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ムキドラ  作者: TAITAN
1/13

~序章~

ムキドラ~転生先はカヨワイ人間だった件~


~Chapter~


 ムキドラ~序章~2022年4月1日

 ムキドラ~第1話「キンニクとテンチノハザマ」~2022年4月1日

 ムキドラ~第2話「キンニクとダンベル」~2022年4月2日

 ムキドラ~第3話「キンニクとマホウ」~2022年4月3日

 ムキドラ~第4話「キンニクとエミーネ」~2022年4月4日

 ムキドラ~第5話「キンニクとキントレ」~2022年4月5日

 ムキドラ~第6話「キンニクとオシゴト」~2022年4月6日

 ムキドラ~第7話「キンニクとランドセル」~2022年4月7日

 ムキドラ~第8話「キンニクとヨウヘイ」~2022年4月8日

 ムキドラ~第9話「キンニクとイノチノヒカリ」~2022年4月9日

 ムキドラ~第10話「キンニクとマホウノコトバ」~2022年4月10日

 ムキドラ~第11話「キンニクとハカイシン」~2022年4月11日

 ムキドラ~第12話「キンニクはカクカタリキ」~2022年4月12日


序章


 無限に広がる大宇宙。

 大抵、人間なんてちっぽけな生物はミジンコ以下扱いな世界。


 謎の宇宙膨張現象により、母星を天変地異によってボロボロにされた人類は未知の銀河系内部へと叡智と技術の結晶たる大艦隊を率いて歩みを進めていた。


 だが、その不穏な程に平穏な時間は遂に1分前破られ。

 艦隊は壊滅の危機に瀕しているのだった。


「う、うわぁああああああああああああ!!?」

「三番艦緋桜、四番艦回天、轟沈!!?」

「第七艦隊の損害多数!? 直ちに退避して下さい!?」

「後を、頼みます―――」

「何なんだコレはぁあああああああああ?!!」


 全長2000kmにも及ぶ人類最後の希望。


 銀河先遣調査艦隊旗艦カルネアデスは今正に謎の現象を全ブロックに受け、轟沈寸前の有様で次々に沈みゆく輩を横に現象の中心部と思われる宙域目前で全てのアンテナを現象中心領域へと向けて全力観測を実施していた。


 白銀の剣にも似た船には巨大な空間の歪曲がまるで雨粒か台風かという程、次々に襲い掛かり、罅割れたブロックの内部から阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されている。


