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幸せ  作者: yukko
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挙式寸前

フリーラン王国の王都に到着して、直ぐに通されたのは後宮から少し離れた場所だった。

幾つもの棟を過ぎて、やっと着いた棟だった。

案内した者は名乗ることもなく言ったのだ。


「こちらがエリーザベト様がこれよりのちお住まいになるお部屋でございます。」

「そうですか。案内ありがとう。」

「……はい。

 これからは、これに控えております侍女がエリーザベト様のお傍で仕えます。」

「分かりました。ありがとう。これから、頼みます。」

「はい!」

「明日は午前中に教会へ向かいます。

 この王宮の中に教会はございます。

 国王陛下がお出でになられると挙式が執り行われます。」

「はい。承知いたしました。」

「ドレスはこちらを着てください。」

「こちら……ですか……。」

「はい。」


用意されているウエディングドレスは、どうみてもエリーザベトには合わないサイズだった。

今からサイズを合わせられない。

その時間を与えてくれないのだろうことは分かる。


「貴女、このドレスは私の身体には合いません。

 この結婚は国内外から……特に他国から注目されていることでしょう。

 そのような結婚式で私がこのようなドレスを着るのは、フリーラン王国にとって

 どのような意味なのでしょうか?」

「…………。」

「今直ぐにサイズを変えます。

 用意しなさい。

 これは国を挙げて行う式なのですから!

 早く用意するように!

 もし、出来ないのでしたら、私のウエディングドレスを着用します。」

「……はい。畏まりました。」


侍女が下がると直ぐにお針子が入って来た。

明日の朝までにウエディングドレスのサイズ変更を仕上げるように申し伝えた。 

サイズを測ったお針子たちは直ぐに取り掛かった。

朝までに間に合ったウエディングドレスを着て、私は部屋で待った。

待っていると侍女と内務大臣・ヘンケルが入って来た。


「内務大臣のヘンケルと申します。

 只今から挙式を執り行いますので、お迎えに上がりました。」

「ご苦労です。

 では、参りましょう。」


馬車に乗り、幾つもの棟を過ぎて教会に着いた。

着いて直ぐに結婚承諾書に署名する部屋に案内された。

暫く待っていると、そこに夫になるフリーラン王国国王・レオポルト陛下が女性を連れて入って来た。


「そなたがエリーザベトか?」

「はい。御目文字叶いまして光栄に存じます。」

「朕がレオポルトである。

 そなたに申し付けておく。

 朕には愛妾がいる。

 朕が愛するたった一人の女性である。

 リヴィア、こちらへ参れ。」

「はい。」

「リヴィア、これが朕の王妃になるエリーザベトである。」

「リヴィア・デ・メディシスと申します。」

「エリーザベトです。」

「エリーザベト。朕はそなたとの間に子を設ける。

 しかし、それだけだと心得よ。

 朕とそなたは子を成すだけである。」

「はい。承知致しております。」

「まぁ……そのドレスは……陛下が私のために作って下さったドレスですわ。」

「!………左様ですか。」

「陛下、エリーザベト様、お時間が迫っております。」

「分かった。参ろう。エリーザベト。」

「はい。」


エリーザベトは思った。


⦅これは、あの愛妾がわざと用意させたドレスだったのですね。

 少し、手を加えて宝石を入れて良かった。

 あの愛妾が、これから何をするか……気を抜くことは出来ないのですね。

 ……愛されるとは露ほども思わなかったが……。

 最初から人質と公言しているこの国で、私はどうすべきかを考えねばならな

 いわ。

 お父様、お母様、私は祖国とフリーラン王国を……

 そして、デュッセルドルク帝国とフリーラン王国を結ぶために努めます。⦆

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