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I
渋滞が嫌だと自分に言い聞かせて
朝早くに誰もいない国道を走らせる
醜態を晒すのが嫌だとひた隠して
誰もいない時間を狙って忍び込む
満員電車に詰め込まれた亡霊達が
シワだらけのスーツに身を包んで
綺麗に守られた変わらない広告に
変われない自分の汚れた姿を映し出す
紛れ紛れて流れ着いた場所に
価値を見出そうとするのは昔の話
紛れ紛れて流れ着いた場所で
狼煙を焚くことさえ億劫で仕方ない
辻褄あわせの僕は何者
辻褄あわせの君は何者
青白い光の中に羅列した0と1の
どちらが自分か それは明白なことだ
煙草や化粧室にやることを見つけて
変わらない自分は根を張りめぐらした
二番煎じのニュースが昼休みに溢れ
初出しの喧騒と牽制で探り合う戯れ
我が物顔で世界を語るは亡霊達の調べ
最後の一太刀は「興味ない」とい言葉だ
紛れ紛れて流れ着いた場所に
価値を見出そうとするのは昔の話
紛れ紛れて流れ着いた場所で
狼煙を焚くことさえ億劫で仕方ない
堪え堪えて生きていたこの場所に
価値を見出そうとするのは昔の話
堪え堪えてきた日々の亡霊に
なりだす前に今を進むのだ