 死屍累々ドラマチックな状況で彼らが帰還したならば、きっと3時間の映画が5本くらいは作られるだろう。


 AIによる緊急閉鎖でブロックが次々に隔壁で閉ざされていく最中。


 ようやくメインブリッジにおいて艦長と呼ばれる白髭の老人が今や非常灯に切り替わったメインクルーのいる下方からの直接の声で自分達の目的たる情報を確認していた。


「艦長!! も、目標宙域のデータ解析が終了しました。解析結果は二十秒程でメインモニターに出ます!!」


「ようやく、か……」


 老人が呟く。


 だが、メインモニターよりも先に解析結果を見ていたクルー達が次々にその映像に釘付けとなる。


『何だ!? 何が一体どうなって―――』

『こ、これは―――これは何なんだ!?』


 ざわつくクルー達に異変を感じた艦長が彼らに問う。


「一体、どうしたと言うんだ。何があった?」

「か、艦長……」


 解析していたクルーの1人の男が彼を振り返る。

 その時、パッと解析結果がようやく罅割れたメインモニターに映った。


「―――蜥蜴が、人型の蜥蜴が、踊っています!!?」

「はぁ?」

「AIによる計算ではぜ、全長2900億3200万km!!?」

「ど、どうなってるんだ!?」

「何かの間違いじゃないのか!?」


 ざわつく彼らの前に映し出されたのは少なからず星系などより余程に馬鹿デカイ何かが宇宙のど真ん中で動いているという事だけだった。


―――赤方偏移世界宇宙中心領域。


「うーっ♪ はーっ♪ うーっ♪ はーっ♪」


 まるでインド映画にありがちなノリノリ過ぎる音楽でも流れていそうな掛け声と共に宇宙が撓んでいた。

 “ソレ”の両手が振り回すのは赤色超巨星らしき物体がクェーサーらしき発光で繋がれたダンベル……らしきものであった。


「ふふふーふふーん♪ ふふふーふふーん♪」


 鼻歌混じりに宇宙の驚異。

 何もかもがダイナミック。


 そんな自然現象が明らかに光の速さを越えて振り回されている。


 地球なんて塵以下の大きさだろうスケールの事象が意図的に利用されているのである。


 太陽すらビー玉以下の大きさにしかならないだろう比の腕が星系よりも広い背筋を躍動させ、ダンベル片手にノリノリで股を開いて伸ばして縮めて尻尾をフリフリさせている。


 ソレは水星よりは絶対大きいだろう汗を爽やかに周囲へ無数散らしていた。


 一緒に宇宙までスマホのバイブレーション機能染みて震えているが、ソレが気にする様子は無い。


「おっしゃぁあああああ!! ジンジン来た来たぁああああ!!?」


 ソレは巨大ではあったが、人類が見付けた中でも最大級の巨大天体を悠々と振り回している。


 その姿はまるで幼子が初めて運動ではしゃいでいるかのようであった。


「整ってっっ、キタァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」


 それの叫びが宇宙に咆哮となって響き。

 光の速さを超えて、あらゆる領域に破滅の足音を届けていく。


 とある星系では空間がぶっ壊れて引力バランスが崩壊し、とある銀河では艦隊戦をしている最中に謎の波動で戦争理由たる惑星そのものが無くなったかもしれない。


 とにかく、それは赤銅色の蜥蜴だった。

 ついでに言えば、人型をしていた。

 尻尾が生えていた。

 四肢があった。

 鱗はきっと太陽一個よりもぶ厚かった。


 そして、微妙に人類が商業活動で適当に売っているトレーディングカードゲームで切り札か禁止されそうな外観をしており、スタイリッシュな癖に重厚な質感を持っていて、微妙にイケメンだった。


 まぁ、一言で言えば、だ。

 ソレは人型のドラゴンだった。

 無駄に豪華な装飾かと見紛う鎧染みた外殻。


 切れ長の瞳に髪の毛……みたいに見えるエネルギーっぽい何かが背後に流れて汗を蒸発させつつ、星系が雲海になりそうなくらいの蒸気を発生させている。


「ふぅぅぅ……ボクがナイスバルク」


 まるで近頃ジム通いに嵌った中年のおっさん。


 そのような雰囲気を醸し出しつつ、ドラゴンらしき生物……なのだろう何かは此処に来るまでに捕まえておいたブラックホールの上にドスンと座り。


 ちょっと、バランスボールみたいに弾ませている。


「ああ、整ってる……整ってるよ。ボク」


 吸い込まれるどころか。

 逆にちょっと座っているブラックホールの方が収縮したような気もする。

 恍惚として少しナルシストっぽくうっとりするドラゴン?である。


「やっぱ、ここはいいなぁ。ああ、これで冷たい氷河期の惑星とかをこう大量にボリボリしつつ、のど越し爽やかな中性子星のパチパチを流し込んで味わうというのも……イタダキマース(カプ)」


