一 邂逅
昼間から上半身をはだけて、アーケイディスは妃達と酒を飲んでいた。
正妃のソニア、第二王妃のミスティリカ、第三王妃のエンディア、第四王妃のティーローゼ、第五王妃のマジェーン、皆がアーケイディスの可愛い小鳥であり妻であった。
しかし、酒宴を催していてもアーケイディスの頭は素早く動いている。
ソニアの膝に頭を乗せ、皮をむいてもらった葡萄を食べつつもアーケイディスは仕事をしていたのである。
アーケイディスはさぼっているように見せかける事が大変得意な男だった。
それを見て油断した馬鹿共が何人職務を追われたか知れない。
職を失うだけで済む者はまだ良かった。侮って刃を向けた者達はいまや土の下だ。
しかしこれがアーケイディスの仕事体勢なのだと言われたら人々は唖然とするであろう。
半裸で一度に五人の妻を侍らせて葡萄を咀嚼するその姿。
勿論アーケイディスは衣服を改め会議を執り行う事も、自室の机に向かう事もある。
だがこうやって自堕落そのままに振舞う事もままあった。
総て人の油断を買う為に始めた事、なのに最近ではそれが習慣になっていたりするのが恐ろしいと、アーケイディスはこっそりと思っていたりする。最初、自堕落を気取っていたのは暗殺者達の油断を誘う目的があったのだが、今その必要はない。そして目下の課題はレントからの妃が一週間後、城に来る事だ。
盛大な結婚式を挙げる気はない。
国民に負担をかける気はさらさらなかった。
それより、と、アーケイディスはマジェーンの方に頭を寄せて囁くと、黒髪巻毛の美姫は一枚の書状を差し出した。
その紙に踊る丁寧な文字はマジェーンの手蹟である。
結婚の祝いを民衆に求める気のなかった王は、しかし、菜種油を国民に振舞おうとした。
無駄な出費をと随分議会と揉めたが、これが貴族達への何がしかの振る舞いであったならば、誰も文句は言わなかったであろう。
と、いうわけで今アーケイディスが見ているのは予算表だった。マジェーンの父親は財務大臣なのである。可愛い一人娘の篭絡手段に容易く落ちた父は書類をマジェーンに見せた。見せるだけなら大丈夫だと思ったのだろう。マジェーンがその総ての数字を暗記できる程賢かったのがマジェーンの父フラウセンの敗因であった。
「なんだ、こんな数字なのか」
「はい」
慎ましやかにマジェーンが言うと書類を覗き込んでいたミスティリカが艶やかに笑った。
遠国の姫であるミスティリカの金の髪がさらりと揺れた。彼女の青い目が煌く。
「どうせ陛下は欲の皮の突っ張った爺共めと思ってらっしゃるのでしょう? 狸達の俸給から引いておやりなさいませ。一人につき馬一頭諦めさせれば、良質の菜種油を民草に配っても御釣りがくるのでは?」
甘い言葉で、ミスティリカは怖い事を言う。
ミスティリカは古参であるというだけではなく、流石は小国といえど王女、アーケイディスとは息がぴたりと合う。
狸共に馬一頭諦めさせれば……それは実現不可能なのはアーケイディスは当然の事、そしてミスティリカとて理解している事であるが、実現すれば民にどれ程の予算を還元できるだろう。
「ですが」
アーケイディスの沓を脱がせてその足を揉みしだいているエンディアが言った。
「陛下は昨年も貴族の俸給を減額なさっていらっしゃる。わたくしの生家のように貧しい貴族もいることをお忘れなく」
エンディアは癖の無い赤毛を結い上げて簪を挿していた。その簪は結婚祝いにアーケイディスが贈ったもので、彼女は他のどんな装飾品も身に付けてはおらず、妾妃というには余りにも質素な身なりをしていた。
「まぁエンディア様、それを仰るならわたくしの生家はどうなります? わたくしの生家はレント砂漠に近く作物を採るにも不似合いな地。そこで開墾をやっていますのよ?」
栗色の髪を纏めたティーローゼがおっとりと、しかし厳しい意見をエンディアに言う。
別にティーローゼはエンディアを責めている訳ではなく、エンディアも解っている。
懸命にアーケイディスが治世を始めて七年。
様々なものが変わったが、変わらぬものもあるというそれをアーケイディスの妻達は教えてくれる。
