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ナイトメア  作者: SHIRO_KUMA
第一部
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謎の病③



実際、恐ろしく身近なところでもこのナイトメアによる事件は起きている。

それは以前起こったというスターの死とは内容は違っていた。


去年の秋くらいに隣町で起きたものだ。


当時は被害ゼロということではなかったものの、

国内全域だけで一日大体10人から多くても20人前後での死亡ニュースが流れていた。


なのにあの時、隣町だけでの犠牲者とされたのは計80人を超えた。


およそ3日間のうちに雪崩れるようにその町で起きたのだ。


儀式によって引き起こされたとする世界的に知れ渡った以前の事件と違ったのは、

悪夢を引き起こすようなこともなく原因は一切不明だったということ。


まだ記憶にも新しく、

国内はもちろん海外も注目した大事件だった。



そして何よりそれ以降、

“また一時期と同じように消え去った”かと思うほどにナイトメアの被害は収束していった。


“謎の病:ナイトメア”には波があるように発生数が変わる時期があった。


ニュース番組の情報程度で詳しく知っているわけじゃないけど、

俺が生まれてからの振り幅でいうと、中学に上がった頃までは今と同じような状況で国内や世界中で毎日のようにニュースの片隅でナイトメアによっての死者数の報告が出されていたらしい。


人数は全世界で日ごと一万件を下回る数字であっても、

解明不可能な奇病ということもあってか国内で数名の被害が出ただけでもニュースになっていた。


それが突然のようにパタリと被害が出なくなった。


当時はナイトメアからの解放だと賑わうニュースが溢れていた。


中学生だった俺は、

高校に上がってからも不安なく過ごす日々が続いていた。



そう、人は生まれてから死ぬまで、

毎日のように寝たあと目が覚めずに死ぬかもしれないという漠然としたリスクを抱えながら生きている。


それは交通事故に遇うようなものであり、引き起こる原因も特定はできない。


しかしそれが日常である為に、全員が全員不安を抱えることはあまりなかったものの、

心の隅には確実な恐怖は常にあったのだ。



高校生活が始まり不安なく過ごす日々、

しかしそれもつかぬ間で、高校を2年に上がった頃にはまたナイトメアの被害が徐々に増え始めたのだ。


数か月ほど、国内外を含めて集団被害も増え始めた矢先だった。

去年の隣町での事件はその頃に起きた。


今も被害は常に世界で、身近で、起きている。





ナイトメアって、一体なんなんだ。




眠って、目覚めることなく、死ぬ。




防ぐ手立てもない。




治す薬もない。




助かった記録もない。









――――――――――――― 俺を、除いて。



修正:230823A

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