クリスマス、学校で。
ビルの大きなテレビからクリスマスソングが流れている。
街はいつにも増して賑やかで、人々は楽しそうに買い物やデートを楽しんでいる。今日はクリスマス。おとといからやっと冬休みに入った。
そんな日に私はどこへ向かっているかというと。
「あー、冬季講習めんどくさい……寒い」
学校である。
「メリクリー!莉音!」
「莉音、おはよー。相変わらず寒さで震えてるねぇ」
教室へ入った途端に伊織とのんが走り寄ってきて、はい、と小包を渡してきた。
「ありがとう。私もこれ」
それは約束の物々交換。伊織とのんがくれたのはクッキー。私があげたのはカップケーキだ。
伊織がさっそくカップケーキの包みを開けて食べ出したので私もクッキーの包みを開けて食べてみた。まずはのん。思っていた通りで、すごく美味しかった。 問題は伊織のだ。深呼吸してから包みを開けた。
「あ、美味しそう」
普通に美味しそうなクッキーで、私はパクリと食べた。
……うん、ちょっと刺激的な味でした。
「どう?どうだった莉音!」
うっ、そんなキラキラした目で見ないで……。そんな目で見られたら……。
「うん、どっちも美味しかった」
こう言うしかないじゃん。
伊織はよかったーと喜んでのんは何か察したのかすまなそうに笑っていた。
「莉音のカップケーキもすごく美味しいよ!」
「本当?よかった」
イブの日の夜に頑張って作った甲斐があった。作る約束を忘れてて、慌てて真夜中に眠気と戦いながら一人でひっそりと作ったのだ。家族用のクリスマスケーキはまだだが、帰ってから作っても問題はないだろう。
「あ、今夜大雪だって。サンタさん大変だね」
のんがスマホを見ながら呟く。途端に伊織がバカにしたような顔をした。
「のんってばまだサンタさん信じてるのー?」
「信じてないよ、去年真実を知ったおバカさん?」
「ムキー!」
のんの毒舌にやられて伊織の顔が赤くなった。なんだか暖かそうなので両手で伊織の頰を包んでみた。思っていた通り、暖かい。
「り、莉音?どしたの⁉︎」
「んー、なんかあったかいかなって」
「どれどれ、じゃあ私も……」
のんも伊織の頰に手を当てて、暖をとり出す。うーん、やっぱ人間カイロっていいと思う。ぬくい。
「ちょっとお二人ともー。私だけほっぺ冷たくなってきたんですけど!」
「えー、もう少しで暖まるから待ってー」
「いや、私は寒いんだよ!」
仕返しとばかりに伊織は両手で私達の頰を触ってきた。
「……イオちゃんの手、暖かいからより暖まるね」
「それな」
「何ー⁉︎」
体温が高いっていいな。低体温の私には羨ましい限りだ。
ぬくぬくしているうちにチャイムが鳴り、授業の時間になったので、私達は慌てて席に着く。
すぐにガラッと音を立てて先生が入ってきて、……クラス中が、硬直した。
「メリークリスマス!」
そこには先生じゃなくて赤い服に白い髭のサンタさんがいたから。
伊織を見てみると、「サンタさん、初めて見た」という顔をしていた。のんは苦笑いをしている。
のんの反応が正解。だってさ……。
「みんなに抜き打ちテストのプレゼントじゃー‼︎」
「「「「「ギャーーーー‼︎⁉︎」」」」」
サンタさんはやっぱり大人でしたので。