ソニアは何も言わない。
ただ、アーケイディスの膝枕役に徹するのみだ。
ソニアは王女でもなければ貴族の娘でも農夫の娘でもなかった。
彼女の元の身分は娼婦。
アーケイディスに女を教える為に育てられた少女だった。
破瓜姫と呼ばれ、尼僧のように暮らしてきたソニア。娼館の一室から出る事も許されずおよそ人間らしい生活から遠ざけられていきた娘。
娼婦と言ってもソニアは他の男と交わった事はない。ソニアは生まれてきた時から王に破瓜される運命を持った娘で、それ以上でもそれ以下でもなかった。
アーケイディスが初めての恋を知るまでは。
アーケイディスはソニアを抱かなかった。代わりに娼館から攫い、王宮に閉じ込めた。
莫大な身請け金を払い、アーケイディスはおずおずとソニアに愛を告白し、そして愛し合ったのだ。
父王が崩御した直後の事である。
隣国の王女との結婚式を間近に控えていた頃の事であったが、見事に破談になった。
薄情なアーケイディスは、その時もそして今も、その王女の事は殆ど考えた事がない。
ただ、彼の楽園で生きるソニアと他の妻達が可愛くて、そして溜息をついた。
「大丈夫です、アーシュ様」
唐突にソニアが言った。アーシュとは亡くなった母とソニアだけが呼ぶ名。
「今、考えておられるのはこの楽園の事でございましょう? わたくし達、きっとレントの姫君ともうまくやっていけますわ」
アーケイディスの背筋がびくっとした。
彼の頭の中ではもう中流以上の貴族の俸給を減額する案で結論づいていた。エンディアの生家のような下級貴族には反対に俸給の増額。レント砂漠近くで開墾に当たっている者達には何か別の褒美を考えよう。
そして問題はまさしく新たな妾妃がこの楽園を荒らすのではないかという所にあった。
王族であるミスティリカですら、ソニアには正妃への敬意を払う。客を取った事がなかったといっても、元娼婦に、そうするのにはかなりの葛藤があったであろうと思う。
他の妻達もお互いを慕いあい、仲良く暮らしていた。
そう、此処は正しく小鳥が囀る楽園───。
その時、全くもって空気を読まない鈴の音が響いた。
緊急時にのみ、鳴らせと申し付けた鈴が。
「何事ぞ!」
妃達は既に体制を整えている。エンディアが沓を履かせ、ソニアはそっと夫に寄り添った。
今までこのような事がなかった訳ではない。妃達の対応も慣れたものだといえよう。
しかし衛兵の奏上は誰にしろ思いもかけぬものであった。
「ケセルトン様がいらっしゃいました! 風読みをつれて、たった今陛下との面会を求めておいでです!!」
アーケイディスの体から力が抜けた。
「レントのケセルトンが来るのは来週の筈だ。偽者などに構っている余裕は余にはないぞ。追い払え。物乞いの類かも知れぬがな」
「それが、銀髪なのです!」
衛兵の声に、アーケイディスは手を振った。扉が未だ閉まっていて見えない事など意に介さぬらしい。
「色を抜いたのであろう」
「瞳が紅いのです!」
この言葉に、漸くアーケイディスは事件をまともに受け取る気になったらしい。
「白子か。確かにケセルトンかも知れぬな」
鬼神、戦乙女、様々に謳わるるケセルトンは白子だという。
銀の髪に紅い瞳の美しい娘。
アーケイディスが婚姻の約束をしたのは娘の父親とであったが、その男も美しく、娘の美貌もただの噂ではないであろうと思われる。
「仕方ない。謁見の間に連れて来い。何がしか身分を証明するものを持っている筈だろう。それから考える」
「いえ、ケセルトンと名乗る女は裏門から入ってすぐの庭の方に陛下に足をお運び頂きたいと申し上げております」
元々長くないアーケイディスの堪忍袋の緒は、ぷっつりと切れた。
「何故!!」
妃達を振り切って扉に大股で向かうと、アーケイディスはその扉を思い切り蹴り開けた。
ひっと、衛兵が息を飲んだ。
アーケイディスが本気で怒っているからだ。
「何故王である余が我が民に命じられねばならぬ!!」
「しっ、将軍が人質にとられております!!」
衛兵の言葉にアーケイディスは眉をあげた。
「エンギーゼが?」
フェリシニア第二位の剣技の使い手が?
