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Sugartownは恋の都  作者: びん せんと
12/31

第12章~サプライズな午後~

原宿。

昭吾にとって、修学旅行以来の再来だ。


竹下通りから、フィフティーズ・ショップをはしごして、

芸能人が立ち寄る店を覗いてみたり、

すっかり都会っ子気分になった昭吾。

気がつけば二人、物静かな方向に向かっていた。


真夏の都心、摂氏三十度以上ある歩道。

「歩くと近いから、」と、渋谷まで歩く。


渋谷は、初めて訪れる昭吾。

忠犬ハチ公と、初めてにらめっこ。

横で微笑む桃子が言う。


「ここで待ち合わせている人、多いでしょう?」

「だね。迷子になりそう。」

「ここ最近は、ハチ公よりも、

あの建物の前で待ち合わせが多いのよ。」


見た事もないような、大きなスクランブル交差点。

その向こうに、鋭角っぽい建物が見える。


「shibuya109ってところよ。」

「109?知らなかったよ。」


駅前の、大きなデパート。

上階の食堂街に、見たことがある看板を見つけた。


「ここでランチしよう。」

「いいわよ。」


店内で、初めて桃子と向かい合って座った昭吾。

今までかったるい会話をしていたのが嘘のように、

固まってしまい、発汗し始めた。


「昭吾くん、どうしたの?」


メニュー見つめて考え込むそぶりの昭吾。


「やっぱり東京は、暑いなぁ。ハッハッハぁ~。」


ごまかしてみたものの、

桃子の大きな瞳に、完全に圧倒されて、

テレながら話しかけた。


「桃子。」

「何?昭吾くん。」

「綺麗だね?」

「えっ?」

「目、瞳。」

「そう?」


ニッコリ微笑むと、少し崩れる顔の桃子。

可愛い…。


食事が済んで店を出る前の事。

桃子が一言。


「昭吾くん?」

「何?」

「お母さんが、昭吾くんに会いたがっているの。」


うわっ…心音が轟くように打つ。


「うん、いいよ。僕もお会いしたかった。」


とは言ったものの、極度な緊張状態。

このサプライズな事態からは、逃げ出せない昭吾。


駅の構内の隅にあるスピード写真。


「二人の記念写真撮ろうよ。」

「うん。」


「ハイ、チーズ!」


機械の前で待つ二人。

モノクロ写真が四枚出て来たので、

二枚ずつ分け合った。


「桃子ん家、行こうか?連れてってよ。」

「うん。」


渋谷からバスで一〇分ほど揺られる。


「もみじまんぢゅう買って来て良かったよ。」

「もみじまんぢゅう?知ってるよ、お笑いコンビのね?」

「そうそう。」

「桃子、もみじまんぢゅうは初めてよ。」


街並みは大都会から学生街に。

バスを降りたら真向かいに、桃子の家。

店舗を営まれておられる。


「ここが、いつも封筒に書いている住所なのか?」


裏の玄関に案内されまず、おばあちゃんに挨拶。

足の震えが、止まらない。


「いらっしゃい。遠いところよく来られましたね。」


その一言で緊張が解れた。

ドアの横に停めてある、赤い原付バイク。

新モデルのスクーターだ。


「これ、桃子のバイクよ。」

「新車だね?東京は高校生でも乗れるんだね?」


スクーターを触っているとお母さんが出て来て、

昭吾を出迎えてくれた。


「さ、どうぞお上がり下さい。」


居間に腰を掛け、一時間くらい三人で話をした。

話の内容は広島の事や、家族の事、仕事や趣味の話など。

また、昭吾が知らない桃子の事を知る事が出来た。


「ウインタースポーツですか?僕、やった事ないです。」


昭吾はまだ一八歳。

社会人とはいえ、会話のかけ引きさえ知らない、

まだまだ子供。

だから包み隠さず会話をした。

話が途切れ始めた頃、桃子がお母さんに言った。


「昭吾くんと、二階へ上がるから。」


桃子の部屋。

ディズニー系のぬいぐるみが沢山置いてあり、

壁のカレンダーには、今日の日にしっかりと、

○マル印がつけてある。

部屋の窓から、銀色の電車が走っているのが見える。


机の隅に、立ててあるクラシックギター。


「桃子、ギター弾くの?」

「置いてあるだけ。埃被っているでしょ?」


ギターを手にして、チューニング。


「音、合って無かったでしょ?」

「うん。」


とは言っても、少ししか弦の音は狂っていなかった。

ギター始めたのかな?桃子。


「ね、何か弾いてよ、聞きたかったんだ昭吾くんのギター。」

「いいよ。」


Dコードからアルペジオ。

PMMの『500マイル離れても』を、

昭吾は弾き始めた♪




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