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ラブゲーム!  作者: 和藤 結希花
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朝、私+彼氏+兄。

 日曜の朝。目を開けると太陽が窓から差し込んでいて眩しい。

 いつもはこんな時間帯に日が差し込むことなんてないのに何事だと目を開けたら我が彼氏がいた。


「……眩しい…………」

「随分と間抜けな寝起き顔だな。寝癖ひどいし」

「るさ……カーテン閉めてよ……」

「まだ寝るつもりか?起きろ」


 ベリッと布団を剥ぎ取られた。寒い……。けどコタツまで歩くのも億劫だな。


「……私に昨日負けたからって乱暴は良くないよ直生」

「どこが乱暴だ。どう見ても優しさだ」


 絶対嘘だ。だっていつもお昼ちょっと前まで寝てても何もしてこないのに、今日に限ってこんな嫌がらせをしてくるし。

 私はしぶしぶベッドを降りて支度を済ませた。眠いけど。


「あれ?まだ8時なのに直生とお兄ちゃんしかいないの?」


 リビングへと行くと男二人しかいなくて。今日はなんかの日だったかと考えるも何も思い出せない。


「優おじさんは休日出勤。母さんは花奈おばさんとショッピング。華南ちゃんはコスプレ仲間たちと集まるんだってさ」

「へー、みんな忙しいんだねぇ」


 のんびり朝ごはんを食べながらお兄ちゃんからの情報を耳に入れる。私は今日何しようかなー。


「あ、そだ直生。今日暇?」

「え?ああ」

「じゃあ、罰ゲーム発動ね」


 途端に苦い顔をする直生と哀れむような目を直生に向けるお兄ちゃん。昨夜ゲームして勝ったのだ。だから罰ゲーム。ふふ、私のアイちゃんの全勝でした。


「バレンタインのお菓子作るから手伝って」

「いや、おかしいだろそれ」


 本来貰う側の俺がなんでお前と一緒に作らなきゃいけないのか。そう言いたいんですね。


「もちろんあんた達にあげる分は私一人で作るよ。今日作るのは私の友達にあげる分」

「いやいや、それもおかしいだろ……」


 額に手を当て、うなだれる直生。私の友達に作るお菓子をなんで俺が手伝わなくちゃいけないのか。そう言いたいんですね。


「大丈夫。あんたは材料買い出しに行くだけだから」


 要するに使いっ走りにします。笑顔でそう言うと

「…………はい」と返事をした。


「黒糖と薄力粉。この二つ買ってきてね」

「はいはい……ん?黒糖?チョコは?」

「ふふ……いいんだよ。あの子達もなんか仕掛けてくるから」

「は?」


 何がなんだかわからないという顔をしてますね。あんたは知らなくてよろしい。


「あんたはホワイトデー何くれんの?私優しいから3倍返しのところを倍返しで我慢してあげるよ」

「はえーよ。そして倍返しを要求してるところで優しいとは言えねーよ」


 ぶつくさ言いながらも毎回倍返しにしてくれるからね、この男は。課金以外ならちゃんと約束は守る奴なのだ。


「お兄ちゃんは?華南ちゃんに何返すの?」


 そう聞くと赤面するお兄ちゃん。あたふたしていて可愛い……いや、気持ち悪い。乙女か。


「それが、全然思い浮かばなくて……。な、直生!華南ちゃんって今何が欲しいんだ⁉︎」

「最近は……ウエディングドレス欲しいってぼやいてたな」

「ウ、ウエディングドレス⁉︎」


 ますます赤面するお兄ちゃん。より気持ち悪いんだけど。直生もお兄ちゃんで楽しむなよ。めっちゃニヤニヤしてんな、おい。私も混ざろう。


「お兄ちゃん手が早いなー。もうプロポーズしたんだ」

「てことは大輝さんが兄貴になるのかー、いやー、結婚式楽しみだなー」

「日にち決まったら教えてよね」

「じゃ、さっそく姉貴に祝いのメールを……」


 二人でスマホを操作し始めるとお兄ちゃんは慌ててスマホを奪った。空気読めないなぁ。ここからが楽しくなるところじゃん。


「おいおいちょっと待て!俺はプロポーズなんかしてない!それにそれはコスプレの話なんじゃないのか?」

「「そうに決まってんだろ、バーカ」」

「なっ⁉︎」


 声を揃えて罵る私達。

 お兄ちゃんまだ大学生なんだからプロポーズなんてしないのはわかってる。純情だし。ヘタレだし。


「まぁ、アクセサリーでも菓子でもあげたらいいんじゃねーの?大輝さんがあげれば姉貴は大抵喜ぶだろ」

「そ、そうか⁉︎」

「そーそー」


 興ざめした私達はかなり適当に言ったがお兄ちゃんは照れたようにあちこちに視線を巡らせた。うん、キモい。


「あ、直生。あんたはお菓子だよ。私、アクセサリーとか全然いらないから」

「知ってる」


 アクセサリー付けるよりも甘いもののほうがずっといい。


「堂々と欲深いよなぁ、お前。直生限定で」


 呆れながら言うお兄ちゃん。だけど、直生は笑った。ものすごく優しい顔で。私はもちろんのこと、お兄ちゃんの体までもカチンと凍った。


「なんだお前ら」

「……なんだはこっちのセリフだよ……あんたどうしたの?熱あるの?」

「直生っ!寝てろ!」


 私は直生の額にベチッと手を当てて熱があるのか測り、お兄ちゃんはその辺にあった毛布をバサッと直生にかける。

 ああ、ここ数年こいつは熱なんて出してなかったのに……。


「あーもー熱なんてねーよ。散れ散れ」

「じゃあどうしたの?いつなん時も無表情か小馬鹿笑いなのになんで……」

「それそのままお前に言い返したいんだけど。笑ったのは……まぁ、たぶん、……」


 たぶんの後に何かゴニョゴニョ言ってるようだったが上手く聞き取れなかった。


「何?なんて言ったの?」

「あーうるせーうるせー。黒糖と薄力粉だな?買ってくる」


 バタバタ出てった直生をポカンと見つめる私達。


「なんだったんだ?」

「さぁ?」


 彼が帰ってきてからも疑問は疑問のままだった。


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