↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
相方ゴーレムとの異世界都市計画  作者: 七月たかなん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/1

役立たず魔生物を手に入れました? いやでも、めちゃカワだから

 俺、ガウスは遂に魔生物を手に入れた!


「――なんと、この地区では初めて、ゴーレムを呼び出したか」

「は、ハズレ生物だー!」

「魔生物なのに生物じゃないのを呼び出すなんて!」

「たしかにゴーレムなんて聞いたことない」

「そんな珍しい魔生物なのに、存在すら知らないぞ」

「きっと有益な魔生物じゃないのよ」

「セクティムで使い物になる魔生物ならなんとか?」

「聞いたこともない魔生物をどうやって使っていくのよ」

「となると、出稼ぎか……」

「あそこも人手が足りてる訳じゃないのにね」

「というか、あの大きさで何が出来るっていうんだろうね」


 あー! 周りの印象が悪い!


 ◆


 俺、ガウスはセクティム村の出身、歳は12になったばかり、仕事に忙しい両親なので、召魔の儀には1人で来た。

 召魔の儀式というのは、このロンバウドと呼ばれる大陸で成人した人間に与えられる使い魔、それを呼び出す儀式の事だ。


 この世界では魔生物が人生においてかなりの比重を持っている。

 分かりやすく言うと、空を飛ぶ魔生物を呼び出せたら一生安泰と言えるだろう。

 しかも、飛ぶ力が強くて色んなものを運搬出来たり、人を複数乗せれたり、早く飛べたり。そういう力は、まだ飛行機を生み出せていない人類には唯一の力になる。

 他にも、地中や海や川の中で行動出来るとか。人間が活動困難な場所で動けることなんかも評価対象として優秀。

 そしてそれら特別な力を持った魔生物は、召魔の儀で呼び出した主人からの命令しか聞かない。

 だから、魔生物が優秀であればあるほど、その主人は高待遇で向かい入れられたりするのだ。


 まぁ、人生が魔生物の能力に左右されるし、召魔の儀は一生で一度しかないので12歳という若年で以降の一生が全部決まるのも、日本に住んでいた頃の常識だと乱暴な世界だなとは思う。

 だが、俺はこんな有りえない世界で、凄い能力の魔生物を手に入れてのし上がってやる!


 という意気込みが、周りの会話によってしぼんでいく。


 俺、ガウスは日本の埼玉出身。うどん県とか言われているが、戦国時代の某が川底を農地にばらまいてくれたおかげで、一帯は米農家が幅をきかせていた。いや、毎年新米60キロとか貰えるんだからヨシなのだが。

 ともあれ、そんなうどん県の中の米飛び地みたいな場所で、別に何もなく生きてきたのは、20代ぐらいまでだったと思う。

 まぁまぁ仕事で帰りが遅くなった日、車中で翌日起きるのが面倒だなと愚痴をこぼしながら信号を待っていて、以降の記憶はこのロンバウドのセクティム村からリスタートだった。


 そこからは結構楽しみながら生活してたと思う。

 両親の魔生物に触れ、いずれはこいつらみたいなのを呼び出して、世界を冒険したりしたっていい。行商人から聞いたダンジョンの話、世界の極北に住んでるらしいドラゴンの息吹の恐ろしさ、遥か南の砂漠を超えた先にあるロンバウドとは全く違う生活をしているらしい他国の話。

 西に海あれば、東には氷山。

 すげぇ! 俺は今までの世界で架空の物とされている数々が実在している世界に産まれたんだ!


 となれば、楽しくないわけないじゃない。

 なので、色々と勉強しながら家業の農業を手伝いつつ、この時を楽しみにしていた。

 12歳、召魔の儀。セクティム村の隣街になるビンティム村の集会場で、周辺の成人する子供を集めての儀式で、俺は遂に自分の魔生物、ゴーレムの姿を拝んだのだ。


 この国の国教であるダールブ教の司祭が、いかにもな水晶と共に現れた時の高揚感!

