたが、男なら正々堂々じゃなくてもいいのか?とか、どこにズルする余地があるのか?なんて可愛くないことを考えながら返事をした。




ーーー


 結果を言うと私は去年より直生の言った通り体重が増えていた。あいつ以外のみんなの目が節穴だった。

 ……なんかやっぱりムカつくからこっそりあいつのゲームリセットしてやろう。

 まぁ、それはさておき。


「どうしよう、莉音。殺意が溢れて止まらない」

「のん、のん。落ち着こう。その殺意鎮めよう。鎮まりたまえー」


 身体測定が終わった今、珍しくのんがキレていた。片手に持った健康カードをグシャアと握っている。普段おっとりしている子が怒るとすごく怖い。マジで怖い。


「あいつ絶対許さねぇ……!」


 あまりの怒りにのんの口調が変わってきてしまった。……これどうすればいいの?

 頭を抱えていると、助け船と呼んでいいのかわからないが、5分くらい前にトイレに行っていた伊織が帰ってきた。


「うわ、のんがご乱心だ。どうしたんだ莉音?」

「……体重測定の結果の記入を生物の黒谷先生が担当したんだけどさ、のんの健康カードに判子押す時、過去の体重見たらしくて」

「うん?」

「『あら、あなた去年より2キロも太ったのね』って結構大きな声で言ってしまったんだよ」

「…………」


 あの先生は生活指導の先生でもあり、よく生徒を見ている。しかしデリカシーがないところがあり、あまり人気がない三十路の女の先生だ。



「ぶっころ……」

「ストップ。その先言っちゃダメ」


 別のことを考えていたら、のんから何やら不穏なワードが出てきそうだったので待ったをかけた。


「うぅ……。太っちゃったし、それを公衆の面前で暴露されるし……」


 まさに踏んだり蹴ったり。のんはしくしくと顔を覆って泣き始めてしまった。


「の、のん!身長伸びたんじゃないか?だから体重増えたとか」

「……え」

「そうだよきっと。さぁ測りに行こう」


 ナイスだ伊織。それがあったか。

 のんが何も言わないうちに伊織と共に彼女を引っ張って行く。ああどうか神様。普段は微塵も信じてないけど今だけ信じます。少しでものんの身長が伸びてますように……!


「1センチ……伸びてた……!」

「「神様万歳」」



 伊織と手を取り合って喜びまくった。どうやら伊織も神頼みしていたようで、おいおい泣きながら喜んでいる。

 あれ?身長と体重の比率合ってなくね?と思った方々。深く考えてはいけない。重要なのはのんの機嫌が戻ったことだ。


 ……しかしこれで今年一年分の運を使い果たしてしまったのではないのだろうか。いや、まさかね。









 その考えは結構当たっていて、私はこれから今までののんびりとした生活から一転して、事件とも言えるような出来事が起こってしまうことを今の私は知る由もなかった。


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