アーケイディスの剣の師匠が?
第一位をアーケイディスが取ったとはいえ信頼出来る男であったのに。
「まことか?」
「首をかけます!!」
衛兵が泣きそうな顔で叫ぶのと、背後からソニアがアーケイディスにマントを羽織らせたのは同時であった。
「いってらっしゃいませ」
そして国王は王妃に逆らえない。
ソニアはアーケイディスの剣帯をはめさせ、王の宝剣を腰に佩かせる。
手伝うのはソニアだけ。それは正妃の仕事。
「行ってくる」
「お帰りをお待ち致しておりますわ」
不機嫌そうなアーケイディスにソニアは精一杯笑ってみせる。
すると、アーケイディスの頑な怒りの表情が崩れ、困ったような顔になる。笑顔を噛み潰したかのような顔。
「すぐ戻る。すぐにだ」
アーケイディスは言った。
どうせ偽者だろう。早く着きすぎる。
本物だとして、だから何なのだ?
偽者と間違えて切ったとでも言えば良い……が、だがやはり本物であれば切り捨てるわけには行かぬ、か。
レントの戦乙女、その力だけは欲しかった。
◆◆◆
アーケイディスは思った。
今の自分はきっと苦虫を噛み殺したような顔をしているに違いない、と。
裏庭の奥、人気の無いところに彼らはいた。
エンギーゼの身体に馬乗りになって首筋に剣を添わせている銀髪に紅い瞳の女とそれに従う老婆。
丁度植え込みの陰になっていて人目に付かないところだ。それでも噂が立つのは仕方ないだろう。将軍エンギーゼが女に負けた、と。
周囲に気絶した部下達が転がっている。血痕は無い。恐らく全員骨すら折れていないであろう。その数十二。
裏門を守る彼等は少数ではあるが精鋭である。
それがこのようにあっさりと気絶させられている事がまるで何かの茶番劇の様で……笑えない。下手な茶番は苛つくだけだ。
恐らく、実戦なら兵士達は気絶では済まなかっただろう。質に取る気なら関節等を破壊され、質の価値なしと女が判断したなら、殺されていたのではなかろうか。
そして、白髪の老将軍もまた、口から泡を吹いて気を失っていた。
黒竜王の剣の師匠にして、フェリシニアの柱。何故そんな男が女の足の下で泡を吹いているのだろう?
じい、と、呼んで駆けつけたいのを必死で我慢した上で、先程の衛兵を供にしたアーケイディスは女を見た。老婆は供の者だろうと見当をつけ、紅い瞳の女だけを見つめる。
深く被ったフードから零れる銀の髪。半分だけ覗く紅い瞳は鳩の血色。
青味すら帯びた、真白な肌だった。白子というのは間違いないらしい。
「名を名乗れ」
アーケイディスの言葉に女が笑った。
音楽のような美しい声に隠されていたのはまさしく侮蔑、嘲笑。
「そこな兵士は飾り物か? 我が名の伝言という簡単な仕事すら出来ず禄を食むようなら兵と名乗るもおこがましい」
「なっ……!!」
衛兵が気色ばむ。その衛兵をアーケイディスは手を伸ばし制した。
こんな簡単な挑発に乗ってたまるか!!
