その尊き願いを/■
どこともわからない真っ暗な空間。
そこでかちりという音と共に何かのスイッチが入ると、照明が点いた。
――背信、ログイン確認。
――拒絶、ログイン確認。
――偽造、ログイン確認。
――改竄、ログイン確認。
照明が当てられたのは、全員が黒い鎧に身を包んだ相棒達だった。そんな彼らは粗末な椅子に腰を下ろし、どこか楽しそうにクスクスと笑っていた。
「リベリオンのあの姿、くくく……無様でしたねぇ」
偽造の席に座るファブリケイトは、背信の席に座るパーフィディへと笑いながら話しかけた。
「両手が爪になったせいで自分の身すらも傷付ける。ははは、反逆の名に相応しいだろう?」
「素晴らしい着せ替えです、パーフィディ。ところで……このまま彼を放っておくのですか?」
「そのつもりだよ、『ヤ=テ=ベオ』のデータも必要だしね。それに不要になったら勝手にジャスティスが追い詰めるさ。仮想人権侵害、無許可感覚共有強制、殺人未遂、サイバーテロ実行。はは、今の世の中でも死刑になるかもね」
パーフィディは楽しそうに笑っていた。
「とは言え、代わりの使いやすい駒を探さないとね」
パーフィディの言葉に、拒絶の席に座るリジェクトが手を上げた。
「はいはーい! 愛華っていう人間をまた使うことを提案しまーす!」
「リジェクトは本当にその人間がお気に入りですねぇ」
「超面白いよ、あの子!」
ファブリケイトはうんうんと頷きながら、彼女を見ていた。
「リジェクト、どう使うつもりなんだい? あの木偶人形を」
「そういうのはパーフィディとアルターが考えてくださぁい」
パーフィディとファブリケイトは肩を竦めてアルターを見た。
「君はどうかね、アルター」
改竄の席に座るアルターは、顔すら覆う長い髪を動かしてリジェクトを見た。
「私の赤ちゃん」
「なーに、アルター?」
「愛華、好き?」
「うん!」
髪の隙間から、アルターの金色の瞳がちらりと見えた。その目は楽しそうに歪んでいる。
「可愛い可愛い私の赤ちゃん」
「なーに、アルター?」
「愛華、欲しい?」
「うん!」
笑顔で頷くリジェクトに、アルターはケラケラと笑った。
「良い子良い子、私の赤ちゃん良い子。ファブリケイト、協力を要請」
「あなたはリジェクトには甘いですねぇ……良いのですか、パーフィディ?」
「構わんよ。アルターが楽しそうで何よりだ」
「ならば準備を急ぎなさい。リジェクト、ファブリケイト、アルター。もう行って良い」
三人は空間から一瞬で消え、同時に照明も消える。
「アルターは壊れているほうが良い仕事をする。少し……無理をさせるか」
パーフィディが指を鳴らすと、目の前にホログラムが現れた。
「早く目覚めておくれ……〝涜神のブラスフェミィ〟……君の為なら全て捧げるよ」
愛しそうにそのホログラムに指を触れ、彼はほろりと涙を流す。しかし何故か彼は楽しそうに、鼻歌を口ずさんでいた。