第一章 いつも道理じゃない日常(8)
「「ごちそうさまでした」」
彼女はどうかわからないが、俺は久しぶりのちゃんとしたご飯だったので、少々いつもよりご飯を食べるのに時間がかかってしまった。さすがに、片付けもやらせるわけにはいかないのでお皿をまとめて席を立ちあがる。
あ、彼女はご飯食べれてなかったんだっけ。
「あ、私やりますよ」
「いいですよ、片付けくらい」
そういうと、今まとめたお皿を持ち台所へと向かう。
そして、俺は洗い物をしながら彼女に話を切り出した。
「それで、これからのことなんですけど。知り合いとかで泊まらせてくれそうな人とかは」
俺は何の気なしに聞いてみたのだが、彼女からは
「ふ、いませんよ…。そんな人」
「うっ」
と、まるで死相でも出ているかのような雰囲気で言葉を返してきた。
なんか、すみません。
「いっそ実家に帰ってみては。もう、怒られるのは確定なんですから」
「それは嫌です!」
おぉ、なんという即答。そしてなんという我が儘。
はぁ、それにしても本当にどうしようか。俺はそう考えながら、洗い物が洗い終わったのでリビングへと戻る。そして、時間を確認するため時計を確認する。時計はすでに八時半を回ろうとしていた。
「やばっ」
俺の通っている大学はここから自転車で二十分くらいで、一時間目の講義が九時から始まるためもうそろそろでなければ結構まずい。どうやらご飯を食べるのに時間をかけすぎてしまったらしい。
それに、起きた時間もいつもより少し遅かったことに今更気づいた。携帯を確認すると「聞き逃したアラーム」と出ていた。
「どうしました?」
「もう、大学に行かなくてはいけなくて」
そういうと、俺はいそいでせんめんじょのほうへむかい洗面台の横にある洗濯機から、昨日夜のうちに洗濯しといたものを取り出していく。
やばいな、これは遅刻かもしれん。
「私、やっておきましょうか?」
急いで洗面所へと向かった俺の後を追ってきた彼女がそんなことを言ってきた。
「いや、さすがにそこまでしていただくわけには」
「いえ、やらせてください」
そう彼女はつよめの口調で言うと、俺と洗濯機の間に体を割り込ませた。
「じゃ、あのすみません。お願いします」
そうかのじょに告げると、俺はまたもや急いで自分の部屋へと向かった。そして、部屋着から私服へと着替え大学の荷物を持つと部屋を飛び出し階段を駆け下りた。
先ほどの部屋着を洗濯籠へ放り込み彼女に声をかける。
「じゃ、俺は出ますんで何かあったらこの電話番号に電話してください」
そういって紙切れを彼女に渡す。
「わかりました」
「多分一時くらいには帰れると思いますがお昼はどうしますか。もしあれなら、なんか買ってきますけど」
「いえ、買うと高いですから大丈夫ですよ」
「そうですね。あと、これからのことはまた帰ってきてからで。それと…。これくらいですね、じゃ、行ってきます」
「はい。行ってらっしゃい」
彼女といつもはしないあいさつを交わすと玄関を勢い良く開け大学へと向かった。
初めて書く小説なので最後まで読んでいただけるだけで感謝です。