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Sugartownは恋の都  作者: びん せんと
3/31

第3章~つながりは、ラジオ~

時は昭和五十七年十二月。


昭吾は、自動車学校に通い始める。

また、高校では試験発表があり、

期末テストの勉強も始めた。


昭吾はちょっと不安を覚えてしまったが、

遠く離れた桃子が、昭吾を励ます。


先週の、桃子への誕生日プレゼントが、

この上なく嬉しいと、

手紙に書いてあったのだ。


中でも、密かに同封していた昭吾の写真。


「優しそう…」


と、好印象。

三枚の便箋に、ビッシリ書かれた丸文字に目を通す。


「私、昭吾くんと文通していて、良かったよ。」


と書いてあり、更に、


「私は、昭吾くんの誕生日に、DJカセットを贈ります。

昭吾くんに是非聴いてもらいたい曲があるの。

喋りが下手だけど、頑張るネ!」


「桃子の声…どんな声だろう?」


昭吾は想像してみる。


「桃子って、どんな顔してるんだろう?」


身体はクタクタなのに、眠れない。

灯りをつけてもう一度、手紙を読み返してみる。


「自動車免許、頑張って!取れたら、私を迎えに来て。

かっこいい車で海に連れて行って、

ね、昭吾くん…」


昭吾は思う。


「僕はもう、一人じゃないんだ。

迎えに行くよ、桃子。頑張るから…」


いつものラジオ番組は、とっくに終わっている時間。

昭吾は眠りについた。


それから一週間経ち、

昭吾の誕生日。

朝からソワソワしている。

桃子からのDJカセットが届き、

夜のラジオ番組も、気になる。


学校ではハイテンション。

友人達が昭吾を囲い込んで、手厚い会話が交わされる。


「今夜のあのラジオに、

おめでとうメッセージ送っておいたよ。」


「オレも送ったからね」


「オレも…男からのメッセージばかりで可哀相じゃ」


「ほんま、相変わらず寂しい誕生日になりそうじゃ」


皆、あのラジオ番組を聴いているようだ。


「みんな、ありがとう。」


ここはクールに感謝の意を表しておいた。


「昭吾、おめえ最近様子がおかしいよ。

何かあったんか?」


一人の友人が異変に気付き、こう言って来た。


「放課後に自校に通い始めたからな、

忙しくって疲れてるだけだよ。」


桃子との文通は、二人だけの秘密。

皆には内緒だ。


夕暮れ時、悪友たちの誘いを断り、

自動車学校に通う。

夜帰宅すると、机の上に置いてあるかわいい封筒。

桃子からのバースデイプレゼントが届いていた。

封を開けると、一枚の便箋に丸文字で一言。


「お誕生日おめでとう。」


と書かれてあり、カセットテープ一本が同封されていた。

先に、あのラジオ番組を聴いた後にカセットを聴く事にした。


ラジオ番組が始まった頃、

昭吾は心拍数を上げてラジオの前にいた。

数十分経った頃、いよいよバースデーコーナーが始まった。


昭吾の名前が呼ばれた。


「八人のクラスメイトから、おめでとうメッセージが届いています。

そして、東京都のペンネーム恋するキャンレディちゃんからも…」


「わっ、桃子だっ…」


昭吾は嬉しかった。


「広島に住んでいるペンフレンドのバースデイ。

私の優しいお兄さんです。

大好きです!

クゥー…たまんないね、このメッセージ。」


DJが軽快にフォローする。


「この間のキャンボーイとキャンレディは、

文通だけではなく、

このラジオを通じても繋がってるんだね。

お二人の距離を少しでも縮めてあげられるのが、

DJである私たちの仕事だと自負しております。

昭吾くん、お誕生日おめでとうございます。」


昭吾はラジオの前で、初めて顔を赤く染めた。


「お届けする曲は恋するキャンレディちゃんのリクエスト、

BGTの『君の瞳に恋したい』いってみよー」


ストリングスのイントロに、

ブラスセッションが絡んだ、

綺麗なディスコナンバー。


聴きながら、桃子からの手紙をまた開けた。


カセットのケースの中に入っている、

一枚の写真を見つけた昭吾…

無言のまま、見とれた。


『君の瞳に恋…』した瞬間。







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