 人の頭よりも一回りも大きい水晶で、前の世界でも相当高価なものだろうし、この世界で見た初めての宝石だった。

 その前に司祭が立ち、召魔の儀開始を宣言すると、近くの子供から順繰りに並んでは、水晶に触れていく。

 司祭が何かを唱えると、水晶からは光が立ち上がり、その光に目を奪われていると、一人目の子どもの足元には立派な白い狼が体を丸めて寝ていたのだった。


「おぉ、狩人タイプの子だ」

「最近の魔物被害から守ってくれるとありがたいねぇ」

「でも、あの大きさだと、もっと良い都市で働けるかもねぇ」

「うーん、うちの自警団に入って欲しい!」


 など、周辺の大人は子どもたちの魔生物を見ては品評会の様に見定めていく。

 魔生物は人間の力を超えた特徴を持つのが普通だ。

 あの狼も、人間よりも反射神経が良く、鼻も耳も良く、走る速さも人間の倍以上あるだろう。

 その力を見ては、より自分たちの生活が良くならないかと期待はするし、期待を掛けることもあるだろう。

 ただ、能力が高いのであれば子供も親も、よりよい生活を求める事だってある。

 1年に一度、結構な人の入れ替わりが発生するのを、この12年間で見てきたものだ。


「では、次の者、前へ」


司祭が言う。色んな魔生物を見ては自分の魔生物に期待を込めていた俺は、気付けば最後の1人になろうとしていた。


「今年はこの子で終わりか」

「さて、極端に尖った子は居なかったし、今年もそういう感じかなぁ」

「もう随分前に大鷲の子が居たけど、あの子は今では王都辺りで元気にしてるんかねぇ」


周りは色んな話が聞こえてくる。

が、あまり耳に入ってこないかも。ドキドキするぅ!

司祭の前へ、水晶の前へ。大きいなと思いながら、それよりもまずは魔生物!

水晶に手を伸ばしてみる。水晶に反射して自分の手のひらが見えてきた。


「では、召魔の儀を執り行う」


司祭も同じ様に、水晶に向かって手を向ける。

そして、何事を唱えると、これまでと同じ様に水晶が発光して――


◆


「なんだよ、かわいいじゃん、ゴーレム」


 気付けば大人はみんな去っていった。

 他の子供も、親に連れられて、魔生物の事を話しながら帰宅していった。

 寂しくなんかないやい。俺にだってかわいいゴーレムちゃんが居るんだから。


「なぁ、ゴーレムちゃん。みんなはお前の可愛さを分かってないぞ」

『―――』


 こちらを見て、首を傾げるようなポーズ。

 凄い、愛玩動物のようだ。

 でも、素材はガッチガチのレンガ。態度はお固めかしらん。

 レンガ1個分の足元、縦に2個分の脚はちょっと角が削れて丸みを帯びてる。

 手には指が5本。でも、ちっちゃい正方形のレンガだから、物を掴んだり出来るんだろうか。

 腕はレンガ1個分。胴体はちょっと大きめだ。フォルム的にはバランス悪そうに見える。でも、バレル型の胴体は頑丈そうで良い。そして、頭とか顔も、ちょっと丸みを帯びているし、目に当たる部分は黄色い優しい光が宿っている。

 こいつがちょっと左右に揺れたり、腕で器用にバランス取ったりと、ずっとカワイイモーションしてるんだ。

 愛着湧いてきたぞ。


「でも、これで仕事出来るんだろうか」


 そして、この世界で大成してやるんだ! みたいな俺の願い、叶うんだろうか?


ガウス

 日本の埼玉から異世界転生してきた主人公。

 魔生物が人生の大半とも言える世界で、呼び出されたのは小さいゴーレムちゃん。

 力や特殊能力がチートって訳でもないし、魔生物が凄かったりするのかな? なんて考えていたら、手乗りゴーレムみたいなのが出てきた。明日はどっちだ?


ロンバウド

 世界の名前であり、大陸の名前とイコールな所もある。

 極北はなんでも楽園みたいな場所で、比較的穏やかな気温で色んな花が咲き誇っており、ドラゴンはその快適な場所が気に入っているらしい。

 西の海は誰一人としてその先に何があるか知らず、東の氷山もまた人類未踏の地であり、今はこの2極を制覇できるような魔生物が待ち望まれている。

 南の砂漠は、地球で言えば赤道直下の乾燥気候。なので、セクティム村はどちらかと言えばヨーロッパ辺りの場所にいる感じ。ただし、海が近くないので、気候は東ヨーロッパなどのほうが近い。

 その砂漠の先も、また安定した気象ではあるようで、複数の都市や国が存在している。


召魔の儀と魔生物

 誰が作り出したのか不明。そういうものは、大体宗教の神話に収められている(この世界ではダーブル教)。

 ロンバウドの世界は別に過酷な状況にはないが、人間に特別な隣人が用意されている。

 この力は、世界にはびこる魔物とのバランスを取るため。と説明されることが多い。

 ところで、野生の動物を魔物と呼び習わす理由もまた、なんなのだろう。

 便利が故に、今ではあまり疑問に思われず隣人として立っている。世界の歯車。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。