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神様(仮)達の日常  作者: 葛葉 シナチク
6月
53/308

願いは人それぞれ



ーーねえ、もし、もしもだよ?


ーーうん。


ーーどんな願い事も1つだけ叶うとしたら、何を願う?


ーーうーん…。そうだねえ…。やっぱりその時によるんじゃないかな?


ーーどう言うこと?


ーー願い事なんてころころ変わるもんなんだよ。1つ得たらまたもう1つ得たくなるのが人間なんだから。どうしようもない位欲深いんだ。


ーーうーん…?よくわかんないや。


ーー分かんなくて良いと思うよ?みんなみんな万能じゃないんだからさ。


ーーそう?そっかあ。



これは、どうしようもない位過去の記憶である。


☆☆☆


『集計結果が出ましたっ!1年生の優勝はーっ!?』


ダダダダダダと太鼓の音が鳴る。


『B組ですっ!おめでとーございまーすっ!!!』

「「「わぁああああっ!!!」」」


ジャン!と言う音と共に結果は告げられた。


よっしゃ!これで願いが叶えられる!


「うわわわわ!?え?え?」


あ、夜神が拉致られて胴上げされている。

智将だからか。

本人は目を白黒していて大変そうだ。


「やったわね!万!」

「ああ」


真照も嬉しそうにしている。

興奮しているのか頰が桃色だ。


嬉しそうに騒いでいる俺達のクラスとは対照的に、他のクラスは意気消沈している。


「……。」


その中にはこころもいたが、大して残念そうでも無い。

むしろ何かを思い出している様に心ここに在らずと言う感じだ。


「ねえ、万!万は何を願うのよ?」

「俺か?決まってるだろ?チーズだ」

「まあそんな気はしてたわよ」


何だ?急に冷めた目をして?

さっきまでキラキラした目をしていたのに。


「チーズって言ってもそんじょそこらのチーズじゃないぞ。世界で1番高いチーズだ!」

「ウワーソノハナシスゴクキキタイワー」

「思ってねえだろ」


顔に興味ありませんと書いてある。失礼な。


「ロバの乳から作ったチーズでな。作るのが大変で学生の身分で手に入れるのは難しいんだ」

「ふーん。いくら?」

「1キロ辺り約13万だな」

「チーズにしては高いわね」


あれっ!?そんなに驚かない!?

って真照はお嬢様か。このブルジョワジーめ。

羨ましい限りだ。


「そういう真照は何を願うんだ?」

「そうね。運勢を良くして貰いたいわね」

「運勢?」


そんなもの良くしてどうする。


「…最近あたしの家火の車だから金銭運とか勝負運、幸運を上げて貰いたいわね…」

「お、おう…。そうか…」


やばい。真照の目がどんよりしている。

ハイライトが無い…。怖い。


聞くんじゃなかったと思いつつ九頭龍を探す。

九頭龍は何を願うのか聞いてみようと思ったが、いない。どこ行ったんだ?


「真照、九頭龍がいないんだが、どこに行ったか知らないか?」

「九頭龍は保健室よ。体調不良だって言ってたわ」

「九頭龍が?」


いつもあんなに元気なのに体調不良とか…。

こりゃ雨でも降るかもしれないな。


「うへえ…。疲れた」


ボロボロになった夜神が帰ってきた。

特に髪がボサボサになっている。


「夜神は何を願うんだ?」


ふと気になったので聞いてみる。


「真照ちゃんの愛」


即答された。言うと思ったよ!

だが。


ブブー


どっかから否定の音が聞こえる。

よくよく見てみると、校庭の中央にあるオブジェから聞こえる様だ。


「ダメって事かしら?」

「そうかなんじゃないか?」

「そんな…」


夜神がショックを受けている。


どういう基準で願いが叶えられるのか分からんな。


「えーとじゃあ世界征服?」

「適当だな…」


ブブー


ダメっぽい。

あんまり大きな願いは叶えられないのか?


「真照ちゃんの心」


ブブー


「真照ちゃんの関心」


ブブー


「真照ちゃんの恋心」


ブブー


エトセトラ、エトセトラ…。


人の心とかはダメっぽいな。


最後に夜神が


「じゃあ…叔母さんの肉じゃが」


と言った途端、眩い光が満ちて夜神の手には肉じゃがが収まっていた。


肉じゃが…。それでいいのか夜神。

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