二つ目・・・・・・プロローグ
短いし、勘も戻ってこない・・・
『僕を呼んだ?』は怪異現象としてはあまり聞いた事がないだろうが、内容的にはほとんどの人が聞いた事のある類のものだ。
しかし、この怪異現象の内容について話す前に、怪異現象の厄介さについて改めて言おうと思う。
僕は怪異現象には犯人がいないといった。
テケテケの場合は死んだ女子生徒が犯人―――いや、被害者だった。
しかし怪異現象を元から叩き切るためには、解決が必要なのである。例えるならば妖怪を退治するのではなく、妖怪が入ってこれないように結界をはる。といった方がいいだろう。
だから、僕がしないといけないのは原因究明だ。
彼女は本当に運がいい。なぜならこの『二つ目』は、
誰かに助けてもらうだけでいいのだから。
『僕を呼んだ?』とは、騙すタイプの怪異現象である。
まずは対象者が知っているもの。彼女の場合は家族の人間か、先生、はたまた僕自身の声を真似て話しかける。
そして、その返事に答えてしまうと閉じ込められるのだ。
どこに?
何もかもがない所にだ。
死という概念すらなく、生きさせてももらえず、時間もなく、空腹もない、感情も持てず、なにも感じ取れない空間に。
だから、彼女は苦痛を感じてはいないだろう。
これはある意味幸運だ。つらい思いをしなくてもすむのだからではなく、時間の概念がないというところだ。
これで、僕は彼女が苦しむ前に助けてあげられる。
問題はどこにこの怪異現象を終わりに向かわせることの出来る鍵があるのかということだ。これに関してはあまり情報がないのだ。
だが、他の七不思議の条件はどうがんばってもあてはまらない。
これでじっくりと探す事が出来る。
1ーA、1-B・・・・
とりあえず一年生の教室付近を散策するが、一向に手がかりは見つからない。時刻は四時半を少し過ぎた頃。もうすこしで切り上げなければならない時刻になったころ。僕はやっと証拠を見つけたのだった。
それは彼女がつけていた髪留め。花があしらってある、男である僕から見ても可愛いと思えるほどのその見事な飾りは間違いなく彼女がつけていたものだった。
やっと一つ目の手がかりを発見した。
彼女は催眠状態になったにしろ、何かに連れ去られたにしろ、ここを通ったのだ。今日は残念ながらここまでだが・・・・
絶対に助け出すからな・・・