障害者とは
障害者とは、誰でもがなりうる可能性がある。どうかさげすんだり、過剰にかわいそうがったりしないで欲しい。
私も平成8年までは健常者だった。
大学で教育学部の養護学校教員課程を選択して、障害者の子どもと接する機会が多かった。
夏休みに病院の中庭の建物内でいろんな障害の子どもと過ごした。
他の学生が見ている子は、脳性麻痺で、ただ寝かせてあって、周囲から鈴を鳴らして気を引いたり、歯がないので刻んだ食べ物を口に入れたりで、にっこり笑って、その担当の学生は思わず感極まって泣きそうだった。手も足も真っ白で指はピンクにツヤツヤして綺麗だった。
キーちゃんと呼んでいた軽度の自閉症の子は、養護学校の教育実習の時再会して、苗字で呼ばれるとよそよそしく、居心地悪そうだったけど、キーちゃんって呼んだらいっぱい話をしてくれた。
タンスを伝って天井近くの引き戸で隠れて殺虫剤のスプレーを、しゅ、しゅーとしていた子は、赤とんぼがいっぱい飛んでいる空に向かって名札を放り投げて、私が笑ったら、その子も笑った。
平成6年に卒業するとき、いつも一緒だった友だちの学生が統合失調症で入院したままだったので、悔しくてひねくれて、小学校と養護学校の免許状をビリビリに引き裂いて捨てた。その時、統合失調症のいーさんが私の書いた小説も破った。小説を書いて生活していくんだと思って、昼夜逆転した。統合失調症の友だちからひっきりなしに電話がかかってきて、ノイローゼ気味になり、無理矢理昼夜逆転を治して仕事に行った。そこで人間関係が最悪で死にたいと思った。
最近、もうすぐ50歳になるけれど、免許状を更新して小学校か支援学校につとめられないかやってみたけれど、統合失調症の症状で無理なのがわかった。葛藤している間もがき苦しんだ。
実家近くに住んでいる人から「あんたのせいでうちの子が勉強せんかった!」と罵倒された。なんで?私にはわからない。私は私なりに悩んだり頑張ったりした結果こうなったんだから。