第4章~信じる?赤い糸~
ついに、昭吾の恋心は頂天に達した。
ラジオ番組が終わり日付が変わった時、
桃子からのカセットをラジカセにセットした。
ヘッドホンで耳をすます。
BGTの『君の瞳に…』のイントロが流れる。
さっきラジオで聴いたのよりも長めなイントロだ。
ブラスが絡み始めるころ、
桃子のおしゃべりが始まった。
桃子の写真を見つめながら、聴き入る昭吾。
完全に、胸を貫通されてしまった。
「この曲は、昭吾くんに是非聴いてもらいたい曲です。」
『君の瞳…』のロングヴァージョンだ。
いろんな洋楽が入っているDJカセット。
手紙には書いていない、桃子のエピソードにびっくり。
「昭吾くんは、東京へ来た事はないの?」
と話し始めた桃子は、
中学の頃、フィギュアスケートを習ってた時、
リンクに隣接している修学旅行宿から、
高校生に声をかけられたと話した。
他愛のない話だが、昭吾にも覚えのある話。
「確か、僕たちが泊まった宿の横に、
スケートリンクが…
え?まさか?
もしかしたら、あの時話しかけた女の子が、
桃子だったのかもしれない。」
昭吾はこの時、赤い糸の存在を、
初めて知った。
再来年の二月、
桃子たちの修学旅行が広島だとも語られている。
最後の曲。
昭吾は、聞いたことが無い曲だ。
しばらく聞き入っていると、
桃子のおしゃべりが始まった。
「昭吾くんに会いたいです。
早く東京に来て下さい。
待ってます。」
最後に吹き込まれた一言だった。
昭吾は、しばらく動けない位、
固まってしまった。
今後、一生忘れる事は出来ないであろう、
昭吾、十八才のバースデイだった。
次の日学校で、
予想通りの手厚い仕打ちが待っていた。
「なぁ昭吾、あのオンナは何ない?」
「おめえだけ、コソコソ抜け駆けかよ?」
「わしも文通しようかのぅ?」
「ええのーおめえだけ」
今更言い訳なんかしたくない。
なんだか、罵られて心地良かった。
夜、昭吾はペンをとる。
どうしても桃子に送りだいメッセージがある。
「桃子、僕も君が好きだ。
修学旅行まで待てない。
来年は僕たち、必ず会おう。」
それから暫くは、お互い期末テストや、
年末の行事などで忙しく、
文通はお休み。
クリスマスカードと年賀状のやりとりをした程度だった。
『赤い糸』の存在を信じて。