 尻尾の先にくっ付いていた袋状の輝く超磁力球体が口元に運ばれ、内部から“オヤツ”がボリボリ、ゴクゴクとその巨大に過ぎる肉体の内部へと放り込まれていく。


 それは数百万個にも及ぶ大量の惑星であった。


 その様子はビール片手に居酒屋で感動に叫ぶおっさんみたいである。


「くぁあああああああ!!!? コレの為に生きてるぅううううううう!!!?」


 その叫びに応じて数千億度を超えるコロナ染みた粒子線の束が口から洩れ。


 射線上に空間の歪みが発生し、次元境界がブレッブレで震えながら崩落し、世界の外から得体の知れない何かが侵食を開始したりもした、かもしれない。


 まぁ、そうもなるだろう。


 俗称でドラゴンと呼べるだろうソレは数百万個単位の様々な星を咀嚼するやら喉に流し込んでいるのだから……その巨大な星の断末魔、崩壊した時の波動、咆哮によって生じるエネルギーは極大だ。


 宇宙の何処かが直線状に蒸発したりしたが、生命のいない星団や銀河である事を願うばかりである。


『………ぁ』


「ん?」


 小首を傾げるドラゴンが周囲をキョロキョロする。


「この馬鹿ぁああああああああああああああああああ!!? 馬鹿ちんがぁああああああああ!!? 一体、一体、何してくれとるんじゃボケぇええええええええええ!!?」


 ドラゴンがいきなりドラム缶でも飛んで来たのかと思うようなドロップキックを喰らって―――逆にその襲撃者が吹き飛ぶ。


「はぐっ!? げほぉおおお!? ごほ、ごほぉおおおお!? ゲッホッ、ゲッホッ、ゲボォオオオオオ!?」


「うわ、キッタナ!? えんがちょー!?」


 ドラゴンがドン引きした様子で思わず後ろに身を引く。

 虹の川を口から垂れ流す襲撃者は女の子だった。

 微妙に白と金の神々しい装飾なワンピースタイプのドレスを着ている。

 だが、中身は微妙にオオサカちっくであるらしい。

 髪は輪ゴムっぽい何かで止められている純日本人的な顔立ちである。

 しかも、可愛くないがブスでもない。

 一番表現に困る将来OLでもしていそうな感じの少女だった。


 まぁ、観測している者がいれば、その超ド級のイチゴ柄パンティーがひっくり返った際に大公開された事をキャプチャかRECしているかもしれない。


「う、ぅぐ!? む、無駄に硬い!? 賢者の石や神の石より硬いィぃ!? どうなってんの!? 何なん!? ウチ、何か悪い事した!? このクソトカゲがぁあああああああ!!? 絶対許さへんよぉおおお!?」


「ひぇ?! メ、メンヘラは御帰り下さい!? ボク、これでもキントレで忙しいので!?」


 何とか立て直した女神様みたいな恰好の少女は虹を袖で拭きながら、猛烈な勢いでドラゴンを睨んで捲し立てる。


「アンタなぁああ!? アンタのせいで宇宙創造大変な事になってんよ!? 解ってるん!? 自分が何してるか分かってるん!? 宇宙大崩壊が進行中なんやで!?」


「え? ボ、ボクはキントレしてただけですから……べ、別に悪い事なんて何もしてないし。そ、創造の女神さんだって、ほら小さい知的生物とか時々滅ぼしてるじゃないですか!?」


 キョドったドラゴンが敬語になりつつ、目を泳がせて口笛を吹き始める。


 そのせいで宇宙の何処かで磁気嵐が発生。

 銀河が幾つか崩壊した、かもしれない。


「こ、こんのぉクソトカゲぇ……ウチが知らんと思ってるん!? アンタの悪行は全部丸ッとガッチリキッチリクッキリお見通しやで!?」


「な、何の事かなぁ。神様に怒られるような事、ボ、ボク知らないなぁー(棒)」


「棒って!? 自覚あんのかい!? クソ!? やっぱり、クソトカゲやないか?! この間、造ったばっかの銀河系からしこたま中性子星や水有る惑星、恒星ぶっこ抜いて来たやろ!? ああぁん!!?」


