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神様(仮)達の日常  作者: 葛葉 シナチク
7月
84/308

神様(寝)の日常 舞台裏の巻 その2



「右と左、どっちがいい?」

「いきなり何の話だ」


時刻は放課後。

吹奏楽部が奏でる悲しげな音が校舎裏まで聞こえる。

頭上でカラスがカァと鳴いた。


「ん?折る腕の話だよ。あ、それとも足が良い?」

「物騒だな。どっちも断るが」


目の前の人物…クソ髭が喚く。

聞き間違いかな?

わたしは耳に手をあてる。


「え?目玉を抉って欲しい?」

「言ってねーよ。どこに耳ついてんだクソ(アマ)


普通に頭の横ですが?

見えてないのかな?

頭大丈夫?


「大丈夫。痛いのは一瞬だから…。」

「一瞬の痛みなんてのは軽症だ。骨折とかは重症の部類に入るんだが?」


良いじゃん腕の一本位。二本あるんだから。

まあ別に腕を折りたい訳じゃ無いけども。

ケジメだよケジメ。

ケジメフィンガーならぬケジメアームだよ。


どうしてわたしはクソ髭の腕を折ろうとしているのか?

理由は簡単。わたしは怒っているのだ。


「また約束破ったね。部活の顧問になるなんて…。」

「言ったろ?約束は破る物だって」


キッ、と睨みつけてもどこ吹く風とばかりに流される。

その上肩をやれやれとばかりにすくませた。

死ね。


「顧問になるのは不可抗力な所があるぞ。校長から言われちゃ辞退は出来ねぇ」

「別に校長から言われたって強制力は無い。断る事だって出来た。お前は甘んじてそれを受け入れただけ。あと腕寄越せ。」

「断る。あとどんだけ腕に執着するんだ」


しかめっ面をしながらしっしと手を振るクソ髭。

死ね。


「別に要らない。」

「ならんなもん欲しがんな!あとそのナイフをしまえ」


おっといけない。殺意殺意。

いつの間にやら手にナイフ(解体用)が握られていた。


「はあ。もう良いよ。お前はいつまで経っても変わらない。性格がクズだから尚タチが悪い。こんな部下を使う上司も上司だ。あの人はそんなんじゃないと思っていたのに。きっとあの人もクズーーッ!?」

「おい。調子に乗るなよ?模造品(レプリカ)が」


セリフが遮られる。

いきなり首を捕まれて地面に足がつかない高さにまで持ち上げられる。

苦しい。息が、つまる。


地の底から響くようなドスの効いた声が聞こえてくる。

まずい、本当に怒らせた。


「あのお方を貶す様なマネはすんじゃねえ。そんなに死にたいのか?ア"ァ"?」

「かっ…はっ…。」


必死に足をバタバタと動かす。

冷や汗がたらりと背中を滑る。

意識が段々と朦朧としてくる。

いくら喉を掴む手に爪をたてても反応が無い。

まるでダメージを受けていないかの様だ。


まずい、本当にこのままじゃ、死ぬーー。


そう思った時、聞き覚えのある声が聞こえる。


「あ、いたいた。智神 こころ。…とあと剣神 甫刀?一体ここで何をしているんだい?」


鬼娘の楽雪だった。

相変わらずの奇妙な顔でこちらを見ている。


クソ髭はチッと舌打ちしてわたしを手放す。

どさり、と音がする。わたしが地面に落ちた音だ。


ゼイゼイと呼吸の音が辺りを満たす。

息が苦しい。立つ力も湧かない。

わたしは横になってクソ髭の背中を見送ることしか出来なかった。


…やっぱりクソ髭にあの人の話題は厳禁だな。


☆☆☆(楽雪視点)


今日は終業式でボク達は部室の整理をしていたんだ。

これから約1カ月間位使わなくなるらしいからね。


人間の文化で夏休みと言うらしい。

学生はこれを大いに喜び、社会人はこれを大いに妬むらしい。


それは兎も角、今、この部屋には智神 こころがいない。

さっき剣神 甫刀に呼び出されたっきり帰ってこないんだ。


「おい、楽雪。ヒマならこころを呼んできてくれないか?大分遅くて心配だ」


心配性な幸神 万がボクにおつかいを頼む。

幸神 万って結構しすこん…しすこん?だよね。


幸神 万には智神 こころはただの可愛い従兄妹に見えるんだろうけど…。

実際はそんな生易しいもんじゃないんだけどな。

まあヒマだし良いや。


「おk」

「どこで覚えたんだその言葉…」


どこって。勿論ネットに決まってるじゃないか。


☆☆☆


う〜ん。校舎中探し回っても何処にもいない。

あと調べていない所…。あ!校舎裏!


普段全く行かないから候補に上がりすらしなかった。

危ない危ない。


校舎裏に近づくと誰かの話し声が聞こえてきた。

ひょいと覗きこむと…何してんのさ?


剣神 甫刀が智神こころの首を掴んで持ち上げていた。

智神 こころは苦しそうにもがいているが、全く歯が立たない。


声をかけると剣神 甫刀は決まりが悪そうにこちらを見て舌打ちした。

イラッ☆


智神 こころは…まあ放っておけば治るでしょ。

むっちゃゼイゼイしてるけど。


それよりも。

ボクは剣神 甫刀に向き直る。


「あの後調べてみたんだけどね。やっぱり君も一緒だね、()()()

「お前なんかと一緒にするな」

「…つれないね」


はあ、とため息をついてみせる。

ボクの態度に全く反応する事無く剣神 甫刀は踵を返してボクの横を通り過ぎていく。

その時、ぼそりと呟くのが聞こえた。


「全ては、天照(アマテラス)様の為にーー」



智神 こころと二人でコソコソしている事でロリコン疑惑がかけられている事を、剣神()はまだ、知らない。

剣神とこころは利用し、利用される仲です。

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