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太陽のオトシゴ  作者: 南多 鏡
第二部 相棒
13/22

その尊き願いを/■

 どこともわからない真っ暗な空間。

 そこでかちりという音と共に何かのスイッチが入ると、照明が点いた。


――背信、ログイン確認。

――拒絶、ログイン確認。

――偽造、ログイン確認。

――改竄、ログイン確認。


 照明が当てられたのは、全員が黒い鎧に身を包んだ相棒達だった。そんな彼らは粗末な椅子に腰を下ろし、どこか楽しそうにクスクスと笑っていた。


「リベリオンのあの姿、くくく……無様でしたねぇ」


 偽造の席に座るファブリケイトは、背信の席に座るパーフィディへと笑いながら話しかけた。


「両手が爪になったせいで自分の身すらも傷付ける。ははは、反逆の名に相応しいだろう?」

「素晴らしい着せ替えです、パーフィディ。ところで……このまま彼を放っておくのですか?」

「そのつもりだよ、『ヤ=テ=ベオ』のデータも必要だしね。それに不要になったら勝手にジャスティスが追い詰めるさ。仮想人権侵害、無許可感覚共有強制、殺人未遂、サイバーテロ実行。はは、今の世の中でも死刑になるかもね」


 パーフィディは楽しそうに笑っていた。


「とは言え、代わりの使いやすい駒を探さないとね」


 パーフィディの言葉に、拒絶の席に座るリジェクトが手を上げた。


「はいはーい! 愛華っていう人間をまた使うことを提案しまーす!」

「リジェクトは本当にその人間がお気に入りですねぇ」

「超面白いよ、あの子!」


 ファブリケイトはうんうんと頷きながら、彼女を見ていた。


「リジェクト、どう使うつもりなんだい? あの木偶人形を」

「そういうのはパーフィディとアルターが考えてくださぁい」


 パーフィディとファブリケイトは肩を竦めてアルターを見た。


「君はどうかね、アルター」


 改竄の席に座るアルターは、顔すら覆う長い髪を動かしてリジェクトを見た。


「私の赤ちゃん」

「なーに、アルター?」

「愛華、好き?」

「うん!」


 髪の隙間から、アルターの金色の瞳がちらりと見えた。その目は楽しそうに歪んでいる。


「可愛い可愛い私の赤ちゃん」

「なーに、アルター?」

「愛華、欲しい?」

「うん!」


 笑顔で頷くリジェクトに、アルターはケラケラと笑った。


「良い子良い子、私の赤ちゃん良い子。ファブリケイト、協力を要請」

「あなたはリジェクトには甘いですねぇ……良いのですか、パーフィディ?」

「構わんよ。アルターが楽しそうで何よりだ」

「ならば準備を急ぎなさい。リジェクト、ファブリケイト、アルター。もう行って良い」


 三人は空間から一瞬で消え、同時に照明も消える。


「アルターは壊れているほうが良い仕事をする。少し……無理をさせるか」


 パーフィディが指を鳴らすと、目の前にホログラムが現れた。


「早く目覚めておくれ……〝涜神とくしんのブラスフェミィ〟……君の為なら全て捧げるよ」


 愛しそうにそのホログラムに指を触れ、彼はほろりと涙を流す。しかし何故か彼は楽しそうに、鼻歌を口ずさんでいた。

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