表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/38

年長者の助言と新たな能力

 コッコピーポ討伐の依頼をギルドの一番右端のカウンターで受注した時には、既にプレート更新時間の10分が経っていた。ミザリーさんの所へ行くと、笑顔で「更新できました。パーティーの活躍期待してますね!」と言って、プレートを渡してきた。


 そりゃあ、ミザリーさんに期待されたら頑張るしかないですよ!今日も、いい笑顔ですね!営業スマイル臭が微塵も感じられない。俺がチョロイだけかもしれないけどね!


 ミザリーさんと頭の犬耳に「行ってきます」をして、俺たちはギルドを出て、西門へ向かおうとしたところで、レクシャに呼び止められた。なんですかい?



「まず、食料と飲み水を補充しないとダメね。あと、カナデはそのベルトに無理矢理装着してる、棍棒以外にも剣を買った方がいいわよ」


「なるほど。確かにそうだ」



 依頼で街から移動するときは、食料はもちろんのことだが、武器の整備や調達も当然必要になってくる。この棍棒を装備してるので、武器のことを失念してたけど、所詮ゴブリンの棍棒だもんね。作ったゴブリンには申し訳ないけど、非常に頼りない。だって、木製だし……。



「わたしとルノちゃんは食料とかを買ってくるから、カナデは武器屋で青銅製か鉄製の剣を買うってことで、一旦別れましょ。30分後、ここに再集合ってことで」




 


 


 そんなこんなで、冒険者ギルドと同じ西エリアにある武器屋に来たんだが、店主のおばあちゃんが寝ている。それはもう盛大に、いびきまでかいて寝ている。ちゃんと起きてないと、大事な武器盗まれますよ、おばあちゃん。この街は銀貨2枚あれば悪党でも入れるんですよ、おばあちゃん。起きてくれー。


 奏は、樽に突っ込んである一本銀貨1枚の青銅の剣を選んだ後、爆睡しているおばあちゃんを眺めながらどうしようかと考えていた。なにか面白い起こし方はないものかと。



 考えた末、普通に揺すって起こすことにした奏だった。




「な、なんだってんだい、今は夢の中さね。もう少しでお爺さんがいる、あの雲の上に行けたのにねぇ」



 何度か揺すった結果、起きたのはいいが、完全に寝ぼけている。というかその夢まずいんじゃないでしょうか、おばあちゃん!この世界では、三途の川の概念はないかもしれないけど、その類のものじゃないの?


 心配になって、もう一度優しく揺すった結果、今度はちゃんと起きたみたいだ。



 なんで武器屋で俺がこんなにハラハラしなきゃいけないんだ……。でも、一人のおばあちゃんを救えたと思えば、こちらとしては御の字ですよ。



「おや、客だねぇ。起こしてくれたのはお前さんかい?」


「ええ、まあ。それでこの剣を買いたいのですが」



 よかった、大丈夫そうだ。まだ寝ぼけてたらどうしようかと思った……。



「起こしてくれてありがとうねぇ。起こしてくれた礼でその剣はタダでいいさね」


「いや、せめて割引にして下さい。タダだと流石に悪いですので」


「ほぅ、若いのにしっかりしてるねぇ。それなら銅貨30枚でどうだい?」


「それなら」



 最初はどうなることかと思ったけど、話してみたら意外に気のいいおばあちゃんだな。



「プレートを首から下げてるってことは、お前さん冒険者だね」


「昨日、なったばかりのFランクですがね」


「西の大森林に行く時は、気をつけなよ。なんでもBランクの魔物が出没したらしいからねぇ」


「肝に銘じておきます」



 げっ!西の大森林って今から行くとこじゃん……。


 もしかして、この街の冒険者が多い理由ってそいつを討伐するためなのか?可能性としては非常に高いな。これはコッコピーポなんて狩ってる場合じゃないかもしれない……。いや、でも大森林って言うくらいだから、相当な広さの森なはず。出くわす可能性はかなり低い。一応、レクシャたちにも警告しとくか。



「若いもんは勢いづいて、魔物の力量も関係なしに挑んで死ぬのが多いからねぇ。お前さんも頭に入れときな。一度、死んだらすべてが終わりさね。絶対に死ぬんじゃないよ」


「はい、忠告ありがとうございます。仲間にも伝えておきます。クエストが終わった後、また顔を見せに来ますから」


「そうかい、楽しみにしてるよ」



 

 会話を終え、青銅の剣を受け取り、店を出た奏はおばあちゃんとの会話を思い出していた。



 

 年長者からのああいった話を真面目に聞くか、冗談半分に聞き流すかで、後々命に関わってきそうだな。俺は、もちろん絶対的に前者だが……。


 それで、最後にまた顔を見せに行くって言ったけど、これはフラグってやつを踏んでしまったかもしれない。まぁ、何とかなるでしょ。気にしないのが一番だな。







 早めに買い物が終わってしまい、西門付近で待っていると、レクシャとルノワールの二人がゆっくり歩いてくるのが見えた。かなりの荷物を持って……。


 

「結構、買ったな……。大森林に行くだけだよな。大丈夫か?」


「だ、大丈夫よ!ちょっと予定より多くなっただけだから……」


「二手に分かれて自由に買ってたらこうなった……です」



 この二人、結構アホの子なのかもしれない……。これから大森林に向かうのにどうするのさ。


 はぁ……、こんな時に、何でも自由に入って楽に持ち運べるものがあればなぁ。この街にずっと留まることはないだろうし、出来るだけ快適に旅がしたい!そんな特殊能力が欲しい。すごく欲しい。二つ目の特殊能力はそんな夢のような能力がいいなぁ。頼みます!



 ポーン



 まさか……これは……。


 来たのか?俺の強い思いが伝わったのか?



 ステータスを見てみると、特殊能力が増えていた。


 

 能力名は……。

 


 万能無限箱と書かれていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