第一章 いつも通りじゃない日常(6)
「何してるんですか」
「あの、やっぱりなんだか眠れなくて」
「いやいやいや、それで布団に入り込んでくる意味がちょっと」
「い、いいじゃないですか」
「いいじゃないですかぁ、じゃないですよ。一応、ほら、男子と女子が一つ屋根の下、それも同じ布団に寝るなんてあまりよくないですし、おすし」
「何もしなければ問題ないじゃないですか。それとも、さっきの言葉は嘘だったんですか?」
「う、嘘じゃないですよ」
「なら大丈夫ですね」
「うっ」
な、なんてこった。こんなことになるとは全然予想してなかった。
「じゃ、右腕を横に出してもらえますか」
「えっ? なんで」
「それは腕枕をしてもらうためですよ?」
え、なに? その当たり前じゃないですかみたいな顔は。
「ダメに決まってるじゃないですか」
「な、なんでですか!」
「さっきも言いましたけど俺たちは二十歳目前にした男女なわけであってですね、って勝手に人の腕を動かさないでください」
「もう、いいじゃないですか。じゃ、おやすみなさい」
そういって彼女は俺の腕を勝手にいい位置に調節すると頭を乗せ眠りについてしまった。
く、これじゃ「これ、なんてギャルゲー?」状態じゃないか。くそ、背中を向けて寝ているとはいえ親戚でもない同い年の女性を腕枕することになるとは。
ちょっと右を向くと、いや向かなくてもシャンプーのいい香りがって、いつも使ってるシャンプーなのになんでこんなドキドキしてんだ俺は。
そうだ、妹ができたと思えばいいんだ。決して知らない女性ではなく、身内ということにって、できるかーーー!
俺はこの後、二時間ほど眠れず。結局、俺の体力が切れるまでドキドキしっぱなしなのであった。
初めての作品なので読んでいただけるだけで感謝です。