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神様(仮)達の日常  作者: 葛葉 シナチク
7月
73/308

料理マンガのリアクションはオーバー



「……」


どうしよう。

恐らく今の俺の顔は髪の毛と同じ位真っ青だろう。


電卓をパチパチと弾く。

出て来た数を家計簿に書き込む。


今時家計簿をつけている奴がいるかは知らんが、とにかくこれが我が家流だ。


その家計簿で顔が真っ青になるという事は、良く無い事が起こっているという事。


今回の場合は赤字である。


「食い過ぎなんだよあいつ…」


俺は頭を抱える。

家計簿の食費の数字を見ると、先月とは桁違いに膨れ上がっていた。


あいつとは勿論楽雪の事だ。


なんでも、ご飯という物があるのは知っていたが、食べた事は無かったのだとか。

そして、この世に来た時に食べてみて、あまりの美味しさに感動。

以来あいつはかなりの大食いになったのだそうだ。


本人曰く、


「美味しい物はついつい食べ過ぎちゃうよね!」


との事。


だがな、楽雪。食べ過ぎだ。

1日に米を炊飯器で5回は炊き、その分おかずも増えるとなれば自然に必要な食費は増える。


それなのに足りないと言うのだから恐ろしい。

ピンクの悪魔も真っ青だ。

あいつの腹は異次元に繋がってるんじゃないだろうな?


ブルーな気分の中、テーブルの上にあった安売りのお知らせのチラシの内の一つが目に入る。


「うーんと?楽雪の胃を満たし、尚且つ金が得られる…!?コレだ!!」


そのチラシの広告には、『大食い大会開催!参加者募集!』と書いてあった。


☆☆☆


そして当日。


「さア始まりましたっ!第一回足藁大食い大会っ!」


この人体育祭の時も実況していなかったか?


「ルールは簡単っ!食べて食べて食べまくれっ!以上っ!食べた皿数が1番多かった人が優勝だっ!」


楽雪を含めた10人の目の前に皿が並べられていく。


「今回の料理は何を入れても美味しくなるっ!万能料理カレーだっ!」


カレーかあ。確かに美味しそうだ。

海鮮素材が沢山入っているシーフードカレーだな。


「解説の味美(あじよし)さんっ!味の方はいかがですかっ!?」


学生実況者は隣に座っている着物を着た初老の男性に話しかける。

多分料理界でも有名な人とかなんだろうな。

あ、真照のお父さんじゃないぞ。


「むっ、こ、これはっ…!?深い味わいだ!見える!見えるぞ!旨味の海で揉まれながらも必死に生き抜こうとするタコの姿がっ!弱肉強食の世界にありながらも美しくある桜エビの姿がっ!」

「どっちも使ってませんね」

「……」


おい。味美さん…。

本当に料理界で有名な人なのか?


「偶々近くにいた人の味美さん、ありがとうございましたっ!」


って料理界でも有名な人じゃないじゃないか。

唯の一般人かよ。


「気をとりなおして…スタートですっ!」


ゴーン


どこからともなく出て来たドラが鳴らされる。

それと同時に参加者はカレーを掻き込み始めた。


さてさて、楽雪はどうかなってあれ、もう皿が空っぽだ…。

米粒一つとして残って無い。

洗い終えた皿の様にピカピカの皿が楽雪の目の前にあるばかりだ。


「おかわりー」 ずぞぞ

「は、早い…!どうぞ!」

「おかわりー」 ずぞぞ

「えっもう!?はい!」

「おかわりー」 ずぞぞ

「ええっえ!?」

「おかわりー」


楽雪はカレーは飲み物と言わんばかりにむしゃむしゃ食べる。

あまりにも速すぎて手の動きとか口の動きとか見えない…。

超音波とか発生してそうだ。


あまりの食べっぷりに給仕のお姉さんも涙目である。

楽雪の胃袋亜空間説がかなり信憑性の高いものになった。


皿一皿で一人前だから…開始一分で50人前は食べている計算になるな。

やっぱあいつ人間じゃないな。


カレーはあっと言う間に底を尽き、大食い大会は楽雪の圧勝という形で終わった。


賞金を受け取った楽雪は


「今夜はステーキが良いな!高級な奴ね!」


とか言っていた。


計300人前食べたのにまだ食べ物の事を考えられるとか…。

何も食べていない俺が胃もたれしそうになった。

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