表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋と音楽  作者: おかゆ
2/2

恋と音楽 afterstory

桃谷先輩と僕は晴れて恋人同士となった。




「桃谷せんぱーい!」


「何?どうしたの流歌。」


「懐かしの呼び方してみたくなって、」


「みんなの前ではちゃんと敬語使うんだよ?後輩チャンズが真似したら統制取れなくなっちゃうからねー」


「はーい」


桃谷先輩、、美玲は名前の通り美しい brillante よく似合う音楽用語だ。


こんな言葉を生み出した人は天才じゃないかと思う。


brillante:華やかに、輝かしく








皇流歌君、、流歌と晴れて付き合うことになった。


かわいいなぁと思いながら毎日眺める。


喜怒哀楽がわかりにくいあの子は表情が豊かだと思う。


何でかって?表情には出さないけれど心の内で思っていることが


私には見え透いているから。


espressivo:表情豊かに


内面的な感情を表現する、という意味。


付き合うまではわからなかったあの子のこと、


今では誰よりもわかる自信がある。


もっと知りたい、もっと近づきたい。


そんな思いを素直に伝えられたらいいのにな。 


schiettamente:素直に、装飾しないで




7月下旬、吹奏楽コンクール地区大会 が行われる。




4月、


「美玲、コンクールソロどうするの?」


と、先輩に聞いてみる。


「そんなの決まってるじゃん。勝ちに行く。


オーディションに怖気ずくとか有り得ないでしょ。」


流石だと思う。


こんなにあっさり、『勝ちに行く』と言える


彼女の勝負強さや情熱が、


とてもかっこいい。


憧れる。


付き合う前と変わらない。


華やかさや輝かしさ、それに上品さを兼ね備える


彼女が、とても美しく見えた。


risoluto:決然と、きっぱりと


appassionato:情熱的に、激情的に







ソロオーディションは5月に行われた。


部員の公正な投票で行われるのだが、


美玲は、圧勝だった。


そのソロは一本の楽器で奏でられているとは思えないほどの


壮大さ、堂々とした態度で、


最後のお辞儀すらも丁寧だった。


部長の威厳というものだろうか。


彼女にかなうものはいないのではないだろうか。


そんな風に思う。


grandioso:壮大に、堂々と







5月にソロオーディションがあった。


結果は私の圧勝だった。


『勝ちに行く。』


そんな堂々としたことを彼に伝えてしまったからには


絶対に取りに行かなければならないと思っていた。


コンクール、全国金賞を目指して頑張って行きたい。







7月下旬、地区大会、ゴールド金賞、県大会代表として出場。


8月中旬、県大会、ゴールド金賞、関西大会出場。


9月上旬、関西大会、ゴールド金賞、全国大会出場が決定した。




順調に進んでいた。みんな努力していた。


私もずっと努力している。


恋=音楽


それは以前と変わらない。


私の音楽は恋、私の恋は音楽だ。


全国金賞をとってこそ、私の恋は音楽だと証明される。


私の実力が証明される。







10月上旬に行われた日本吹奏楽コンクール全国大会は


惜しくも、


銀賞だった。


美玲は崩れ落ちるほど泣いていた。


あんなに泣いている彼女は初めて見た。


慰めるにもかける言葉が見つからなかった。







コンクール、銀賞だった。


どれだけ努力しても頂点は程遠いと実感した。


流歌にも迷惑かけた。


「桃谷先輩、水、要りますか?」


「うん、ありがとう。」


部活中だから敬語だった。


その奥にも彼のやさしさがにじみ出ていた。


中学3年の10月、私は世界の壮大さを思い知る。


grandioso:壮大に、堂々と







11月の文化祭で美玲は引退、


3年は部活を去っていった。


次の部長は僕らしい。


「部長?!俺が?!」


「頑張ってくださいね。皇さん。」


顧問にそう言われたときはとても驚いた。


先輩方に恥じぬよう、


美玲のくれた熱が冷めぬよう、


僕が引っ張っていく。







私の音楽は恋。




僕の恋は音楽。




私は




僕は




音楽が大好きだ。




部活が大好き。




そんな君が、大好きだ。






恋と音楽 after story

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