2−6 キツネーズ ミート 神様隊
(仮)ヌサノオは迷わず那賀建の前にしゃがみこんだ。
「話せ。」
「自分は神武の東征の際に敗れた那賀須泥彦が妹とニギハヤヒ命の子孫、
那賀建と申します。」
「堅苦しい挨拶はよい。
国津神の一族なるは分かる。
して、巫女に舞を奉納させ我を招きし訳は何か?」
「帝を守る陰陽寮は衰退し、
現政権は妖怪変化への対策を放棄しております。
その隙に、退いた武家政権の子孫が帝都を惑わさんとしております。
恥を偲んでお縋りした所存に御座います。」
「ふむ、子細は場所を改めるべきか。」
「巫女の家にお迎えさせて頂ければ幸いです。」
「うむ、案内せい。」
「薊、よいな。」
「良いですが、御身をどのようにお呼びすればよろしいでしょうか。
(仮)ヌサノオ様でよろしいでしょうか。」
「巫女に話をしていないというのなら、
我が正体は秘した方が良いとの判断だろう?
従おう。」
「お願い致します。」
キツネーズとヌサノオさんの話は纏まったみたい。
薊叔母さんがヌサノオさんと話がしたいから家に連れて行くという。
何か、迷わず建くんと話しをしていたんだけど、
また一族の人なのかな。
客間にお茶を持って入る。
「粗茶ですが。」
「うむ、そなたの入れる茶ならそれだけで十分だ。
ありがとう。」
…何だろう。イタリア人みたいに出会った女性はとりあえず口説く人なのだろうか。
無理に誘われてないから良いか。
愛未が下がると、薊が報告を始める。
「徳河の初代の遺骸と思われる物が、
東昭社から持ち出されたらしい事は陰陽寮も掴んでいる様です。
ただ、対策を取る余裕は無い様です。
徳河本家に動きはないと、その筋からは聞こえてきますが、
傘下のどこかでどの様な動きをしているかは掴めておりません。」
「権力者が買い取った神格だからな…
むしろ怨念の引き起こす怪異の兆しはないのか?」
「陰陽寮が那賀建が23区内に入るのに敏感になっている以外は、
特に動きは見られません。」
「なら、敵は都下や他県で動いているのであろう。
そのまま調査を進めよ。」
「はい。あと、お召し物は現代的なものを用意した方がよろしいでしょうか。」
「うむ、気軽に動ける服がよい。助かる。」
「では来週までに用意しておきます。」
この物語はフィクションです。




