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神様(仮)達の日常  作者: 葛葉 シナチク
5月
35/308

職員室の怨霊



「失礼しまーす…と」


ガラガラとドアを開ける。この学校(?)はどこも鍵がかかっていない様だ。かかってたらかかってたで探索し辛いから良いのだけれど。


誰も居ないと分かっているが、声をかけないといけ無い様な気になってしまう所…それが職員室だ。


俺の知っている学校の職員室ならいつもはコーヒーの香りがするんだが、ここはしない。古臭いこの学校にそんな匂いがしても時代錯誤だとは思うが。


職員室の中を見渡すと、たくさんの机があった。生徒が使う様な物よりも一回り大きく、立派な物だ。職員用の机だな。


それぞれの机の上にはパソコンが置いてある。ここだけ現代を切り取ってはっつけたかの様だった。


そして、湯沸かし器。横には紅茶や緑茶等の

お茶っ葉やらお菓子やらが置いてある。美味しそうだ。


窓は木で打ち付けられていて開かない様だ。外が少しだけ見えるが、赤と青のマーブル色に塗り潰されていて景色は見えない。


床には何か零したかの様な跡。心なしか赤く見えるな。…うん。ケチャップかな?そうだ。そうに違い無い。


血…じゃない。ケチャップの跡から目を逸らすと、唐突にパソコンの内の1つがパッと光った。


「夜神…パソコンに触ったか?」

「ううん…。触ってないよ」

「アッハッハ。夜神、笑えない冗談は冗談とは言わ無いぞ?」

「ほ、本当に触って無いよ!」


夜神が慌てて手をブンブンふって否定の意を表す。


「じゃあ、何でパソコンの電源がついたんだよー?10文字以内で答えよ」

「知ら無いよ!あと幸神くん、君壊れて来て無い!?」


うるせえ。今SAN値がゴリゴリ削れてんだよ!こうでもして気を紛らわせないとやってられないんだよ!


俺のSAN値が削れて来ているにも関わらず、非情にもパソコンは次の行動に移った。


パソコンの画面が砂嵐になったのだ。ザザザと言う耳障りな音が職員室中に響く。


「おおおおっおおお落ちち着けけけけ、まだあわてるような時間じゃない」

「君が落ち着きなよ…」


そうだ!素数を数えよう!どっかで聞いた方法だ。イチ、ニ、サン、ダー!違う!イチは素数じゃない!ここまでセオリー。


「よし、治ったぞ。もう何も、怖くない」

「フラグかな?」


そう夜神が言った途端。


パソコンの砂嵐が晴れた。画面に何か映っている…何だこれ?


石で丸く組み立てられた物だが、かなりボロボロだ。…井戸か?何で急に井戸?


『くーるー、きっとくるー』

「「!?」」


ワッツ!?何事!?音楽が流れ出した!音源はパソコンからの様だ。なんて恐怖を煽るBGM!


ギシッ… ギシッ…


何かが軋む様な音がして、それから…


井戸から真っ白な手が生えて来た。


「「ああああああっ!!!」」


俺は思わずパソコンを殴る。ぷしゅう、と言う気の抜けた音がして画面が真っ黒に染まる。灰色の煙がもくもくと出て来た。


「あ…」


やっちまったか?夜神が「あー」と言いながらこちらを見る。


「♪いーけないんだ、いけないんだー。せーんせーに言っちゃおう」

「先生いないけれどな…」


居たら真っ先に助けを求めている。はあ、誰か助けてくんねーかな…。


相変わらずパソコンからは煙が出ている。画面はバラバラに割れていた。


どうしたものかなと思いつつ画面を見ていると。


ドン!


と言う効果音と共に真っ赤な女性がアップで映し出された。


「ぎゃあああああっ!!!」


俺は驚き後ろに飛び退く。それと同時に真っ赤な女がにゅるっとパソコンの画面から出て来た。


だが。勢い余って机の上から落ちた。それも頭から。


ゴンっ


いい音がした。そのままうつ伏せで倒れる女性。生太刀で突いてみるが反応はない。


生太刀の刃は潰れているから心配しないでも切れない。せっかくの神器なのにそこらへんの棒切れと変わらない扱いになっている。


「…ええと」


夜神が困った様に女を見ている。ポケットから絆創膏を取り出して女にぺたりと貼った。夜神なりの心配の仕方なんだろうが、髪の毛に貼っても効果はあるのだろうか?


「う、ああ…」


女は嬉しそうに夜神を見る。そして泣き出した。


「うわぁああああんっ!」

「えと…大丈夫ですか?」


号泣する女。涙は顔と同じく真っ赤だ。てらり、と光る涙はまるで血の様。


「うう…久しぶりに人の優しさにふれたんよ…。みんな私の事怖い怖いって…嫌ってくんよ。君はいい子なんよ!」


変わった話し方をした。少し可哀想な話だな。


「井戸を登るのには縄ばしごっていう旧式な方法で疲れるんよ…。やっと登れたと思ったら叫ばれて、挙げ句の果てにはお家…もといパソコンを壊されてしまったんよ!酷い話なんよ!」


う…。それは俺だ。申し訳ない。取り敢えずチーズとお酒を出す。もちろん等価交換だ。俺の年齢じゃあ店でお酒は買えない。


すっと女は酒に手を伸ばす。ぐびりぐびりと一気飲み。直ぐに顔が真っ赤になった。もともと赤いけれど、更に赤くなった。


「うぃ〜っく…。久々の味なんよ。美味しいんよ。ありがとうなんよ」


さらに女は語りだす。


「花子さんに誘われてここに来たのはいいんよ。だけどまさか職員室を割り当てられるとは思わなかったんよ。好きにして良いとは言われたけれど、これじゃあ何にも出来ないんよ。ペンキで床を赤くしようとしたけれど、諦めたんよ」


さっきの血…いやケチャップはペンキか。うん。血なわけ無いよなー。


「花子さん?」


七不思議の一つの『トイレの花子さん』か?


「そうなんよ。変わった趣味の黒髪の少女で、ここの七不思議のボスなんよ」

「じゃ、じゃあそいつを倒せば…」


七不思議を全部回らなくても良い…のか?


夜神が走り出そうとする。


「あ、ちょと待つんよ。花子さんはランダムでこの学校の何処かに現れるんよ。トイレ以外でもいるんよ。だからしらみ潰しに調べるよりは七不思議全部調べた方が速いと思うんよ」


そう言われた夜神は渋々こちらに戻って来た。


その後小一時間程話に付き合わされた。有益な情報もあったが、大半が酔っ払いの絡み酒だった。酔っ払いって…めんどくさいな。

本当の歌詞は『くーるー』とは歌っていないそうです。

そして平成最後の日ですね。

良い平成を。

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