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神様(仮)達の日常  作者: 葛葉 シナチク
4月
11/308

真照の悲劇的☆ビフォーアフター!



「ゔぅぅ…」


フラグは俺に休みをくれた。


風邪と言う名の休みをな!


「ゴホッ、ゴホッ」


咳が辛い。鼻水が止まらない。考えがまとまらない。


視界がぼんやりする。あぁ、何だか白いのがいるなぁ…。


もしかして…。


「チーズの、精霊…?」

「違うわよ」


違う…?なら、お迎えか?


「短い人生だったなぁ…」

「安心しなさい。アンタはまだ死なないわ」


違うのか…。良かった…。なら、誰だ?


ひんやり冷たいタオルが頭に乗せられる。思考がハッキリしてきた。目の前にいたのは…。


「なんだ、真照か」

「なんだとは何よ。そんなこと言うならもう看病してあげないわよ」

「ごめんなさい」


今、親は家に居ないからな。居なくなられると困る。誰も看病してくれないのは結構辛い。


「あれ?そう言えば真照はどうやって入って来たんだ?」


まさか、鍵開け…!?


「ん?そんな事簡単よ。拳で穴開けたのよ。ね?簡単でしょう?」


予想よりもっと悪かった!それなら鍵開けの方がまだ良かった!


と言うか拳で人が入れる位の穴空くのか!?


「…俺の家を欠陥住宅にしないでくれ…」

「あら?爆発よりマシじゃないかしら?」


爆発!?物騒な言葉が出てきたな…。


しかもそんな事したら俺が死ぬと思うんだが。


「真照、お前まさか俺の事を暗殺しようとしているんじゃ無いだろうな?」

「して無いわよ!」


否定されたが、不安が拭えない。


「まあ、家に穴開けちゃったのは悪いと思うわ。ちゃんとリフォームしとくわよ」

「ああ、頼む。次からは穴を開けないでくれ…」


ドアがドアとしての意味を成してない。


あと、不法浸入と器物破損は犯罪です。良い子じゃ無くてもマネしないでね!


「あ、あたしご飯作って来るわ!何が良いかしら?」

「チーズ」

「お粥ね」


おい!人の話を聞けよ!俺、『お粥』の『お』の字も言って無いんだが!?


「万…」


真照が呆れた様な目で俺を見る。


「チーズは病人食じゃ無いわ。体が弱っている時は栄養のある柔らかい物を食べなさい。胃に負担が掛かるわ」

「うっ…」


そう言われるとぐうの音も出ない。


「じゃ、あたし作って来るわね」


そう言って真照は俺の部屋から出て行った。


それにしてもお粥かー。食べるのはいつぶりだろうか。あんまり美味しく無いんだよなぁと思いつつ天井を眺めていると。


「おー幸神!元気かー!?」


九頭龍(うるさい奴)がやって来た。


「それにしても幸神の家の玄関凄いな!穴が空いてたぜ!アレが現代アートって奴か!?」


そんな現代アートがあってたまるか。


「違う。真照のバズーカ(匠の技)による悲劇的ビフォーアフターだ」


何と言う事でしょう!さっきまで普通の家だったのに、今では欠陥住宅ではありませんか!


「そうだったのか!幸神、お前も大変だな!」


他人事だな!なんて思っていたら。


「お粥出来たわよー。って、あら?」

「よお!匠!」

「匠!?」


真照()がやって来た。手には出来たてらしきお粥がある。湯気が出ている所を見るに、熱そうだ。俺が受け取ろうとすると。


「いいわよ。あたしが口に持ってってあげるわ」

「え、だが…」

「病人なんでしょ?病人は病人らしくしてなさい」


口に持ってって貰える事になった。


「ふぅー、ふぅー…はい、あーん」


真照に口まで運んで貰ったお粥を食べる。


「…!めっちゃうまい!」


何と言うか…。家庭的な温かさを感じる。母の味だ。


「あら、そう。良かったわ」


真照は嬉しそうに笑っている。


九頭龍が真照に「そんなにうまいのか!?俺も少し食って良いか?」と聞いている。


真照はニコニコしながら「少しなら良いわよ」と言って小皿に分けた。


風邪の看病して、お粥を作って、口にまで運んでくれるなんて…。まるで真照は


「お母さんみたいだな!」


がくっとなる真照。少しお粥をたべて「うまい!」と言っている九頭龍。


真照の「…そこは彼女みたいでしょ」という呟きは小さすぎて俺の耳には届かなかった。

暗殺者系ヒロイン☆真照ちゃん

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