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Sugartownは恋の都  作者: びん せんと
16/31

第16章~今宵はフォーエバー~

少し勾配がついた舗道を歩き、

09を見上げる。

この建物の下で、

桃子が待っている。いや、待っているはずだ。


時計は四時五十五分をさしている。

みんなも、渋谷で五時なのか?

待ち合わせ人と思われる人は、

三十人は、居ると思う。


「桃子…どこに居るんだろう?」


TVモニターの前、

白っぽいコートを着た女の子が、

会釈しながら右手を振っている。


「桃子~っ。」

「昭吾くん。」


人目を気にする余裕さえ無く、

感情が先走り、暫く抱き合う二人。


昭吾が、来て良かった…と、

確信した瞬間。


「どこかで身体、温めようか?」


二人は道玄坂のカフェに入り、

コーヒーを飲みながら話をする。


桃子の学校の事や、

昭吾の職場の事。

映画『フラッシュ・ダンス』の話や、

マイケルのPV、

『スリラー』の仮装シーンやダンスの話。


六時になると、店内がライトダウンされ、

店員がキャンドルを持って来た。


桃子は、洋楽の話に夢中。

相槌が下手な昭吾は、

本当に話が解っているのか?

桃子が問いただす事も。


目と目が合うと、ニコッと微笑むところや、

メニューを見つめて考え込むところ。

あの、暦の○(マル)の日と変わらない桃子が一言、


「昭吾くん、どこ泊まるの?」

「246沿いのサンシティホテルだよ。」

「ね、部屋に入れてもらってもいい?」

「うん、いいよ。行こうか?」

「うん。」


二人は繁華街とは違う方向へ歩く。

ふと、空を見上げてみる。

高架橋の下から覗き込むように見えるカシオペア座。


「東京でも星、見えるんだね?」

「正月三が日だけだよ。いつもスモッグに覆われてるもん。」


桃子は、滅多に見れないカシオペアに見とれている。

二人は、ホテルに着いた。

昭吾はチェックインを済ませ、桃子とエレベーターに乗る。

地上一五階の、シングルルーム。

普通のビジネスホテルだ。


部屋に入る。

カーテンをしていない窓からは、

首都高が見える。


桃子を宿泊先の部屋に入れた昭吾。

どうしても、桃子に確かめておきたい事がある。

有線放送のパネルを操作、

最新のポップスが、静かな部屋中に響く。


「桃子、急に君に会いたくなって来たんだ。ごめん。」

「何言ってるの?桃子も会いたかった。」


二人は狭いシングルベッドの上、

求め合っていたものをさらけ出した。



確かめておきたかった事は問うまでもなく、

今宵よ、永遠に…と、

願う二つの重なる影が、

冷たい風吹く街へ溶け込んで行く。




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