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神様(仮)達の日常  作者: 葛葉 シナチク
7月
70/308

(╹◡╹)<残念、それは残像だ



次の日。

そろそろ一限も始まるかと言う所。


楽雪はまだ来て居なかった。


え?一緒に住んでんだろ?一緒に来なかったのかって?


いや、一応一緒に行こうと思って客間に寝ている楽雪を起こしに行こうとしたんだ。

だが、ドアを開けた時愕然としたね。

目を開けて寝ているんだから…。


鼻ちょうちんが大きくなったり小さくなったりしているから寝ているのは分かるんだが、それでも怖いものは怖い。

しかも寝言で「あは…あはゝ」って言っていたからな…。


よくよく考えてみたら起こす義理も無いなと気づいたからそのまま放置して来た。

くくく…。転校二日目から遅刻するが良いわ。


「おーし授業始めるぞー」


そう言いながら教室に入って来たのは数学担当のハゲ…いや、ヅラだ。

本人は否定しているがヅラ説が濃厚な中年男性だ。

…だって結構な頻度で髪が普通じゃあり得ないずれ方をしているし…。ヅラ説が出るのは自業自得だ。


ヅラが口を動かす。

「教科書を開け」。

そう言おうとしたのだろう。


しかし言う事は叶わない。

なぜならば。


「いっけなーい☆遅刻遅刻ー☆」


ドガシャア、と言う音がして窓ガラスが粉砕されたからだ。


突如として悲鳴と驚きに満ち、恐怖に陥る教室。


窓ガラスを粉砕したその人物は両手に炊飯器を大事そうに抱えた少女、楽雪だった。


「楽雪ぅううううっ!!窓は入り口じゃ無ぇええええっ!!」

「え?そうなの?おかしいな。ボクが読んだ漫画には『いっけなーい☆遅刻遅刻ー☆』って言いながら窓から入る少女漫画だったんだけどなぁ」


お前が読んだのはきっと不条理ギャグ漫画だよ!

そんな少女漫画があってたまるか!!


お前は『趣味は窓ガラスを割る事です』と言わんばかりに窓ガラスを割るな。


楽雪は阿鼻叫喚の教室の中、周りを全く気にせず自分の机に向かった。

楽雪の机は廊下の壁際だ。

そこに炊飯器をドンと置く。


楽雪は自分の椅子にそのまま座るかと思いきやしゃがんで机の下辺りでガサゴソし出した。

手に何か持っている。


「お、あったあった。ここだね」


楽雪が手に持っていたのはコンセントだった。…炊飯器の。

コンセントを入れた瞬間、ぶぃーんと米が炊かれ始める。


そこでこっそり携帯の充電をする人はいるが炊飯器で米を炊いた人は居無い。

自由人過ぎる…。


「あの、鬼神。教室で米を炊くな」


ヅラが楽雪に注意する。


「……」


楽雪は暫くじっとヅラを見つめた。

そこに、ピュッと風が吹いた。

楽雪の姿がぶれる。


その途端、いつの間にかヅラの頭の上にあったヅラはファサッ…と寝ている真照の上に出現した。


そのまま重力に従い真照の上にぽすっと乗る。

真照の髪が増え、地毛の白色とヅラの黒色が混ざりモノクロになった。


反対にヅラ…いや、もうヅラは無い。

ハゲはヅラが無くなっていた。

後頭部に哀れみの視線が集中する。


それをやった犯人…と思わしき人物は早速早弁している。

どんだけ食いしん坊なんだ、楽雪。


よくよく考えてみたら楽雪は鬼そのものだ。

人間の認識出来ない速さで動く事も可能だろう。


何が逆鱗に触れたか知らんがハゲは楽雪を怒らせたのだろう。

そのせいであんな辱めを受けている。


見ろ。生徒は笑いをこらえるのに、ハゲは泣くのをこらえる為に震えている。

カワイソス。


楽雪…お前は暴君か。

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