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第12話 一方その頃、南側にて
アイシャが謎の美少年と出会っている頃。
キールは蜂蜜を採りに出かけていた。
村の南側には農地が広がっている。そこへ、キールの家の土地も少なからずあった。
そう、山へ自然の蜂の巣を探しに来たわけではない。
自分で飼育している蜂の巣箱へとやってきたのだ。
目的はもちろん――アイシャの誕生日プレゼントにするためだ!
「あいつ、喜ぶだろうなぁ……!」
言いながら、キールは大きな蜜蓋をナイフで削る。
アイシャの喜ぶ顔を思い浮かべて、キールは浮かれた。
そのアイシャが、念願のガール・ミーツ・ボーイをしていることは、まだ知らない――……。