「ケセルトン姫と聞いた。だが、真偽を確かめるものをこの者は託されていない。レント砂漠の一族の姫であるなら、証拠をお見せ願おう」
「証拠証拠、そう言うならば貴方がまずこの国の王である証を見せられよ。そこな未熟者が適当な男を連れて来たという可能性は捨てきれぬ」
女の言葉に、アーケイディスは腰に佩いていた剣を鞘ごと剣帯から外し、その剣を抜いて、鞘に戻した。
「フェリシニアの宝剣『陽華月華』、抜けるのが王である証。嘘だと思うのならそなたの手で抜いてみるがいい」
『陽華月華』は、このフェリシニアの始祖王がこの大地に国を作る許しを得たときに神々に授けられたと聞く。刀身が自ら淡い光を放っていたところを見る限りそれは本物だ。
王の血筋と素質の無いものには抜けぬ剣。
にやりと女は笑った。
「それには及ばぬ。私では恐らく抜けぬだろうからな。──失礼を致しました。アーケイディス国王陛下」
女は自らの剣を腰の剣帯に仕舞った。
アーケイディスも宝剣を腰にまとう。
そしてケセルトンはエンギーゼの体から降り、おもむろにフードをはだけた。
紅い瞳が完全に露わになる。ただ人には持ちえぬ完全な血色。
銀の髪が解放されて鮮やかに広がった。ヴェールのように広がる銀髪は月の光を紡いだかのよう。
美形である。
アーケイディスが太陽ならまさに彼女は月の姫であった。
「ケセルトンという。姓はない。王もご存知の通り、レントの長の血族は姓を持たぬ故に」
「余は証拠を差し出したぞ。そなたが真実ケセルトンであるというなら証明してみせるが良い。父親の親書でも何でも構わぬ」
「親書は行列を抜けだした時においてきた。私が証拠として差し出せるものはこれしかない」
言うなり、女は後ろを向いた。
そしてフード付きの外套を脱ぎ、その下の服に手をかけるとその肌を露にする。
衛兵が見ないように回れ右をした。
アーケイディスは嘆息する。
「ほほう……確かに」
女の背には蓮の刺青があった。
薄い桃色の蓮の花が艶やかに、真っ白な背を彩っている。
レントの一族は長の家系の者にのみ刺青を入れる。尤も、弱い者と女にはその権利は無い。強い者だけが長の一族を名乗る事を許され、それぞれに成人の儀で刺青を入れる。
女でありながら刺青を許されたのはレント史上唯一人。
そのケセルトンの刺青が蓮だというのは有名な話だ。
「ケセルトン姫、相解った。着衣を正せ」
アーケイディスが命じると、女は、否、ケセルトンはすみやかに服を正し、フードを被る。
「行列を抜け出してきたといったな。何故だ? 我が妻になるのが不服か?」
アーケイディスの言葉に釦を止めながらケセルトンは答えた。
「別に貴方の妻になる事が不服だったのではない。弱い男の妻になる事が不服だっただけだ」
ぱちくりとアーケイディスは眼を見開いた。
弱い男。
この女の眼には自分はそのように映っているのだろうか?
