お前はダメだ
しいなここみ様の『部屋シリーズ』に乗っかっていろいろと引用させてもらっていますが、企画本来の趣旨とは意味合いがずれた作品となっております。
ごめんなさい。
階段を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
誰の言ったかは知らないけれど流石だと思う。実際この言葉の通りで私の友人はこの梅雨を最後に消息を絶った。
だがここは違う。ここは世の常識から隔離された奇怪な住人の集う怪奇マンション。私のような嫌われ者だって受け入れられる可能性は高い。
目的の部屋に到着。彼女の背後から部屋を覘く。
おおっ⁈ なんて豪華絢爛!
ここがこれから私が暮らす新天地かと思うと胸が勢む。
「置いてあるものは動かさないでね。ゲーム機は好きに使っていいわよ」
ゲーム?
私はそっちに興味はないけれど、彼女はそうでもなさそうだ。
まあ、そういうのは人それぞれだしね。
「男なんか連れ込まないわよ」
……これについては聞かなかったことに。
「中に入ってる食料品、自由に食べていいわよ。賞味期限の近いものから片付けてね?」
開けられた冷蔵庫の中を見て、彼女は盛大に驚いた。
そして私も驚いた。
「高級食品がいっぱい! これ、好きに食べていいの?」
「うん」
「わぁい♪」
はは、凄い。私も「わぁい♪」だ。
彼女がなにやら注意を受けている。
○○してはいけないとかなんとか。
よく判らないけど、まあいいか?
今の私の頭にあるのは今日のご馳走のことばかり。
だがしかし、これが後の惨劇に関わることとなる。
「ぎぃやああああ!」
その日の晩、彼女が絶叫した。
なんだよ全く、食事くらい静かに摂らせてくれよ。
彼女が傍の雑誌を手に取った。
そこで漸く思い出す。自分が何者であったのかを。
階段を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
○○○○の存在してはいけない部屋?
全く、これだから人間ってやつは……。
こいつをネタにするのは二度目ですが、好きってわけではありません。(笑)