「キントレしてたら、喉が渇いたんだモン(定期) キンニクには栄養が必要なんだモン(お星様200万個美味しかったです御馳走様) ゲップ……(´▽`*)」


「ぶりっ子か!? 後、子供でもそんな言い訳許されへんで!? どつくでマジで!?」


 ボカッと女神様がドラゴンをげんこつでぶっ叩く。


 だが、その頭の固さで逆に拳にダメージを負った女神が『うぐぅおおおおお?!』とプルプルし始めた。


「も、もぅ許さへん!? ウチの幸せ宇宙計画の邪魔をするモノは例え誰が許してもウチが許さへんでぇええええええええええええ!!」


 ビカァアアアアッと瞳から猛烈な光を発した女神が拳の痛みに半泣きでフゥフゥ言いながらジリジリとドラゴンににじり寄る。


「いやぁあぁああ!? ボクにイヤらしい事する気でしょ!? 薄い本みたいに!? 薄い本みたいに!?」


「無駄知識か!? 何処にお前みたいな無駄デカクソトカゲの相手がおんねん!? 今日という今日は観念せんかい!? 【ギオース】」


 服の背中から引き抜いた先端が蝶々の形を象った白金製っぽい杖が構えられた。


「ふ、ふふ、今まで作ったばっかの銀河団を喰らいまくってくれた恨み。クソデカの癖に逃げ足だけは速くて良さそうな星系を何度も何度も踏み潰してくれた恨み。それから、ウチがせっかく育てた生命体のいる星を間違って食べちゃったとか言うブチ切れ案件×約2100億回分の恨み」


「うわぁ……やっぱり、創造の女神よりは恨みの女神に改名した方がいいんじゃ? 恨みばっかり」


 ドラゴン【ギオース】がボソッと突っ込む。


「しゃらくせぇええええ!? 堪忍袋マッハブチキレ!!? テメェはウチを・お・こ・ら・せ・た!!!」


 杖がヒュンヒュン言いながら蝶々を回転させ、それと同時に神々しい光が杖に集約されて高まっていく。


「く、くくくく、神光帝国から輸入したこの因果律破断杖でぶっ殺してやらぁあああああ!?」


 あ、これは完全にイっちゃってますね。

 と理解したギオースが血の気を引かせる。


「ご、ごめんてぇええ!? もう良さそうな星とか食べないからぁ(1万個くらいまでしか)!!?」


「本音駄々洩れぇええええ!? 死に晒せぇえええええ!!!? ええと………リーリカリリララ、リーリカレーレルト? おっしゃ起動承認!! 死ね!! クソトカゲ!!」


 ギュラァアアアアアアアアアアアア!!!!


 という擬音が聞こえて来そうな発光具合。


 無駄にアニメ最終回で流れてそうな壮大で良さそうなBGMと共に杖が―――。


「汝、宙を食い荒らすキントレクソトカゲ!! ギオース!! 汝に罪有り!!! ギルティイイイイイイイイイ!!!!」


 振り下ろされる。


「い、いやぁあああああああああ!!? メンヘラに殺されるのはいやぁあああああ!?」


 ドラゴンが慌てふためいて逃げ出そうとしたが、女神のゴリマッチョ化した片手がその尻尾を掴んで離さない。


「手加減しようかと思ったウチが甘かったわ!? やっぱ、全力で転生しろおおおおおおおお!!?」


「ギャァアアアアアアアア!!!? ボ、ボクのキンニクがぁあああああああ!!!?」


 光の中にドラゴン・ギオースが消えていき。

 最後にはフッと消失した。


「く、くくく、第三部完!!! 勝ったで!!? ん?」


 女神の前に杖のデータが窓枠で表示された。


「ええと、対象に同化されていない質量は消し切れません? んん? どゆこと?」


 杖の内部データがザーッと出て来て、解放まで30秒の表示が出現する。


「え? 何コレ? ええと、ええと、カスタマーサーヴィスで検索してー………ふむふむ。ははぁん? つまり、相手が食っても消化されてないもんとか、うん〇とか、そのまま出て来るんか。うわーえんがちょー」


