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計画

 

 奏たちが案内された部屋で一息ついてる頃――――



「モーゼよ。勇者たちの中で絶対に我々に協力しそうにない者はいたか……?」


「はい陛下。やはり先ほど謁見の間において場を乱した者ですな。あの者は大魔王討伐がついでに過ぎないことを分かっているように見受けられました」


「チッ!あいつか……。わしを見下したような目で見ておったわ!気に食わん!」


「危険ですね。あの者が他の勇者たちに悪影響を与える前に対処した方がいいでしょう。他の勇者たちに関しては、あの者さえいなくなればこちらに逆らうようなことはしないでしょう。大魔王と戦うことに賛同したサワキと呼ばれていた者があの集団のトップのようでしたので」


「消すのか?」


「いえ。さすがにそれはリスクが高すぎます。まだあの勇者がどんな能力を持っているかも分かりません。たとえ成功したとしても他の勇者たちの能力次第では消したことがばれる可能性もあります」


「ではどうするのだ!それにエリーゼがあいつを気に入ってるのだぞ!ここに長く留めておくなど考えられん!もし間違いが起こったら目も当てられん……」


「落ち着いて下さい陛下。あの者が自分からここを出て行ったという形にすればいいのです。明日、あの者が一人でいる時にいくらか金を渡し、穏便にここから去ってもらいましょう」


「……気に食わんが仕方あるまい。ここにいられるよりずっといい。明日の能力鑑定で使えない能力であることを祈るか。そっちの方がここを出て行く理由として説得力がある」


「ええ。エリーゼ様や他の勇者たちにあの者が去った理由を聞かれたら、私からうまく説明しておきますので……」


「すべては明日だな」



 

 

 こうして奏にとってハッピーな計画が練られたのだった……








 

 



 奏の部屋――



「んー、どうしよう」 



 神爺はアルガルドに行けば絶対能力の中身が分かる的なこと言ってたけど全然分からん……。そもそも自分の能力ってどうやって見るんだ?もっと詳しく神爺に聞いておけばよかったなぁ……。明日能力鑑定するっぽいからその時分かるか。でも、絶対能力持ってることばれたら色々めんどくさいことになりそうだなー。もし、ばれて強制的に何かされそうになったら明日分かるであろう能力を使って逃げよう。うん。そうしよう。おそらく能力の詳細さえ分かれば使えるようになるはず……。 


 それより昼休みの終わり頃、召喚されたはずなのにこっちはもう夜なんだな。窓の外見てみたら暗いしびっくりしたよ。さっきメイドさんの「こちら夕食になります」発言で一応納得した。時差に慣れなきゃな。ちなみに夕食は先ほど昼食を食べ終わったばかりにも関わらずがんばって全部食べた。せっかくメイドさんがわざわざ持ってきてくれたものだしね。


 勇者沢木とはまた明日話せばいっか。今日はもうこれ以上疲れたくないし。勇者スイッチの入ったあいつに何を言っても無駄だろうからな。こっちに来て慣れないことしたせいで精神的に疲れた……。明日も色々起こりそうな気がするし、今日はもう寝るとしますかね……。






 



 ちなつの部屋――


 

「琴美ちゃん……。沢木くんどうしちゃったんだろうね」


「たぶん元々正義の味方?みたいなのに憧れてたんじゃないかな。男の子だし……。それでこっちに来て勇者になっちゃったから……」



 現在、ちなつの部屋には琴美が訪問していて、お互い色々と話し合っている。



「そうなのかな……。でも奏くんがあんな風に意見するの初めて見たよ。せっかく戦いたくない人たちを代表して発言してくれたのに……私ただ見ていることしかできなかった」


「それを言ったら私もだよ。雰囲気に呑まれて早乙女くんを援護できなかったよ……」


「私たちダメダメだね……」


「「はぁ……」」



 なんともブルーな空気が部屋全体を覆っていた。



「よしっ!今更言ってもしょうがないし、うじうじするのはもう終わり!もし明日同じような場面があったら今度こそ奏くんに加勢しようよ!」


「うん!せっかく今日早乙女くんに励ましてもらったのに何もできないなんて嫌だもんね!」


「そうだよ!だ、だって私なんて奏くんにそ、傍にいてくれなんて言われちゃったんだからっ!」


「ちなつ……。それ頭の中で脚色しすぎだよ!なんで早乙女くんから頼んだみたいになってるの!?ただしばらく傍にいてもいいよって話でしょ?それでも羨ましいけど……」


「ふっふっふ。私が一歩リードですな~琴美ちゃん」ドヤッ


「む、むかつくぅぅぅ」



 案外この世界に来て一番元気なのは、なんだかんだでキャッキャしてるこの二人かもしれない……。



「早いけどそろそろ消灯だね。ホントは今から二人で奏くんの部屋に行って今日の謁見の間でのこと謝りたいんだけどね~」


「そうだね。明日ちゃんと謝ろう」








 こうして召喚初日は過ぎて行った。そして、次の日から奏は伝説の一歩目を踏み出すことになる。











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