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1−1 起

ある日、学校から帰ると、玄関の前に小動物が蹲っていた。

動物番組の定番として放映される、子育ての事が思い出された。

野生動物は、一匹を確実に育てることができないから、

四匹程度子供を生む事が多い。

生まれた子供の半分は大人にまで成長しない。

怪我、病気もあるが、多くは餌の分配の不平等による。

つまり、他の子供の事を考えずに餌を独占しようとする子供はどんどん成長し、

餌を口にできない子供は成長できずにますます餌を口に出来ず、

最後は飢えて一家の移動について行けずに死屍を晒すのだ。


(この子も母親に見捨てられたのかな…)


母子家庭に育つ愛未には他人事ではなかった。

既に父親に見捨てられている。

まだ高校生なのに母親に見捨てられたら、

どうしたら良いのか分からない。

知らずに目頭が熱くなった。


とりあえず小皿に水を少しのせて持ってくる。

その子はぺろぺろと力無く水を舐める。

手で抑えていないと皿をひっくり返してしまう。

後でペット用の水入れを買ってこないと。

餌はどうしよう。

猫用のペースト状のえさが売っていた筈。


急いてスーパーで餌と水入れ、トイレ用品を買い、

ついでにダンボールも貰ってきた。

少し時間が経ってしまったけれど、

その子はそのまま蹲っていた。

玄関に入れて、そこで餌をやる。

ぺろぺろと舐めて、吐き出すとかお腹が痛いなどという素振りはない。


よかった。


絞った濡れタオルで体を拭いてあげる。

うわぁ、どろどろだ。

何度か水でゆすいだタオルで拭いてみる。

見た目は汚れが取れていない気がする。

明日また拭いてあげよう。


ダンボール箱を組み立てタオルを敷いてその中に入れてあげる。

小さいトイレも中に入れておく。


寝る前に確認すると

トイレを使用した様だ。

飼われていたのかな…

トイレの砂を交換しておく。

朝は早く起きて、餌をやる時間を確保しよう。

元気になってくれるといいな。


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