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ラブゲーム!  作者: 和藤 結希花
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大輝さん、ドンマイ。

「ただい……」

「あっはっは!もう無理!」


 学校から帰ってくるなりリビングの扉がいきなりバンッと開いて莉音が出て来た。しかも満面の笑みだ。なんだこのいつになく愛らしい莉音さんは。久々だぞ。


「あ、直生おかえり!早く来て!すごいから」

「は?」


 俺の腕をぐいぐい引っ張りリビングへと連れ込む。


「…………」

「あはははっやばいやばいっ」


 無言の俺。

 そして俺の隣で狂ったように笑う莉音。


 俺らが見ているのは女装している大輝さん。なんと俺たちに因縁のあるメイド服を着ている。しかし……ごついし、ごついし、ごついし……。



 正直言ってキモい。



「な、直生⁉︎帰って来てたのか⁉︎あ、あのな、これには深ーい訳があってな……」

「目が腐る」

「そこまで言うか⁉︎」


 未だ腹がよじれるほどに笑っている莉音は話などできるような状態ではないので、物凄く関係がありそうな姉貴に聞くことにした。仁王立ちでやり切った顔をしているし、絶対関係あるなコレ。


「姉貴、これは……」

「罰ゲームだよ」


 めっちゃドヤ顔な姉貴。

 罰ゲーム?ゲームしてたのか?


「さっきまで三人でババ抜きしてたんだけど、莉音の提案で一抜けの人が、ビリになんでも一つ命令するってことになって」


 あ、なんか読めてきたぞ。


「私が一抜けで大輝くんがビリだったからメイド服着てって命令したの!」


 全っ然深ーい訳でもねーじゃねーか。

 ていうか、さすがだ莉音。悪どいな。まだ笑ってるし楽しそうでなによりだ。


「か、華南ちゃん!もう脱いでいいか⁉︎」

「えー、まだだよー。これから撮影会があるんだから」

「えええええ」


 大輝さんは俺に助けを求めるような目を向けてきたが、莉音の提案なら仕方ない。

 ドンマイ。


「……なんつーか、平和だな」


 ボソリと発せられた俺の言葉に反応する者は誰もいない。

 三年前、俺らがこうやってバカやれるだなんて思いもしなかった。ましてや莉音がこんなに笑っていることなんて誰が想像できようか。


「あはははっ直生っ直生っ!どうしよう笑いが止まらない!」

「それは良かったな」


 そう言いながら、落ち着かせようとポンポン莉音の背中を叩く。

 なんかこいつ酒飲むと笑い上戸になったりして……。いやいや、ないない。ないぞ、絶対。たぶん。きっと……。


 次第に笑いが収まってきて、何度も深呼吸を繰り返していた。


「あー、腹筋がやばい。絶対明日お腹筋肉痛だよ」

「どんだけ運動不足なんだよ」


 あれで筋肉痛とかありえねぇ。

 ……いや、冬の間こんだけダラダラしてたんだ。もしかしたらもしかするかもしれない。


「……お菓子くれたら治るかも」

「治らねーよ。どういう仕組みなんだよお前の体は」

「じゃあ、明日のホワイトデーに期待だねぇ」

「はいはい」


 倍返しだろ?知ってる知ってる。

 もうちゃんと一箱20個入りのお歳暮みたいな箱菓子買ってきてるから。20個だぞ、20個。倍返しどころじゃねーよ。俺すげーいい彼氏。


「何くれんの?てか、今日も明日も変わらないよ。ちょうだい」

「明日まで待て」

「えー」


 筋肉痛治るかなーなんて呟く莉音。まじでお前の体はどうなってんだよ。


「……応急処置」

「おお、飴。しかもミルクティー味」


 しょうがないから偶然今日遼から貰った飴を与えた。さっそく口の中でコロコロと飴を転がし、めちゃくちゃご満悦な様子。


「復活」

「あっそ」


 こちらは解決したようなので、問題の大輝さん達の方を見ると撮影会が行われていた。


「はい、目線こっち!動いちゃダメ!」

「うぅ……」


 大輝さんはかなり憔悴しているが、まぁ、止められるわけもないし、静観を決め込んだ。


 姉貴の一眼レフ、あれはバイトしてやっと手に入れたらしいけど、あんなの撮っても無駄ではなかろうか。

 そんなこと思っていると、袖が引っ張られた。そちらを見ると莉音がニヤニヤしている。


「ラブラブだねぇ」


 人生的には姉貴の方が先輩だが、恋愛ごとに関しては莉音の方が先輩だ。

 姉貴はもしかしたらこいつみたいなのになるのでは……と恐ろしいことを考えながら「そうだな」と答えた。




 結局、撮影会は夕飯になるまでずっと行われたのだった。

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