 杖をしまった女神が首を傾げる。


「いや、それってつまり……」


 残り3秒で彼女は気付く。


 そういや、さっきあのクソトカゲが食った質量はどれくらいだったんやろ、と。


 そうして、カウンターが0になった瞬間。


 宇宙開闢のビックバンが起った場所で再び宇宙を消滅させかねない巨大質量が顕現し、宇宙を呑み込む程のブラックホールへと変貌し始めるのだった。


『ゆ、許さへんでぇええええええええ!!? あのクソトカゲェエエエエエエエ!!? 後、誰か助けてぇえええ!? 宇宙終わってまう!? ウチの宇宙がぁあああああああああああ!!!?』


 全てを呑み込むブラックホール内部で創造の女神様は涙目で絶叫したのだった。


―――第四宇宙団第七十三銀河団第三二星系地球型惑星【地球】ディーム大陸東端。


 世の中には知らない方が良い事が沢山ある。


「貴方……あの子は、あの子はどうなった、の……」


 ゆっくりと衰弱しつつある明るい金髪の女性が周囲も既に見えない状態で手を握る赤髪の男性に訊ねていた。


「大丈夫さ。僕達の子供はきっとちゃんと育ってくれるよ」

「坊や……坊やは何処?」

「今、産湯を使ってお医者様に見て貰っている最中だよ」

「ああ、良かった。ごほ……ちゃんと、ごほごほ、産んであげられ―――」

「う、ぅぅぅ、マリア……マリア……」


 遂に事切れた女性。


 彼女に縋りながら涙する男が部屋の傍らにある揺り籠を見て、また泣く。


 死産であった。

 最後まで言えなかった。


 男がもはやこれまでと短剣を腰から取り出して、己の胸を突こうと自分の胸に刃を当てた時だった。


『……んぎゃ、ぎゃ、ぎゃぁあああああああああ!!!?(あの女神ぃいいいいい)』


「まさかッッ」


 男があまりの衝撃に短剣を取り落として駆け出し、揺り籠を見る。


『んぎゃぁあああああああああああああ!!?(何処!? ボクのキンニクは無事!?)』


「ああ、神様。神様ぁあああ!!? 感謝致しまずぅううぅぅぅぅ!!?」


 ボタボタと涙も鼻水も垂れ流しで男が号泣を開始する。

 だが、揺り籠の中では蒼褪めた赤子がプルプルホギャホギャし始めた。


『ぎゃぁぁあああああああああ!!!?(ボ、ボクのキンニクがぁああああ!!!?)」


「おーよちよち。ああ、ちょっとダミ声だけど、きっと生き返ったせいなんだね。うぅぅぅ、ううぅぅぅぅぅ、よがっだよぉおおおおおお!!? でも、最後まであいつは勘違いしてたなぁ」


「ぎゃぁああああああああああああ!!!?(イヤァアアアアア!!?)」

「お前、女の子だもんなぁ!!?」


 デデドン。


 そんな音がしそうな衝撃の真実が乳幼児のハートを直撃した。


「ぎゅえぇええええええええええ!!!?(男の子のアレもないぃいぃ!!?)」

「早く帰ったお医者様の処に行かないと!!」


 その日、ディーム大陸東端にあるド田舎イーオ村で1人の赤子が生まれ落ちた。


 当日、世界中の巫女達が予言し、星読み達が見て告げた未来は大陸が破滅へと移り変わっていくというものであった。


 そんな大暗黒期が誰もに指し示された日からゆっくりと時代は修羅が跋扈する争乱へと歩み始める。


 魔物が跳梁し、村々は焼かれ、国は滅び、人類の生存権は後退していく。


 そんな、始りの日。


 死産した赤子が生まれ治した村には穏やかな風と陽光が降り注ぎ。


 村人達の祝福の声で一つの民家は満たされたのだった。

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