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1−9 更に東行き

薊叔母さんが、今度は大塚の神社に行こう、と言い出した。

伏見稲荷の祀る神様を祀っているらしい。

神様自体は狐の姿ではないらしい。

狐の神様ではないけど、建くんにご利益があるの?

と聞いたら、

「多分」

と答えた。

霊力の補充は随分いい加減な様だ。


そういえば社会科見学以外で都心に来たことがない。

池袋線沿線はあまり都会感覚がない風景が広がっている。


「大塚って遠いの?」

と訊いたら、

「池袋で乗り換えれば一駅だよ。」

とのこと。

「神社は駅から遠いの?」

「10分歩く位だよ。」


電車の中では黙っている建くんがケージの窓からこちらを見ている。

何だろう?寝癖でもついてるのかな?

自分で頭をさすってみるけど、それらしき髪の毛の乱れはなさそう。


「神社って確か等級とか格みたいなものがあると聞いたけど、

 その神社は格が高いの?」

「格はともかく、寂れ気味みたい。」

ケージの中の建くんがショックを受けたらしく、

口をが〜ん、と効果音が聞こえるかの様に空けている。


土曜の池袋は人が多い。

池袋なら毎日こんなものかもしれない。

乗り換える為に人混みの中を薊叔母さんからはぐれない様に歩く。

はぐれたら、帰りの駅に絶対たどり着けないと思う。

漸く山手線のホームにたどり着く。

電車の中の客も多く、当然座れない。

一駅だけど、何となく建くんのケージを床に置くのを憚られる。

もし、降りる時忘れたらと思うと…


大塚駅を降りる。

駅前の道路に何故か線路らしきものがある。

薊叔母さんが言う。

「都電じゃない?」

聞いたことがあるような無いような…

緑のない、都会と言えば都会だけど、

おしゃれな都会の街というより、

ごみごみした古めの街を歩いていく。


小さな鳥居を見つける。

思ったより小さい神社みたい。


「愛未ちゃん、ケージの扉を開いて、建を外に出して!」

「え、急ぎ?」

「出迎えがあるみたい!」

???

ともかく建くんをケージから出す。


ぴょんぴょん私の体を登って、

頭の上に登ってきた。


「陰陽寮か!」

「ケージは放っていいから、駅に逃げて!」


「そうは行かんぞ。」

「誰よ!?」

「宮城を守護する者として、こんな所まで狐の侵入を許す訳にはいかん。」

建くんが私達を囲む男たちに話す。

「帝をどうこうするつもりはないぞ?」

「ここまで近づくだけでも許しがたい!

 今度こそ倒してやる!」

話している男が懐から紙を取り出すと、

トンボの様に飛んでくる。

「出ろ!」

薊叔母さんがポケットから管みたいなものを指に挟んで出した。

その先から糸を引く様に何かが伸びて相手から飛んでくる紙を叩き落としている。

何このCGみたいな絵面!?



この物語はフィクションです。

登場する地名・団体名は実在する土地・団体と全く関係ありません。

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