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ラブゲーム!  作者: 和藤 結希花
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直生の煩悩。

 部活から帰ってくると、コタツに入りゴロンと寝転んでいるでかい猫を発見した。


「おい、コタツで寝ると風邪ひくぞ」


 ゆさゆさと揺すると彼女は身じろぎする。


「うー……うるさい、あんたが構築してきたリアのデータリセットしてやる……」


 寝ぼけた声でとんでもなく恐ろしいことを言う莉音に俺は青ざめてしまった。

 気づけば、また眠り出す。


 本当、こいつコタツ大好きだよな。もしかしたら俺より好きかもな。

 なんとも言えない気持ちにおそわれながら、莉音と向かい合うような形でコタツの中に入り寝転んだ。


 当然だが目の前には莉音の顔。いつもの憎たらしい顔ではなく、普通に年相応の少女の顔。まぁ、なんというか……。


「はー……」


 一週間のうちの三日間は一緒に寝てるっていうのに、何を今更。

 顔にかかった前髪をはらってやると擽ったそうにするも、すぐに安らかな顔に戻った。

 ……何こいつ。本当に困るんだけど。


 イラつき、つんつんと彼女の頰をつつくと不快感を露わにして眉間に皺を寄せる。止めて眉間の皺を撫でると、しょうがない、とでも言うように元に戻った。


 その手を頰に持って行き、するりとその白い肌を撫でてみる。今度は何も起こらなかった。擦り寄ってくるとかすればいいのに。


「可愛いげねー……」


 ボソリと呟くが何の反応も返ってこない。


 ……魔が差したのだろうか。

 指を唇に乗せ、つー、と滑らせてみた。やはり反応はない。


「お前のせいだからな」


 そう呟き、彼女の唇を奪った。

 パクッと食べるように。

 角度を変えながらそうしていると段々と(よこしま)な気持ちが溢れてきてしまい、慌ててバッと莉音に背を向けた。

 ああ、もう俺も眠ってしまおう。風邪ひくとかもうどうでもいい。本当にこれ以上はダメだ。今まで積み重ねてきた信頼がなくなってしまう。


「ふふ、なおー」


 思いもしなかった声にビクッと体が跳ねる。

 恐る恐る顔を見ると眠っていた。ああ、よかった、寝ぼけているようだ。


「ぎゅー」

「え」


 「ぎゅー」と言いながら彼女がしてきたのは、もちろんその『ぎゅー』で。

 ……まぁ、抱きしめられている。いつもは俺から彼女を抱きしめるのに、今日は莉音から抱きしめられている。慣れないことに俺はピシリと固まった。いつもスーパードライに活動しているこいつがデレるのは本当にごく(まれ)だ。

 それで、その、なんというか……、ああもう不本意だが心臓が大忙しだ。

 そんな俺をよそに、後ろから寝息が聞こえるので莉音はどうやら寝てるようだ。俺を後ろから抱きしめた状態で。


 ……これは、いけない。ダメだ。


 何がダメって俺が莉音に背を向けていることがだ。抱きしめ合うのが普通だろう。

 でないと、いろいろとダメなんだ。今まであまり気にしてなかった部分が当たって気になってしまうのだ。


「……成長してたんだな」


 だれにともなく呟く俺。

 こいつにこの言葉の真意がバレたら引っ叩かれるどころの騒ぎじゃないだろう。しばらく口をきいてもらえなくなる。


 俺はもぞもぞと向きを変え、莉音と向かい合わせになる。腕を回し足を絡めた。いつもの体制。


「おやすみ、莉音」


 そう呟き、そっと目を閉じた。



 買い物から帰ってきた母さんがそれを発見し、二人ともコタツのおかげで汗だくになり怒られるのはもう少し後。

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