「余が……弱いと?」
「王笏を握って、宝剣を飾りに、この男に戦陣を任せていたのだろう? 自分は玉座に在ればいい。気楽なお立場だ。弱さが見える」
鞘走りの音がした。衛兵が抜刀したのだ。
「我らが陛下を侮辱する事は許さぬ!!」
「落ち着け」
アーケイディスはそっと衛兵の肩に手を置いた。
こやつでは傷一つ付けられず、あっさり気絶させられるのが目に見えている。
「面白い妻だ。気に入った」
「私は気に入らぬ。フェリシニア二位の男がこの程度では、笑うに笑えん。よって私はアーケイディス王との婚姻をお断りする。心配なさらぬでも我が異母妹が、私の代わりに妻として献上されるだろう」
「弱い男に嫁ぐのが嫌なら、手合わせ願おうか? ケセルトン姫」
「腰の宝剣は飾りであろう? 男というものはすぐ誇りがどうの、意地がどうの。命を縮められますぞ」
ふん、とケセルトンは笑った。
だが、アーケイディスも笑っている。
「正直、腕が鈍りそうで恐ろしかった。そなた相手なら本気も出せよう」
「──よう仰せになった」
鞘走りの音を立ててケセルトンは抜刀した。
アーケイディスも抜刀する。神の加護を受けし宝剣は音すら立てず鞘から抜かれる。
「おい。お前」
アーケイディスは衛兵に命じた。
「人が来ぬように見張っていろ」
は! と衛兵は跪き、主の言葉に従う。
「無様に女に倒される姿を見られたく無いか。賢明なご判断だ」
ケセルトンの嘲笑に、アーケイディスは真面目な顔で返す。
「そなたは強くあるのだろう? 本気で掛からねばならぬ相手だ。しかし、国王が女相手に本気を出したというのも外聞が悪い」
「は! 笑止!! 侮るのもいい加減になされよ。参る!!」
一瞬でケセルトンはアーケイディスとの間を詰めた。
だが、ケセルトンの剣が抉ったのは宙。
その一瞬でアーケイディスは後ろへ飛びのき、大きくからぶったケセルトンの肩を狙った。鋭い突きは、寸前でかわされる。
踊るように、ケセルトンは刀を扱う。それは『レントの舞踏』と呼ばれる剣の型だった。
アーケイディスは一方的に不利だった。
怪我をさせるくらいでとどめなくてはならない。それも軽傷で済むように。
致命傷や深い傷を与えたなら折角のレントとの取引が無駄になる。
お転婆娘へのお仕置き位が丁度良いのに。
ケセルトンの動きは素早かった。上半身はしっかりとしていて優雅に花開く大樹のようなのに、下半身は忙しくステップを踏む。
突いて、なぎ払って、振り落として。
攻撃のパターンがまるで読めない。
アーケイディスはわくわくしている自分に気が付いた。嗚呼、楽しい、楽しい。
もう勝ち負けはどうでも良かった。
ただ剣を合わせている事が楽しみであり喜びであった。
殺して良いといわれてもそれが難しい位に強い相手。
剣をあわせるのが本当に楽しい。
ケセルトンは笑っていた。
紅を刷いていない唇で嫣然と。
ケセルトンも楽しんでいた。
最初の一撃で倒せるような相手ならば父は自分を差し出したりしないだろうという事が、ケセルトンには解る。彼女には自分の利用価値を正確に測るだけの脳味噌がちゃんと備わっていた。
だけれども、此処まで! 此処まで自分を楽しませてくれるなんて!!
一族の猛者達よりも、強い!!
それはなんという驚きだろう。
ケセルトンは自分が愚かであった事を知った。それは決して気分の悪くなる事ではなかった。むしろ、心地良く思う。
何時の間にかフードがずり落ちていた。
そんな事にも気付かなかった。フードが落ちるほどの手練を今の今までケセルトンは相手にした事がなかったのだ。
銀の髪が踊る。
汗ばみ、剣の握りの部分が滑りそうだ。
百人で三千騎の相手をした事もある。
その時ですら汗などかかなかったものを。
たん! たん!!
ステップを踏む。舞うように剣を振るう。
しかし、段々ケセルトンの意識は朦朧として来始めた。
何故だ? こんなに楽しいのに、くらくらする。
むき出しの頭部や皮膚に、太陽の光が突き刺さっていた。
夢中になる余り、ケセルトンは白子には天敵である陽光に皮膚を曝していたのである。




