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神様(仮)達の日常  作者: 葛葉 シナチク
4月
7/308

希望は大体打ち砕かれる



「あの…、貴方達、人助けをしているって本当ですか?」


入学式から数日、俺達…というか真照が学校で有名になっていた。


何でも、『美少女が人助けをしている』という噂である。


『 有名になれば部員が増えるかも!』と息巻いていた真照だったが、いつまで経っても増える気配がしない。


気の所為か、真照の目が死んでいる様な気がする。


それは兎も角、目の前の依頼だ。


真照は話が右耳から左耳に通り抜けている様だ。


代わりに俺が返しておこう。


「ああ、そうだが?」

「良かった…!私の頼み、聞いてくれますか?」

「頼みって何かしら?」


真照が立ち直った。


「あのですね…、私の飼っている猫がいなくなっちゃったんです…」


☆☆☆


「猫ねぇ…。あたしは猫より犬が好きだわ」

「そもそも猫ってどうやって見つけるんだ?」


依頼人の情報を纏めると、


・猫の名前は『ミケ』

・メスの三毛猫

・首輪はついてない


という情報しか無い。これでどうしろと言うのか。


「大丈夫よ。あたしの鑑定があるわ」

「真照の鑑定ってどうやって調べているんだ?」

「触るだけよ」

「触るだけで良いのか?簡単だな」


カップラーメンよりも簡単で速い!


「でもね、猫って警戒心が強いのよ」

「確かに」


フシャーー!!、と威嚇される未来しか見え無い。


「じゃあどうするんだ?罠にでも掛けるのか?」

「考えが古典的ね…。あたしに秘策があるわ」


フッフッフ、と真照がこれまでに無い程の邪悪な笑みを浮かべていた。怖い。


☆☆☆


路地裏に入るとそこには猫が沢山居た。入って来た俺達(侵入者)に向けられる遠慮の無い視線。


「「「フシャーー!!」」」


案の定威嚇された。分かっていたとはいえ悲しい。


しかし!お前達の警戒心も此処までだ!


「行け!真照!」

「ちょっと○ケモンっぽく言うんじゃ無いわよ!」

「おや?真照の様子が…?」

「変わらないわよ!Bボタンよ!」


分かっているじゃないか。


「全く…。万のボケに付き合ってらんないわ」

「俺はボケてないぞ?」

「その時点でもうボケよ」


真照は何を言っているんだ?


「はぁ…。ともかくこれがあたしの秘密兵器よ!」

「ててててってて〜!」

「猫のオヤツぅ〜(だみ声)って何言わせてんのよ!?」


乗ったのは真照だ。俺は悪く無い。無いったら無い。


真照は何やら怒っていた様だが、諦めて猫のオヤツを地面に起き出した。


警戒しながらも集まってくる猫達。


… 堕ちたな。


「ちょっと触らせて貰うわよ」


猫がオヤツに夢中になっている中、真照は次々と猫達を触っていく。


…疲れているのだろうか?俺の目には真照の目と猫を触っている部分の手が白く光って見える。


しかも真照が目て何かを追っている様にも見える。


まるで何かを読んでいるかのようだ…。


これはあれか?明晰夢と言うヤツか?


試しに自分の頰をつねってみる。


…痛い。夢じゃ無い?


「居たわ。この子ね…?如何したの、万?」

「…気の所為か?俺の目には真照が何か読んでいる様に見えたんだが…」

「気の所為じゃ無いわよ?」


希望は打ち砕かれた。

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