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1−5 超転回 続き

朝、叔母さんが車を入れるから、門扉を開けておく。

普段は無断駐車する人が怖いから駐車場前の門扉は閉めてある。


建くんに鶏肉とりんごをカットして朝食に与える。

その間に自分は紅茶で菓子パンを流し込む。

薊叔母さんにどう話すか心の中でリハーサルをするけれど、

叔母さんがどう話してくるか分からない…

玄関の上の床で膝を抱えてしまう。

建くんがダンボールハウスから出てきて隣に蹲ってくれる。

ごめんね、頼りない保護者で。


車の音がして玄関のベルが鳴る。

扉を開けて、挨拶をする。


「おはよう、薊叔母さん。」

「おはよう。元気にしてた?」

「うん…」

私が元気な事ってあるかな?

「それで、この子なんだけど…」

建くんは犬のお座りポーズで叔母さんを見つめていた。

「お前、同族の匂いがするな。」

え?誰のこと?

私に昨日、そんな話はしなかったから、薊叔母さんが?

叔母さんは眉間に皺を寄せていた。

「物部の子孫か?」

そう言われた薊叔母さんは私を見て言う。

「愛未ちゃん、狐って言ってたと思うけど…」

子狐に話しかけられたら困るよね。普通。

だけど、建くんが話し出すパターンはリハーサルしてないから言葉が出ない!

「昨晩、話をしたんだ。大和の狐の神の子孫だとね。」

もう建くんと叔母さんで話してください。

薊叔母さんは深いため息を吐いた。

「私は石神の子孫よ。

でも女系だから一族として認められていないし、

祖父の代には本家と完全に切れていて、

仲介はできないから。」

薊叔母さんは私と話すときとは違う、

厳しい口調で話した。


「その割には霊力を感じるが?」

「本家と切れた後、孫の私にそれなりの霊力が現れたのよ。

 皮肉な事にね。」

「訓練をしていない者には見えないが?」

「高校のときに神社で少し教わって、

 そこの神主に密かに紹介された大学の教師に教わったの。

 狭い世界だから、力は明らかにできないけど、

 アルバイトで多少鍛えている程度ね。」


建くんが私を見る。

「少し、2人で話をさせてもらえないかな?」

「うん、客間を使って。

 叔母さん、お茶が良い?紅茶が良い?」

「湯沸かしポットと急須と湯呑をもらえれば自分で入れるわ。」

「分かった。」


「それで、こちらから与えられる情報は本当にないのよ。」

「一族の事やら、その他の情勢の事はどうでもいい。

 そういうのが嫌で随分前に親兄弟から離れている。」

「神格がある人どころか、一族の人とも合った事がないんで、

 あなたの気持ちは分からないわ。」

「敢えて平地に乱を起こす気はないんだ。

 そういう積りなら集団に属した方が利があるだろう。」

「今は独りって事?」

「独りだからあの子に世話になってる訳だろう?」

「目的があって近づいたんじゃないんだ?」

「霊力があるとかならともかく、彼女は普通の子だろ?」

「まあね。旦那の姪だから血の繋がりはないわ。」

「あの子、親の影が全くないんだが、どうなってる?」

「デキ婚で、父親は彼女が物心がつく前に家に寄り付かなくなってて、

 6年前に離婚したと聞いてるわ。

 母親独りで育てているけど、母親は仕事だけで手一杯。

 今は東北に長期出張に行っているの。」

「生活費を稼ぐ為には仕方がないか。」

「そうとも言えるし、そうとも言えないの。

 もう少しうまくやってる母子家庭もあると思うけど、

 あの親子は距離感がほぼ他人。」

「なんとも無いという顔をしてるが、

 むしろ感情を出さないんだよな、あの子。」

「離婚直後にいじめがあったらしくて、

 その後からはずっとあんな感じ。

 表面的には手間のかからない子をやってるけど、

 心を閉ざしているとしか見えないの。」

「そうなんだよな。一緒に居ても、途中までこちらを見ているんだが、

 気がつくと自分の中に閉じこもっている事が多い。」

「それで、あの子から離れたいの?」

「…できれば力になりたい。

 弱っている時に助けてもらって感謝しているんだ。」

「何で弱ってんの?」

「戦前から山梨で過ごしていたのだが、いきなり大勢の犬神憑きに襲われた。

 高尾方面に移動しながら全て倒したが、

 当然戻れないから一度狭山方面で時間を潰してから群馬方面に向かおうかと思っていたんだが、

 弱っていたので市街地に迷い込んだんだ。」

「襲われたって事はなにかやましいことをやってたんじゃないの?」

「カモシカ以外の害獣を狩って生活していたんだから、

 むしろ感謝される要素しかないぞ。

 あれじゃないか、東宮が金を浪費してるとかの理由で

 人件費圧縮目的で自爆攻撃させたんじゃないのか?」

「まあ犬神も狐も連中からすると穢れ扱いだろうからね…」



この物語はフィクションです。

小説家になろうのガイドラインによると、実在の人物に関わる場合は二次創作となる様なので、

二次創作がキーワードに含まれておりますが、何らかの作品をリスペクトした物語ではありません。


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