ナガラ
「ぎゃぎゃーー!」
ゴブリンの大槌がケント目掛け、
頭上から勢いよく振り下ろされたーーその瞬間。
バシュ! バシュバシュバシュバシュバシュ!!!!!
肉片が断ち切れる音とともに、緑の鮮血が木々に飛び散った。
生臭い風が頬を撫で、目の前の光景に足が震える。
一瞬の出来事。
”何が起きたかもわからずの表情”のまま、
数体のゴブリンが体を引き裂かれ、地面に転がった。
ケントはその場で尻餅をつき、
口をアワアワとさせ、その青い瞳は潤んでいる。
一方のミクは、膝を湿った土で汚し、
口から泡を吐き、目を白黒させていた。
二人とも何が起きたのか、この状況に精神が追いつていない様子。
ただ震え、その場から動けずにいた。
俺も膝がガクガクと震え出し、その場で力なく座り込んだ。
木々の葉がカサカサと擦れる音がこの場を通り抜ける。
カチン
小さな金属音が耳に届いたその時。
「無事か?」
そう言って藪を踏み鳴らし、こちらに近づく偉丈夫な”漢”。
腰に下げた二振りの刀が一際目を惹く。
見たこともない装飾が施された一振りは白い鞘で細身。
もう一振りはその倍はある黒い鞘の刀。
それが微かだが左右に揺れていた。
歩くたびにその柄も、薄暗い森の中で僅かに二光を湛えた。
その男は鋭い眼差しとともに、
銀色に光る口髭を触りながら俺たちに尋ねてくる。
「怪我は無さそうだな?」
その声は威厳と風格を兼ね備え、
圧倒的な威圧感とともに、ビシビシと張り詰めた空気が周囲に漂う。
ケントとミクの兄妹はただ震えるばかりで、
お互いに抱き合いながらその男を見据えていた。
銀髪がこちらに近づくにつれふわりと風に靡く。
歳の頃は40代後半ぐらいに見えた。
「怪我は……」
声を出そうにも喉に言葉が詰まった。
別にゴブリンの死が怖かったわけじゃない。
この圧倒的な力、いや剣技と言えば良いか。
それに俺は高揚していた。
幼さゆえか恐怖心より、好奇心が勝ってしまう。
俺の姿を見ながら偉丈夫のおっさんは、ニヤリと口元を緩めた。
「はっはははは。声が出るだけマシだな」
変な笑い方、師匠ナガラとのーーそれが運命の出会いだった。
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*【登場人物】
【ナガラ・ミシロ】
ヤマト表記=【巫代長良】
ゴクトーの師匠で大陸で唯一の『SS級』。
最強の冒険者と世間では認識されている。
アカリとジュリの義理の兄。
年齢不詳。
異国で生まれ『ヤマト』でミシロ家の養子となり、
刀術や代々受け継がれる古代の魔法ーー『神代魔法』さえ伝授される。
【桜刀】という『七星の武器』を使う。
一振りは【兼松桜金剛】ーー
天覧試合で勝ち抜き『ヤマト城主』から賜った。
養父からも【黄金桜一文字】を譲り受け、
『ヤマト』の国を出た。
伝説のパーティー【Strongess】の元リーダー。
ナガラは最年少でリーダーを務めていた。
そのパーティーは、ズードリア大陸”最難関のダンジョン”を見事クリアする。
コリン聖教皇国で、魔物に襲われていたゴクトーたちを偶々助けた。
ゴクトーを弟子にして、【神代魔法】の秘伝以外、
二刀流の刀技や【複合魔法】など、全てを叩き込む。
高身長で髪の色はゴクトーと同じ。
温厚で優しい性格。 五十歳ぐらいの見た目。
変わった笑い方が特徴。
スター◯ォーズのオビ◯ンのような服と、
装備一式を置き、”ねじれ”に巻き込まれ姿をくらましたーー。
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